農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年8月15日(火曜日)10時18分~10時32分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • スイス及びリヒテンシュタインの日本産食品の輸入規制の撤廃について
  • 大臣就任1年を振り返って
  • 中国による日本産食品の輸入規制について

質疑応答

  • スイス及びリヒテンシュタインの日本産食品の輸入規制の撤廃について

記者

  食品の輸入規制についてお尋ねします。スイスとリヒテンシュタインが日本産食品の輸入規制を撤廃したという発表が先ほどありました。先日のEU、ノルウェー及びアイスランドに続いて、輸出実績はさほど大きくないかもしれませんが、これで現在のEFTA加盟4か国でも、輸入規制が撤廃されたということについての受け止めと、あとヨーロッパへの、輸出拡大に向けた今後の取組についてお考えをお聞かせください。

大臣

  (日本食品に対する放射性物質に係る輸入規制について)本日15日にスイスとリヒテンシュタインが規制を撤廃しました。これらの国での規制の撤廃は、被災地の復興を後押しするものであり、我が国として歓迎します。原発事故以降、55の国・地域が規制を措置しましたが、そのうち、48の国・地域が規制を撤廃し、未だに規制を維持するのは中国、香港、マカオ、ロシア、韓国、台湾となっていまして、もう一つは、国ではありませんが、仏領ポリネシアがまだ残っていますので、55のうち、48の国・地域が撤廃していますが、あと7つ残っています。農林水産省としては、関係省庁と連携し、未だに規制を維持する全ての国・地域に対して、あらゆる機会を捉えて、一層の働き掛けを行ってまいります。また、輸入規制の撤廃を契機として、ベルギー・ブリュッセルをはじめとした欧州各地で、日本産食品のプロモーションイベントを行う予定です。これらのイベント等を通じて、引き続き、欧州地域への輸出拡大をしてまいります。

