外務省・新着情報

令和5年7月14日
東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議に出席し、参加者と懇談する林外務大臣
東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議に参加する林外務大臣
東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議が行われている様子

 現地時間7月14日午前10時(日本時間正午)から約2時間、インドネシア共和国の首都ジャカルタにて第13回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議が開催され、林芳正外務大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 EASにおける協力

 林大臣から、ASEAN中心性・一体性及び「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」への支持を表明し、日本は、AOIP優先4分野に沿った多くの具体的な協力案件を実施してきた旨述べました。

2 地域情勢

 林大臣から、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことの重要性及びG7広島サミットにおいてもインド太平洋地域での協力強化を確認した旨を述べた上で、概要以下を発言しました。

  1. ロシアによるウクライナ侵略を厳しく非難する。ロシアによる核の威嚇は断じて許されず、ましてや、その使用はあってはならない。ウクライナの領土からの露軍の即時、完全、かつ無条件の撤退を求める。
    (他の参加国からは、ウクライナ情勢に関する深刻な懸念の表明、ロシアによるウクライナ侵略の非難する旨等の発言がありました。)
  2. 力による一方的な現状変更の試みは、世界のどこであれ決して認められない。東シナ海では、中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されており、強く反対する。南シナ海でも軍事化や威圧的な活動が継続されている。台湾海峡の平和と安定は地域・国際社会にとって重要である。
    (他の参加国からは、南シナ海における状況への懸念、航行・上空飛行の自由の重要性、国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性、台湾海峡の平和と安定の重要性、緊張の高まりへの懸念等について発言がありました。)
  3. 地域の共通課題について、経済的威圧に強く反対する。地域における基本的人権や自由、民主主義も守られ、促進されなければならない。地域には、気候、環境、国際保健、サイバーを含む国際公共財に関連する様々な課題も存在する。
  4. 中国との間では、主張すべきは主張し、国際社会の責任ある一員としての行動を改めて求めつつ、諸懸案を含め、対話をしっかりと重ね、グローバルなものを含む共通の課題については協力する、「建設的かつ安定的な関係」の構築を双方の努力で進めていく。
  5. 12日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイル発射は国際社会の平和と安全を脅かすものであり強く非難。また、北朝鮮の今回の発射について重大な懸念を表明するASEAN外相声明が昨日発出されたことを歓迎。CVIDの実現に向けて、国際社会が一体となって安保理決議を完全に履行することが不可欠。拉致問題の即時解決に向け、各国の引き続きの理解と協力を求める。
    (他の参加国からは、北朝鮮の挑発行動への懸念、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性等に関する発言がありました。)
  6. 悪化の一途を辿るミャンマー情勢を深刻に懸念する。日本は今後も人道支援を積極的に行うとともに、「5つのコンセンサス」の実現のためのASEANの努力を最大限後押しする。
    (他の参加国からは、ミャンマー情勢につき深刻な懸念が表明され、「5つのコンセンサス」の早期履行の重要性が強調されました。)

3 ALPS処理水の海洋放出

 林大臣から、ALPS処理水の海洋放出は、国際的な安全基準に合致しており、人体・環境への影響は無視できる程度であるとのIAEAの包括報告書における評価に言及しつつ、日本の立場を明確に説明しました。また、中国から科学的根拠に基づかない独自の主張がなされました。
(他の参加国から、IAEAの包括報告書の透明性を評価する旨の発言がありました。)

4 結語

 最後に、林大臣から、地域の共通課題や懸念に対処すべく、インド太平洋流の現実的かつ実践的な形で具体的な協力を進めていきたい旨述べました。


発信元サイトへ