外務省・新着情報

冒頭発言

(1)外務省幹部人事

【林外務大臣】冒頭3件ございます。
 まず、1件目ですが、本日の閣議で、外務省の幹部人事が承認をされました。8月10日付けで発令をする予定です。
 このあと、資料をお配りいたしますが、まず、森健良(もり・たけお)次官は退官しますが、ロシアのウクライナ侵攻等、まさに激動する国際情勢の中で、二年余にわたって、政策面、マネジメント面の双方において、果敢に事務当局を率いてもらったと感謝しております。
 森次官の後任には、岡野正敬(おかの・まさたか)官房副長官補に就任してもらいます。市川恵一(いちかわ・けいいち)総合外交政策局長がその後任となり、総合外交政策局長には河邉賢裕(こうべ・やすひろ)北米局長を、北米局長には有馬裕(ありま・ゆたか)南部アジア部長を充てます。
 山田重夫(やまだ・しげお)政務担当外務審議官は大臣官房付となり、後任には船越健裕(ふなこし・たけひろ)アジア大洋州局長に就任してもらいます。そして、アジア大洋州局長には鯰博行(なまず・ひろゆき)経済局長を充て、経済局長には片平聡(かたひら・さとし)国際法局参事官を昇任させます。
 新たな体制の下で、引き続き、組織一丸となって、幅広い外交課題に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

(2)第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の開催地

【林外務大臣】2件目でございますが、2025年に、日本で開催されます第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を、横浜市で開催することが閣議了解をされました。
 具体的な開催時期については、今後、アフリカ各国等と調整してまいります。

(3)日豪部隊間協力円滑化協定

【林外務大臣】3件目でございますが、本日、日豪部隊間協力円滑化協定の締結及び公布のための閣議決定が行われました。
 本協定は、日豪の各部隊が、他方の国を訪問して活動を行う際の、手続や法的地位を明確にすることを通じまして、部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものであります。
 日豪は、基本的価値と戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」であります。我が国にとっての初の円滑化協定の締結相手国が豪州となったことは、この緊密な関係を象徴しております。この協定の締結により、日豪の安全保障・防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることが期待されます。
 私(林大臣)からは以上です。

政府安全保障能力強化支援(OSA)

【NHK 五十嵐記者】政府安全保障能力強化支援、OSAについて伺います。一部報道で、来年度は、ベトナムやモンゴル、ジブチなど6か国を対象とし、来年度予算に、関連費用として約50億円を盛り込む方向で調整と報じられていますが、OSAの今年度の進捗や、来年度の調整状況について伺います。

【林外務大臣】令和5年度につきましては、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ及びフィジーを対象候補国とし、警戒監視等の海洋安全保障分野の能力向上、これに資する機材供与を想定した専門的な調査、これを外部事業者に委託して行っているところでございます。
 令和6年度のOSA案件につきましては、OSAの目的に照らした支援実施の意義、また、日本として把握している各国のニーズ、各国の経済社会状況等々を総合的に勘案いたしまして、今後、検討していくところでございます。
 予算要求につきましては、我が国の安全保障にとっての意義、また各国のニーズ、我が国の実施体制等々を踏まえまして、外務省として、適切な規模感を検討しているところでございます。

外務省幹部人事

【読売新聞 依田記者】冒頭ありました人事の関係で、今回次官になられる岡野さんに期待すること、また起用の狙いについてお聞かせ願います。

【林外務大臣】個別の人事について、逐一コメントすることは控えたいと思いますが、人事は、能力・実績を踏まえて、適材適所の考え方で行っております。
 G7広島サミットで、議長国として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化の重要性を確認しまして、これを守り抜く決意を新たにするというメッセージを、世界に向けて力強く発信したところであります。
 また、先般の南西アジア・アフリカ訪問でも感じましたけれども、引き続き、外交課題が山積し、我が国のリーダーシップが期待されております。新たな事務当局の体制となる中で、G7広島サミットを含めたこれまでの成果、これを踏まえつつ、この岡野次官の率いる事務当局の総力を挙げて、幅広い外交課題に、全力で取り組んでいきたいと考えております。

TICAD9の横浜開催、TICADの重要性

【共同通信 桂田記者】冒頭御発言のあった、TICAD9の開催地決定について伺います。外務省では、開催地を全国から公募されていましたが、次回で4回目の開催となる横浜市を選ばれた理由を教えてください。また、大臣も、先日アフリカ諸国を訪問されたばかりですが、日本のアフリカ外交におけるTICADの枠組みの重要性について、改めてお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】まず、横浜市でございますが、TICAD9の開催地につきましては、複数の自治体から照会がありましたことを踏まえて、公募を実施いたしましたところ、応募は、横浜市のみからということでございました。
 横浜市は、会議場、宿泊施設、アクセスの利便性など、TICADを開催するための必要な要素を満たしております。
 また、同市は、アフリカとの継続的な交流、そして幅広い分野での協力に取り組んでおりまして、過去3回、TICADを開始した実績もございます。
 こうした要素を総合的に検討した結果、今般、横浜でのTICAD開催を決定いたしました。
 また、このTICADの枠組みの重要性についてですが、日本が、1993年に、このTICADを立ち上げて以降、約30年間にわたりまして、アフリカが自らが主導する開発、これを支援していくという精神で取り組んできたところです。他国による対アフリカ・フォーラムが、多数存在する中で、TICADは、先駆的かつ主導的な役割を果たしてきたと考えております。
 私(林大臣)が、総理特使として参加した、昨年8月の第8回アフリカ開発会議、TICAD8においても、アフリカと「共に成長するパートナー」として、「人への投資」、そして、「成長の質」を重視するという、我が国らしい方針を打ち出しております。
 アフリカは、今後、長期にわたって成長が見込まれる、そうした地域でございまして、アフリカ諸国との協力、これは我が国のみならず、地域・国際社会の平和と安定、繁栄、こうしたものに不可欠であると考えております。今回の私(林大臣)のアフリカ訪問においても、こうした点を念頭において、有意義なやり取りができたと考えております。
 我が国として、今後、TICADのプロセスも更に推進しつつ、これまで培われてきた日・アフリカ関係、これを一層深化させてまいりたいと考えております。

