農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年7月14日(金曜日)10時52分~11時05分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)EUの日本産食品に対する放射性物質輸入規制の撤廃について
  • 日本産食品の輸入規制を維持する国に対する今後の働きかけについて
  • 香港政府による輸入規制強化案について
  • 種苗法違反事案について
  • 農地の取得時における国籍等の報告義務について

冒頭発言

大臣

  私の方から冒頭発言として1点ございます。EUの日本産食品に対する放射性物質輸入規制についてご報告します。昨日、EUは、(2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて導入した)日本産食品に対する放射性物質輸入規制を撤廃すると発表しました。これまで、G7の宮崎農業大臣会合や、G20インド農業大臣会合などでのバイ会談の機会を活用して、EU及びEU加盟国の閣僚に対して規制の撤廃を強く働きかけてきました。EUによる輸入規制の撤廃は、被災地の復興を後押しするものであり、農林水産省として大変歓迎したいと思っています。放射性物質の規制については、科学的な根拠できちんと証明されたと思っております。今後、ALPS処理水の問題もありますので、こういったことにも大きく影響してきますし、我々が申し上げられるのは、科学的根拠だと思っていますので、これからも(輸入規制が維持されている国への早期撤廃の働きかけに)取り組んでまいりたいと思います。また、ちょうど先ほど、EUの官報に今回の実施規則が掲載されたので、8月3日から(輸入規制が)完全撤廃となります。私からは以上です。

質疑応答

  • 日本産食品の輸入規制を維持する国に対する今後の働きかけ及び香港政府による輸入規制強化案について

記者

  2点お伺いします。1点目は、EUによる輸入規制の撤廃についてです。EUは撤廃となりましたけれども、残る中国とか韓国とか、規制を現在も維持する国への働きかけが改めて課題となります。そうした国に対して、今般の撤廃を踏まえてどのように働きかけていくのかを教えてください。併せて、香港がALPS処理水が海洋放出された場合に、10都県産の水産物の輸入を禁止することも発表しましたけれども、これによる今後の対応ですとか、日本からの輸出への影響についてどのように見ているかも教えてください。

大臣

  EU以外でEUと同じように輸入規制をしている国(中国、韓国、香港、ロシアなど)に対してどうするのかということは、いろいろな外交ルートで(輸入規制撤廃の)お願いをしているところです。EUと同様に非常に(輸出規制の)扉が堅く、閉じたままだということで、今からも努力をしていかなければなりませんが、なかなか厳しい状況です。香港への対応については、従来から日本産食品の安全性については情報提供を行っており、(処理水の海洋放出についても12日に)香港において説明会を開催して、IAEAの包括報告書に示されているとおり、国際安全基準に整合的であり、人及び環境への放射線影響は無視できるほどであるという説明を、農水省、外務省及び経済産業省の3省で香港政府に説明を行っています。そうした中で、12日午後、香港政府が科学的根拠もなく、「(ALPS処理水の海洋放出が行われた場合は、)10都県産の水産物の輸入を禁止する」と発表したことは、誠に遺憾です。引き続き、香港政府に対して必要な情報提供を行うとともに、科学的根拠に基づき、規制の早期撤廃及びさらなる規制強化を行わないことを強く求めてまいります。今後このことについて、香港政府とは、外交ルートとして外務省、農水省及び経済産業省で一緒にコンタクトをとっていきます。まだ、香港が本当に(10都県産の水産物の輸入規制を)やるのか、対象地域が拡大されることになれば、皆さんに対してどのような説明をしていくのかということを農林水産省として考えておかなければなりません。例えば今まで規制対象となっていなかった新潟県や長野県なども対象県に入っていますので、「何で俺のところが(規制対象となるのか)」という話に必ずなってくると思います。

  • 種苗法違反事案について

記者

  ありがとうございます。もう1点、話題ががらっと変わるのですけれども、種子への不正表示のことについてお伺いします。三井化学クロップ&ライフソリューションが販売する水稲の品種、みつひかり2003の種子について、2018年から2022年にかけて、他の品種をまぜて販売していたということが発覚しましたけれども、このことへの受けとめとか、農水省としての対応方針について教えてください。

大臣

  受け止めとしては、これは種苗法に違反するものであり、誠に遺憾です。農林水産省としては、7月7日付で同社に対しまして、種苗法に基づく、報告徴収命令を発出しました。同社からの報告を踏まえ、原因の究明、再発防止策の徹底を図ることとしています。このような行為は、種苗法違反ですので、許されることではないと思います。

  • 農地の取得時における国籍等の報告義務について

記者

  今、パブリックコメントが実施されている農地取得の際の国籍報告についてお伺いします。どういった背景やご懸念があって、この省令改正に至ったのかを教えてください。また、国籍を把握できることでどのような効果を期待されているか教えてください。

大臣

  (外国人等による)農地取得については、本年4月に法改正をしました。報道でも取り上げられていましたし、国会においても委員会等、あるいは党でも大変問題となっていました。改正構造改革特別区域法の法人農地取得事業については、衆・参両院の附帯決議を踏まえ、法人の役員の国籍等を把握することとしたところです。さらに、6月2日に取りまとめられた「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」においても、「農地の権利取得時の耕作者の属性の確認等の仕組みを検討する」とされたところであり、これらを踏まえ、農地法においても外国人等による農地取得の実態を把握したいと考えたところです。

記者

  把握できることで期待される効果、何が変わるかということについても教えていただけますか。

大臣

  外国人等による農地取得については、(平成)29年から農業委員会の協力の下、その実態を調査・公表してきたところですが、今回の改正により、より的確に実態を把握できるということになると考えています。今までは農業委員会の協力を得ながら公表してきましたが、(今回の改正により)実際にきちんとした形でできるのではないかと思います。

  • 香港政府による輸入規制強化案について

記者

  香港の輸入規制の強化の発表についてですけれども、まだ実際にされたわけではないということではありますが、実際に10都県からの輸入の規制が行われた場合の影響について、どのようにお考えでしょうか。

大臣

  香港に対して、規制強化を行わないように我々は求める以外に今のところはないわけでして、現時点で輸出への影響を述べることは差し控えたいと思います。いずれにしても香港への輸出が規制されたならば、今までの対象5県が10都県となり、しかも品目も拡大していますので、相当の影響が出てくるだろうということは想定できます。ですから、(規制強化を)止めてほしいということ以外にはないと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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