外務省・新着情報

 現地時間7月28日(金)14時56分から15時7分(日本時間同日18時26分から18時37分)、インド・ニューデリーにて行われました林外務大臣によるぶら下がり会見記録をお送りいたします。

冒頭発言

【林外務大臣】今回のインド訪問では、まず、昨晩、ジャイシャンカル外相と外相間戦略対話を実施いたしまして、二国間協力、国際場裡での協力、地域情勢につきまして、率直かつ充実した意見交換を実施をいたしました。
 会談では、冒頭、私から、基本的価値と戦略的利益を共有する日印両国は、インド太平洋地域、更には国際社会の平和と安定、繁栄の実現に大きな責任を負っているという旨を述べました。その上で、二国間関係については、昨年の第2回日印「2+2」を受けた防衛・安全保障分野における協力の加速化に加えて、今後5年間における対印官民投融資5兆円の目標に向けまして、日印官民一体となって取り組むこと、そして、日印両国の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業、これを着実に進展させることなどを確認をいたしました。また、「日印アクト・イースト・フォーラム」などの枠組みを通じて、インド北東部の発展に向けた協力を加速させ、地域の連結性に資する案件など、ジャイシャンカル外務大臣と連携を確認していくということを確認いたしました。
 そして、中長期的な日印関係強化の基礎である人的交流につきまして、観光、そして留学生など、両国間の人的交流を拡大していくということでも一致をいたしました。
 この他、国際場裡での協力について、G7・G20議長国としての連携、そして日米豪印や安保理改革などにおける協力、こうしたことを確認いたしました。また、ウクライナ情勢、東アジア情勢を含む地域情勢についても率直な意見交換を行いました。
 国際社会が歴史的な転換期を迎えている中で、日印両国が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、連携をしていくということが益々重要となっております。今後も、ジャイシャンカル外務大臣とも緊密に連携しながら、日印の特別戦略的グローバル・パートナーシップを力強く推進して参ります。
 この後ですが、スリランカ、モルディブを訪れた後、アフリカに向かう予定になっております。いずれもFOIPの実現に向けた重要なパートナーであります。スリランカへの日本の外務大臣の訪問は、2019年以来約4年ぶりです。スリランカでは、ウィクラマシンハ大統領表敬、グナワルダナ首相表敬、サブリー外相との会談を予定しております。5月のウィクラマシンハ大統領の訪日のフォローアップを行うとともに、このスリランカとの「包括的パートナーシップ」、これを更に発展させるために、幅広い分野で協力を確認したいと思っております。また、スリランカの債務再編についても意見交換を行う予定であります。
 スリランカ訪問の後は、南西アジア訪問の最後の国としてモルディブに向かいます。日本の外務大臣として、2018年以来、5年ぶりの訪問になります。モルディブは、インド洋の戦略的要衝に位置する重要な国であります。シャーヒド外相と、二国間の具体的な協力として、国際場裡における協力などなどにつきまして、じっくり議論を行うことを楽しみにしております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】大臣、先ほどの講演でもございましたけれど、G7広島サミットの成果をG20に生かしてつなげるということですけど、具体的にどういったことを念頭においていくのか、具体的にはウクライナ情勢に関しては、G20にはロシアや中国も参加しますけど、どういった部分をG20の成果として反映していきたいのかお伺いします。

【林外務大臣】今回のインド訪問では、ジャイシャンカル外相との間で、G7・G20議長国の間の連携ということについて率直に議論を行いました。G7広島サミットでは、インドを始めとする招待国も交えグローバル・サウスの国々が直面している課題について率直な議論を行いまして、G7を超えた幅広いパートナーが協力してこれらの課題に取り組んでいくことを確認をいたしました。中でも食料問題は、ロシアによるウクライナ侵略によってグローバル・サウスの国々が深刻な影響を受けております。広島サミットで招待国と共に発出した「強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明」、これが、今後の協力のための良い基盤になるのではないかと、そういうふうに考えています。
 今回、ジャイシャンカル外相との間でG7広島サミットの成果をG20ニューデリー・サミットにつなげ、食料問題を始めとする諸課題への対応において確かな成果を出すことの重要性、これを確認するとともに、そのために引き続き議長国インドと緊密に連携していくということが確認されました。

