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令和5年7月13日
談笑しながら会議場へ向かう、岸田総理、フォン・デア・ライエン委員長、およびミシェル議長の様子 ミシェル欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長による出迎えを受ける岸田総理(写真提供:内閣広報室)
ワーキングランチに臨む岸田総理大臣 ワーキングランチ(写真提供:内閣広報室)
日・EU定期首脳会議後の共同記者会見に臨む岸田総理大臣 共同記者会見(写真提供:内閣広報室)

 7月13日、ベルギー王国のブリュッセルを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、現地時間午後0時から約100分間、シャルル・ミシェル欧州理事会議長(H.E. Mr. Charles Michel, President of the European Council)及びウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長(H.E. Dr. Ursula von der Leyen, President of the European Commission)との間で、ワーキング・ランチ及び第29回日・EU定期首脳協議を行い、その後共同記者会見を行ったところ、概要は以下のとおりです。また、今回の定期首脳協議に際し、共同声明が発出されました。

1 冒頭

 ミシェル欧州理事会議長より、5月のG7広島サミットの成功への祝意と歓待に感謝が示されるとともに、日・EU関係の重要性が述べられたのに対し、岸田総理大臣から、国際社会が歴史的な転換期を迎える中、価値と原則を共有する同志パートナーが地域を越えて連携することが一層重要になっており、先般のG7広島サミットでは、ミシェル議長及びフォン・デア・ライエン委員長の協力により、G7の揺るぎない結束を示すことができた旨述べました。また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持・強化に向けた日・EU間での緊密な連携を確認し、具体的な協力の方策について議論を深めたい旨述べました。
 また、岸田総理大臣から、東日本大震災後にEUが導入した日本産食品輸入規制措置に関し、EUによる撤廃の決定は、被災地の復興を大きく後押しするものとして高く評価し、歓迎する旨述べました。

2 日・EU関係

  1. 岸田総理大臣から、共同訓練や海上保安分野の能力構築支援における協力が進展しており、こうした安全保障分野における協力を新たな段階に引き上げるべく、新たな戦略対話の立上げを発表できることを歓迎する旨述べ、EU側からも安全保障協力強化の重要性について同意する発言がありました。
  2. 経済安全保障に関し、岸田総理大臣から、G7広島サミットにおいて、経済的強靱性及び経済安全保障に関する首脳声明をG7として初めて発出し、包括的かつ具体的なメッセージを発信することができたことは有意義であった旨述べました。また、EUの新たな経済安全保障戦略についても、日本の取組と軌を一にするものであり、高く評価する旨述べました。
  3. 双方は、昨年の日・EU定期首脳協議において立ち上げを決定したデジタル・パートナーシップに基づき、7月3日に関係閣僚会合が開催されたことを歓迎しました。双方は、デジタル分野の協力を一層進めることで一致しました。
  4. 連結性に関し、岸田総理大臣から、日本とEUが質の高いインフラ整備を通じた連結性向上に向けて連携していくことで一致し、日・EU連結性パートナーシップに基づき引き続き連携したい旨述べました。
  5. 日・EUのエネルギー協力に関し、双方は、省エネ、再生可能エネルギー、水素分野での協力、バッテリー及び重要鉱物のサプライチェーンの強靱化等の必要性を確認し、多様な道筋が、2050年ネット・ゼロという共通目標につながることを確認しました。
  6. 特に水素分野に関しては、日・EU間での取組を強化すべく、首脳も関与する日EU協力枠組みを立ち上げ、水素市場の拡大に向けて協力関係を強化させていくことで一致しました。

3 グローバルな課題

  1. 核軍縮・不拡散に関し、岸田総理大臣から、G7広島サミットにおいて、被爆地広島の地で平和への誓い、「核兵器のない世界」の実現への決意をG7首脳として国際社会に示すことができたことの意義は大きい旨述べました。
  2. そのほか、双方は、食料安全保障、保健等に関して意見交換を行い、日・EUで連携を強化することで一致しました。特に、グローバル食料安全保障の確保における黒海穀物イニシアティブの重要性を認識し、その着実な実施と継続を国際社会で連携してロシアに要請していくことで一致しました。
  3. さらに、岸田総理大臣は、人工知能(AI)、特に生成AIの急速な発展と普及が、日・EU間でも、また国際社会全体にとっても重要な課題であることを踏まえ、この秋にも生成AIを中心的な議題としてG7首脳テレビ会議を開催することを決定したことを伝達しました。

4 地域情勢

  1. 中国に関し、双方は、共通の懸念を直接伝え、国際社会の責任ある一員として行動を求めつつ、気候変動等のグローバルな課題や共通の関心分野については中国と協働し、対話を通じて建設的かつ安定的な関係を構築することが重要であることで一致しました。
  2. 北朝鮮情勢に関し、双方は、本12日のICBM級弾道ミサイル発射を始めとする北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化に深刻な懸念を共有するとともに、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
  3. ロシアによるウクライナ侵略への対応に関し、双方は、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続し、引き続き同志国の結束を維持していく必要があることを改めて確認しました。
(参考)別添PDF

 共同声明(骨子(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く


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