  • 大臣就任1年を振り返って

記者

  大臣が昨年8月10日に就任されて1年が経ちましたが、この間を振り返っての所感をお願いいたします。

大臣

  私が就任したのが8月10日ですから、ちょうど1年が経過しました。この間、いろいろなことがありまして、私も初めてのことばかりで戸惑ったこともありましたが、役所の皆さんの大変な支えにより、この1年間を無事過ごせたなと思っています。その中で特徴的なのは、私が就任の挨拶をさせていただいたときに、世界的な人口増加なり、あるいは気象の変動、また食料安全保障リスクの高まりなど、大きく変化する中で、昨年8月の就任以来、今まさに我が国の農林水産業は、ターニングポイントにあると、ずっと申し上げてきました。このターニングポイントは、特に意識していたのは、20年前にできた食料・農業・農村基本法ですが、この基本法は(制定から)すでに20年経過しており、このままでいいのかという問いかけも皆さん方にしたところです。また、「食料安全保障強化政策大綱」を昨年12月に策定しまして、食料安全保障の強化に向けた新たな取組を推進してきたと思っています。もう一つは、肥料なり飼料の価格高騰対策、災害対策、高病原性鳥インフルエンザ対策など、緊急性の高い諸課題に緊張感を持って対応してきました。特に、鳥インフルエンザについては、かつてないほどの感染が広がりまして、国民の皆さん方や農家の皆さん方にも、ご迷惑はかかったと思っていますが、今は何とか沈静化していますので、このまま維持して(飼養衛生管理に)気をつけていきたいと思っています。また、国会においては、4本の法律を、通常国会で通していただき、合法伐採木材等の利用促進なり、海業、今の漁協などの施設を使ったいろいろな催し物ができないか、施設はできないかということで法律改正をしまして、海業振興についての新たな仕組みを整備したところです。今、申し上げたことが、私の1年を振り返っての大きなテーマでした。さらに、今年の4月に宮崎で開催されたG7農業大臣会合においては、農業の生産性向上と持続可能性の両立等、食料安全保障に関する新たな指針を盛り込んだ閣僚声明を議長として取りまとめ、発出したほか、6月にインドで開催されたG20農業大臣会合でも、この閣僚声明に沿った成果文書が発出されるよう、議長国インドに働きかけたところです。加えて、農政の基本的な指針である食料・農業・農村基本法についても、制定後20年が経過して初めて見直し作業に着手し、本年5月に基本法検証部会の中間取りまとめを行い、さらに6月には政府として、「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」として取りまとめたところです。来年の通常国会に、この基本法の改正案を提出したいと思っているところです。このほか、総理の指示により、花粉症対策の取りまとめやALPS処理水の風評影響を緩和するための取組にも注力してきたところです。このようにこの1年間、様々な政策課題に真摯に取り組んできたと自分では自負していますが、今後も令和6年の通常国会の基本法改正案提出に向けての各施策の具体化など、引き続き緊張感を持って、大臣という責務を果たしていきたいと思っています。それともう1点は、党本部では農林部会等がありますので、役所の皆さんとはその中で議論をしてきましたが、ここ(農林水産省)に入ってきて初めて、役所の皆さんと膝を交えながらいろいろ話をしましたが、他の役所のことは分かりませんが、農林水産省の職員の皆さんは、熱心だし、真面目だし、そして何よりも積極的に取り組んでいると。今日(陪席に)来ていますからあまり褒めるとあれなのですが、素晴らしい人材が揃った役所だなと感じました。私は(業務の)ヒアリングの時にも言うのですけれども、あなた方はこのまま東京大学に行って教授になってもおかしくない人ばかりだと。そのくらい勉強をしているし、また発想の転換も凄い人たちが揃っていると思います。その意味で、私は助けていただいて、1年間を過ごすことができたなと思っていまして、素晴らしい人たちが官僚になっていただいて、今後とも若い人たちが役所に、特に農林水産省に入ってきて、ぜひ、日本の農業をより良いものにしていただきたいと思ったところです。

  • 中国による日本産食品の輸入規制について

記者

  冒頭の質問にちょっと絡むのですけれども、一部報道で、日本産食品の中国が課している今の措置について、外交ルートで中国政府から日本政府に対し説明があったとの報道がございました。こちらの事実関係と、今後どのように中国なり、香港、今の規制を続けている、ないし強化しようとしている国・地域に対して働きかけていくかお考えをお聞かせください。

大臣

  中国政府が今、税関で(通関に)相当時間がかかっているという話も聞いていまして、いろいろな報道もありまして、(御指摘の報道については)承知しています。(事実関係については、承知していません。)輸入規制による通関の遅延が一部発生しているところについて、これは中国だけではなくて、香港もそうですが、報告を受けていまして、仮に全面的な放射能検査が導入されているとすれば、日本からの食品輸入規制撤廃に向けた国際的な動きに逆行すると。EUも輸入規制を撤廃していただいたので、こういうことは国際的には逆行ではないのかと強く懸念していますので、中国に対してその旨申し入れをしているものと承知しています。日本産食品の安全性は科学的に証明されており、輸入規制は科学的根拠に基づき、早期に撤廃すべきものだと思っていますし、最近マスコミでも取り上げられるようになりましたが、他の国も海洋(等)へ(国際的な考え方に基づき、各国の規制基準を順守しつつ、トリチウムを含む液体廃棄物の)排出をしています。日本のALPS処理水の濃度というか、特にトリチウムについては、日本よりも数倍も数百倍もあるような処理水が(他国では)放出されているという(報道を)拝見しまして、もう少しこういうことを、日本の場合は(トリチウムの量が)これだけですということを、ぜひとも皆さん方でも取り上げていただきたいと思います。輸入規制は早期に撤廃すべきというのが、我が国の立場ですが、今後とも関係各省庁、環境省なり、経済産業省ともいろいろ連携して、強く働きかけてまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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