【記者】スリランカの債務問題についてお伺いします。日本はフランスやインドなどの債権国とともに債権国会合で共同議長を務めていると承知しています。昨日ジャイシャンカル外相との戦略対話でもこの問題について協議されたかもしれませんが、日本政府としては今後どのようにして関係国と協力、あるいはスリランカの債務再編を主導してと行きたいお考えでしょうか。また、もう一点、スリランカや大臣が今後行かれるモルディブなど周辺国でも中国の巨額のインフラ投資を巡る債務の罠の危険性、可能性が指摘されておりますが、日本政府としてはどのような開発援助が望ましいとお考えでしょうか。

【林外務大臣】途上国の債務につきまては、債務の透明性を確保し、関係する全ての債権国と協調して、債務再編に取り組んで、全ての債権者による債務措置の公平性、これが確保されることが重要であると考えております。こうした観点から、スリランカの債務問題につきましては、我が国は、インド及びフランスとともに、スリランカ債権国会合を共同議長として立ち上げまして、5月9日に第1回会合を開催しております。今後、債務再編の合意に向け協議が継続していきたいと考えております。今回もジャイシャンカル外相とはこの問題についてしっかりと協議して、今後とも緊密に協力することを確認したところでございます。
 この後のスリランカ訪問時には、サブリー外務大臣との外相会談やウィクラマシンハ大統領への表敬を予定しております。その際に、全ての債権国が参加する透明かつ公平な債務再編の重要性、これを伝達の上、債務再編プロセスの更なる進展に向けて、引き続き連携していくことを確認したいと考えて下ります。
 また、後段のお話で、「債務の罠」といった問題への対応についての御質問について、我が国として、透明で公正な開発金融を確保する、このことが、途上国の潜在力を開花させて、人々の暮らしを向上させるために重要である、こう考えております。途上国の持続可能な開発を支える開発金融は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を始めとする国際ルール・スタンダードを遵守した透明で公正な形で行われるべきであり、我が国としても国際場裏においてその重要性を提起していきたいと思っております。

【記者】ロシアによるウクライナ侵攻におけるグローバルサウスとの連携についてお伺いします。侵攻に対しては、インドをはじめ、大臣がこの後訪問されるアフリカでも中立的な立場をとり続ける国が多いですが、対ロシアでグローバルサウスとどう連携を図っていくお考えでしょうか。
 また、昨日の戦略対話でもG7議長国として9月にインドで予定されているG20への協力を確認されましたが、ロシアや中国も参加する中、ウクライナ侵攻を巡って参加国の意見が対立することが予想されますが、議長国であるインドにこういった点で期待される点をお聞かせください。

【林大臣】日本は、本年のG7議長国として、グローバル・サウスへの関与を重視しております。中でも、G20議長国でありまして、本年1月にグローバル・サウス・サミットを主催するなどリーダーシップを発揮しているインドとの関係強化は、特に重要であると考えております。
 G7広島サミットにおいては、インドを含む招待国とウクライナを交えて、世界の平和と安定につき議論し、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであっても許されないことや、法の支配や国連憲章の諸原則の重要性について一致をいたしました。今回、ジャイシャンカル外相との間でも、こうした点の重要性につき改めて確認をしたところでございます。日本とインドは、世界を分断や対立ではなく協調に導く必要性を十分に共有していると考えています。9月のG20ニューデリー・サミットに向けまして、引き続き議長国インドと緊密に連携していくと同時に、国際社会の諸課題への積極的な貢献を通じ、グローバル・サウスの国々との関係を深めていきたいと考えております。そうした意味では引き続き議長国インドのリーダーシップに期待しております。


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