外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】先月27日から本日8月3日まで8日間にわたりまして、インド、スリランカ民主社会主義共和国、モルディブ共和国、南アフリカ共和国、ウガンダ共和国、及びエチオピア連邦民主共和国を訪問いたしました。
 我が国は、G7議長国として、いわゆるグローバル・サウスと呼ばれる国々との関係強化を重視し、様々な取組を行ってきておりますが、今回の外遊もこうした取組の一環であります。南西アジア諸国は、FOIPの実現に向けた重要なパートナーでありまして、また、今後長期に亘って成長が見込まれるアフリカも、日本外交における重要性がますます高まっております。これらの国々との協力は、我が国のみならず地域・国際社会の平和と安定、繁栄に不可欠であると考えております。
 このような問題意識から、各国において、外務大臣を始めとした政府要人と胸襟を開いて意見交換を行い、二国間関係の更なる強化について議論いたしました。また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化、そして、その他の重要な国際課題への対応について議論し、連携を図ったところでございます。
 さらに、中国をめぐる諸課題への対応、そしてロシアによるウクライナ侵略を含む国際情勢についても率直な意見交換を行いました。その中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化ために協力していくという考えを共有することができました。また、黒海穀物イニシアティブの終了を受けまして、これがアフリカにおける食糧安全保障に与える影響について懸念を共有し、同イニシアティブの再開に向けて訪問先の各国と協力していく必要があるということを確認したところでございます。
 以下、インドについては先日既に説明しましたので、その他の各国における主な協議の成果を簡単に申し上げたいと思います。
 スリランカでは、サブリー外相との会談やウィクラマシンハ大統領への表敬を行い、私から、同国の債務問題について、全ての債権国が参加する透明かつ公平な債務再編の重要性を強調いたしました。これに対しスリランカ側から、債務再編を巡る議論における日本の貢献に対し、改めて謝意の表明がありました。
 モルディブでは、シャーヒド外相との間で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していくことの重要性を確認するとともに、気候変動を始めとする幅広い分野でモルディブとの協力を強化していくことで一致をいたしました。また、我が国として、今後もモルディブの発展に貢献すべく長期的な視点で顔の見える支援を継続していく旨をお伝えしたところでございます。
 次に、南アフリカでは、パンドール国際関係・協力大臣との会談において、南ア自身が主導しているウクライナ和平にかかるイニシアティブや、ロシア・アフリカサミットを踏まえた意見交換を行わせていただきました。また、グリーン・エネルギー分野等での協力について議論し、また、南アフリカでのビジネス環境の更なる整備についても協力していくことを確認いたしました。
 ウガンダでは、ムセベニ大統領への表敬やオドンゴ外務大臣との会談におきまして、ウクライナ情勢につき意見交換をするとともに、TICAD8のフォローアップを通しまして、「人への投資」を通じた、ウガンダのビジネス・投資環境、これを改善させていくということを確認をいたました。
 エチオピアでは、アビィ首相とのワーキングランチやデメケ副首相兼外務大臣との会談において、ウクライナ情勢について意見交換を行うとともに、エチオピアが和平合意を着実に履行していく中で、投資促進を含めて、二国間関係をさらに強化していくということを確認いたしました。
私からは以上です。

質疑応答

【記者】主にアフリカ3カ国の歴訪についてお伺いします。アフリカの3カ国は、ロシアとも友好的な関係にある国もあり、ロシアよりと見られている国もあります。そうした中でウクライナ侵略を巡ってどのような意見交換が出来たのでしょうか。そして今回日本の外務大臣が訪問することでどのような成果が得られたとお考えでしょうか。よろしくお願いします。

【林外務大臣】今回のアフリカ訪問では、ロシアのウクライナ侵略を念頭におきまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のため、G7議長国としていわゆるグローバル・サウスと呼ばれる国々との関係強化を目指したところです。
 いずれの国においても、私から、ロシアの行ったことが許されてしまえば、力が支配する世界となり、アフリカの平和と安定にも悪影響が及ぶことを強調しつつ、力による一方的な現状変更の試みを認めずに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るという我が国の決意を伝達しました。
 こうして、二国間関係の強化にとどまらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために協力していくことを確認できたことは、グローバル・サウスとの関係強化という点で、重要な成果であったと考えております。

【記者】今回の一連の訪問を通してなのですけれども、先ほどの質問と若干被ってしまうのですが、各国への関与を強めている中国や、ウクライナ侵攻を続けるロシアと向き合う上で、今回の6カ国訪問の意義をどう捉えていらっしゃるか、改めてお聞かせください。

【林外務大臣】今回のインド訪問で、ジャイシャンカル・インド外相との間で、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであっても許されないということ、そして法の支配や国連憲章の諸原則の重要性について改めて確認することができました。
 日本とインドは、世界を分断や対立ではなく協調に導く必要性を十分に共有していると考えております。インドは今年のG20議長国でありまして、9月のG20ニューデリー・サミットに向けて、引き続きその議長国インドと緊密に連携していくとともに、国際社会の諸課題への積極的な貢献を通じて、グローバル・サウスの国々との関係を深めていきたいと思っております。
 そして南アフリカですが、こちらは今年のBRICSの議長国でありまして、国際社会における影響力に鑑みまして、同国との連携の重要性について、これはG7でも確認してきております。
 今回、パンドール・南ア国際関係・協力大臣から、本年6月にウクライナ及びロシアを訪問したアフリカ首脳等によるウクライナ和平ミッションについて説明がありました。私からは、南アフリカの取組を評価しつつ、一日も早いウクライナの公正かつ永続的な平和の実現が重要であるという旨述べつつ、今後の協力について双方で確認をいたしました。国際社会における諸課題に対処していく上で、引き続きこうした協力を継続していきたいと考えております。

【記者】アフリカの関係でお尋ねいたします。南アフリカでの外相会談の中で、G7議長国としてですね、アフリカの「声」を直接聞くことの重要性、述べられておりましたけれども、実際その3ヶ国を訪れてですね、アフリカの課題とか、直接声を聞いた所感とですね、それを今後のG7の議論にどのように繋げていかれるお考えか、このあたり教えていただけますでしょうか。

【林外務大臣】G7広島サミットでですね、議長国日本として、この法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化の重要性を確認しまして、これを守り抜く決意を新たにするというメッセージをですね、世界に向けて力強く発信をさせていただきました。
 こうしたG7の成果を踏まえてですね、私から訪問先各国において、ロシアが行ったことが許されてしまえば、力が支配する世界となり、アフリカの平和と安定にも悪影響を及ぶことを強調しつつ、力による一方的な現状変更の試みを認めずに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るという我が国の決意を伝達いたしました。
 この結果、訪問先各国との間で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために協力していく考え、ということを共有することができました。そして、黒海穀物イニシアティブの終了を受けてですね、これがアフリカにおける食料安全保障に与える影響についての懸念、これも共有をすること出来ました。このイニシアティブの再開に向けて訪問させていただきましたこれらの国々との協力、これが必要であると、こういうことも確認できたところでございます。
 G7議長国である我が国としてですね、今回のこうした成果を生かして、アフリカと「共に成長するパートナー」としてですね、強靱なアフリカの実現、これを共に目指していく考えでございます。











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