外務省・新着情報

令和5年8月3日

 昨日から、私はアフリカ訪問の締めくくりとして、エチオピアを訪問しています。日本の外務大臣としては約4年ぶりにエチオピアを訪問できることを非常に嬉しく思います。
 エチオピア北部では、過去2年に亘り紛争が繰り広げられましたが、現在では、昨年11月の連邦政府とTPLFの間の和平合意に基づき停戦が遵守されています。日本としてこのような前向きな動きを歓迎し、引き続き、エチオピアの和平プロセスの進展と復興に向けて、共に歩んでいきたいと考えています。

 国際社会は今、歴史の転換期にあります。ロシアによるウクライナ侵略は、食料危機や肥料価格の高騰を含め、特にアフリカに大きな影響を及ぼしています。その他、気候変動・エネルギー問題、不透明で不公正な開発金融等、国際社会が直面する様々な課題に効果的に対応していくためには、国際社会が連携して対応していくことが一層重要です。こうした背景もあり、本年、日本は、G7議長国として、アフリカの「声」を直接聞くことを重視しています。今回の私のエチオピア訪問も、日本がアフリカと共に歩むとの強い意思の表れです。

 ロシアによるウクライナ侵略は、欧州の安全保障の問題であるのみならず、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。今日のウクライナは明日の東アジアかもしれず、アフリカかもしれず、世界のどこでもあり得ることです。
 こうした危機感のみならず、ロシアの更新拒否により黒海穀物イニシアティブ(BSGI)が終了したことは、極めて遺憾です。本イニシアティブは食料を必要とする国や地域に届け、食料価格の安定や世界の食料安全保障に貢献している大事な取組です。世界が食料問題に苦しむ中、ロシアが国際的な枠組みに復帰し、ウクライナからの穀物輸出が再開されるよう、エチオピアからもロシアに働きかけていただくことを期待しています。
 国際法を擁護し国際秩序を維持することは、全ての国にとって、明白な責任であるとともに、明白な利益です。日本は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため、エチオピアを含むアフリカ諸国と更に協力していきたいと考えています。

 二国間関係に目を向けると、日本は、今月に竣工予定のTICAD産業人材育成センターの建設とその活用を通じたKAIZENの普及による産業人材の育成や、今年7月に引渡式を行ったアムハラ州都バハルダール市における上水道整備を通じた安全な水へのアクセスの改善とそれを維持管理する人材の育成等を通じ、エチオピア国内での人材育成に貢献しています。
 また、日本は、人間の安全保障に着目して、エチオピアの平和と安定に向けて引き続き支援していきます。例えば、昨年12月には、日本は、エチオピアの紛争・干ばつの影響を受けた地域に対し、国際機関を通じて約2,400万ドルの人道支援を提供し、今年に入ってからも3月にWFPを通じた約350万米ドルの緊急食料援助、5月には約550万米ドルの日本産米の食糧援助を行いました。日本として引き続きエチオピアに寄り添った支援を実施していく考えです。

 日本とアフリカが冷戦直後の1993年に立ち上げた、アフリカ開発を協議するTICADの昨年の会合では、日本は、アフリカと「共に成長するパートナー」でありたい、アフリカ自身が目指す強靱なアフリカの実現に向けて協力したいとの確固たる意思を表明しました。
 国際社会が直面する様々な課題に対応するため、また、日・エチオピア二国間関係のさらなる発展のため、本日、民主主義、法の支配の価値や原則を共有するエチオピアの同僚の方々と率直な議論を行えることを楽しみにしています。


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