林外務大臣のアフリカ訪問の際のロシアをめぐる議論

【TBS 宮本記者】大臣、外遊に行かれてましたが、お疲れさまでした。長い外遊だったと思います。特に、アフリカに関連して伺います。アフリカ3か国訪問されました。ロシアに関しては、日本とは必ずしも立場が一致しない国もあったかと思います。ロシアに関して、どのような議論が行われて、認識のすり合わせができたかどうか。また、その溝があったとしたら、今後、それをどのように埋めていくかを考えをお聞かせください。

【林外務大臣】我が国は、G7議長国として、いわゆるグローバル・サウスと呼ばれる国々との関係強化、これを重視して、様々な取組を行ってきておりまして、今回の概要もその一環ということでございます。
 各国における会談で、各国要人と胸襟を開いて意見交換を行いまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化や、その他の重要な国際課題への対応について、連携を図りました。その中で、今お話のありました、ロシアによるウクライナ侵略についても議論をいたしまして、ロシアによる「黒海穀物イニシアティブ」の終了、これが、アフリカを含む世界の食料安全保障に与える影響について懸念を共有しまして、同イニシアティブの再開に向けて、国際社会が一致して協力していく必要があるということも確認できたところでございます。
 こうした今回の成果も踏まえて、更に各国と協力していく考えでございます。

ALPS処理水

【朝日新聞 上地記者】東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出計画についてお伺いします。政府は、IAEAの報告書を基に、国際会議や様々な場所で説明をされていると思いますが、現在、各国や国際世論の理解は得られていると、大臣、お考えになりますでしょうか。また、説明に当たって、更なる改善点などがお考えでしたら、それも併せてお伺いします。

【林外務大臣】ALPS処理水の海洋放出の安全性につきましては、IAEA包括報告書の結論を踏まえて、政府として、国際会議の場や二国間会談の機会に、日本の取組を丁寧に説明してきておりますほか、「X(エックス)」などのSNSを活用して、全世界に積極的に説明発信を行ってきております。
 その結果、ALPS処理水の海洋放出が、国際安全基準に合致することなどを結論づけるIAEA包括報告書に対する支持表明、これ広がっておりまして、英、米、豪、ニュージーランドなど、多くの国々が、直ちに、この包括報告書を歓迎するなど、前向きな反応を示しております。また、韓国政府も、IAEA包括報告書の内容を尊重するという立場を表明しております。また、フィジー政府から、IAEA包括報告書が、海洋環境の悪化に対する懸念を払拭するのに十分な安心感を与えるものである、こういう発信がありました。更に、現在ウィーンで開催中のNPT運用検討会議の第1回準備委員会におきましても、ドイツ、またチェコ等が、IAEAの取組を支持する旨発言をするなど、ALPS処理水の海洋放出に対する理解が広がっていると考えております。
 説明に当たっては、ALPS処理水について、客観的かつ正確な情報を提供するということが、その安全性についての国際社会の一層の理解を得る上で、極めて重要だと考えておりまして、その観点から、科学的根拠に基づく丁寧な説明を心がけておりまして、今後も、そのような説明に努めていきたいと考えております。

日米韓首脳会合の際の林外務大臣訪米

【共同通信 桂田記者】今月18日に予定されている日米韓首脳会合について、これに合わせた大臣の訪米や、また、日米韓外相会談の実施予定はあるでしょうか、お聞かせください。

【林外務大臣】私(林大臣)は、諸般の事情が許せば、8月18日に、米国・キャンプデービッドにて開催されます、日米韓首脳会合に出席する岸田総理に同行いたしまして、同17日から訪米するということで調整中でございます。
 私(林大臣)の訪米中の日程については、日米韓首脳会合への同席以外、現時点で何か決まっていることはございません。

日中平和友好条約締結45周年

【朝日新聞 上地記者】日中関係についてお伺いします。12日に、日中平和友好条約締結から45年になります。条約には、いずれの地域にも覇権を求めるべきではないということや、主権や領土保全の相互尊重などが盛り込まれています。現在の中国の対応として、条約の趣旨は尊重されているか、また、遵守に向けて、日本として、今後どのように働きかけるか、大臣のお考えをお伺いします。

【林外務大臣】ご指摘のとおり、本年は、日中平和友好条約締結45周年であります。日中間では、1972年の日中共同声明、それから1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明といった基本文書と並んで、1978年の日中平和友好条約に記された精神と方針の下で、日中関係を発展させてきておりまして、我が国としては、こうした立場に何ら変更はないということでございます。
 日中間には、現在も引き続き、様々な可能性とともに、数多くの課題や懸案がございますが、このような、これまでの積み重ねも踏まえつつ、昨年11月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案を含めて、対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力するという「建設的かつ安定的な日中関係」、これを日中双方の努力で構築していくことが重要であります。
 引き続き、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。

終戦記念日の靖国神社参拝

【共同通信 桂田記者】靖国神社の参拝について伺います。8月15日の終戦の日に合わせ、参拝するお考えはおありでしょうか。

【林外務大臣】岸田内閣の一員といたしまして、適切に判断をいたします。

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