外務省・新着情報

令和5年8月18日

 山田賢司外務副大臣は、現地時間8月13日から18日にかけて、イスラエル国、パレスチナ、レバノン共和国及びエジプト・アラブ共和国を訪問したところ、概要は以下のとおりです。山田副大臣は、以下の他、今次訪問中にイスラエル及びエジプトでは、現地進出日本企業関係者との意見交換、パレスチナでは、日本人援助関係者(国連機関及び本邦NGO)との意見交換も行いました。

1 イスラエル(8月13日~14日)

(1)アミール・オハナ国会(クネセト)議長への表敬

アミール・オハナ国会議長と握手をする山田外務副大臣

 13日、山田副大臣は、アミール・オハナ国会(クネセト)議長(H.E. Mr. Amir Ohana, Speaker of the Knesset)を表敬し、二国間関係の強化及び中東地域・国際情勢について意見交換を行いました。山田副大臣からは、二国間の関係拡大が進んでいることは喜ばしいと述べ、オハナ議長からは、昨年にイスラエル・日本友好議連会長として行った訪日に強い感銘を受けたと述べ、更なる二国間関係の発展に取り組みたいとしたのに加え、イスラエルのアラブ諸国との関係について説明しました。

(2)ツァヒ・ハネグビNSC議長兼国家安全保障顧問との会談

ツァヒ・ハネグビNSC議長兼国家安全保障顧問と握手をする山田外務副大臣

 14日、山田副大臣は、ツァヒ・ハネグビNSC議長兼国家安全保障顧問(H.E. Mr. Tzachi Hanegbi, Head of the National Security Council/National Security Adviser)と会談し、中東地域情勢等について意見交換を行いました。山田副大臣からは、「二国間解決」を支持する等の日本の中東和平問題に関する立場を改めて伝え、ハネグビNSC議長兼国家安全保障顧問からは中東地域の最新情勢につき説明がありました。両者は、日イスラエル関係の更なる関係強化に向け協力していくことで一致しました。

2 パレスチナ(8月14日~15日)

(1)シュタイエ首相への表敬

シュタイエ・パレスチナ首相を表敬し、懇談をする山田外務副大臣

 14日、山田副大臣は、ムハンマド・シュタイエ・パレスチナ首相(H.E. Dr. Muhammad Shtayyeh, Prime Minister of Palestine)を表敬しました。
 山田副大臣からは、現地の情勢悪化を懸念しており、緊張を高めるあらゆる一方的な措置を控えるべきであり、「二国家解決」を支持するとの日本の立場をイスラエル側にも伝えたとして、双方の信頼醸成等に向けて独自の取組を通じて引き続き貢献していく考えを伝達しました。また、日本が推進する「平和と繁栄の回廊」構想についても意見交換を行いました。さらに、山田副大臣から、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通じ、「パレスチナのジェニン難民キャンプにおける人道支援のための緊急無償資金協力」(供与額100万ドル)を実施する旨伝達しました。シュタイエ首相からは、パレスチナの最新情勢につき説明があるとともに、日本のパレスチナへの政治的、経済的な支援に感謝する旨述べ、更なる関係強化に向け、協力していきたい旨述べました。

(2)リヤード・マーリキー外務・移民庁長官との会談

リヤード・マーリキー外務・移民庁長官と握手をする山田外務副大臣

 14日、山田副大臣は、リヤード・マーリキー外務・移民庁長官(H.E. Dr. Riad Malki, Minister of Foreign Affairs and Expatriates of Palestine)と会談しました。
 双方は、日本とパレスチナの関係強化のほか、パレスチナの現状や日本のパレスチナ難民支援などについて意見交換を行いました。山田副大臣からは、イスラエル・パレスチナ間の緊張の高まり及び衝突や暴力により多くの死傷者が出ていることに触れつつ、アカバ共同コミュニケに示されたコミットメントがイスラエル及びパレスチナ双方により真摯に履行されることを強く期待する旨表明するとともに、引き続き日本独自の取組を通じ双方の信頼醸成等に貢献していく旨述べました。マーリキー長官から、新規支援を含めて日本の支援に謝意を表明の上、今後も日本との関係を強化していきたい旨の発言がありました。

(3)パレスチナ難民キャンプの視察

山田外務副大臣がラマッラ近郊のジャラゾン難民キャンプ視察した際に、UNRWA関係者等と一緒に撮影した記念写真

 14日、山田副大臣は、西岸地区のパレスチナ難民の状況把握や今後の支援の方策検討のため、ラマッラ近郊にあるジャラゾン難民キャンプへの視察を実施しました。UNRWA関係者から、同難民キャンプの現状や課題、技術協力プロジェクトや無償資金協力を通じたJICAとの協力につき説明があるとともに、日本のパレスチナ難民支援につき謝意の表明がありました。

(4)ジェリコ農産加工団地及びヒシャム宮殿の視察

「平和と繁栄の回廊」構想の旗艦事業「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」でのパレスチナ側スタッフと山田外務副大臣の記念写真
ヒシャム宮殿遺跡を訪問し、遺跡保護や観光進行の現状の説明を受ける山田外務副大臣

 15日、山田副大臣は、我が国が主導する「平和と繁栄の回廊」構想の旗艦事業である「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」を訪問し、パレスチナ側から、現在15社が稼働しているJAIPの現状及び今後の取組みについて説明を受けました。また、日本が遺跡の保護と観光振興のための協力を実施した、ヒシャム宮殿遺跡を訪問し、パレスチナ側から同遺跡の現状について説明を受けました。

3 レバノン(8月16日)

(1)ミカーティ暫定首相への表敬

ナジーブ・ミカーティ暫定首相を表敬し、意見交換をする山田外務副大臣

 山田副大臣は、ナジーブ・ミカーティ暫定首相(H.E. Mr. Najib Mikati, Caretaker Prime Minister)を表敬しました。
 山田副大臣から、これまでの日本による対レバノン支援につき説明するとともに、発効した技術協力協定も踏まえレバノンの安定化に資する経済・社会開発支援を今後も継続していく旨確認しました。またカルロス・ゴーン被告人問題、大統領不在の長期化等のレバノンが抱える喫緊の課題、シリア情勢等につき、日本の立場を説明するとともに、両国間での協力継続の必要性を確認しました。
 これに対しミカーティ暫定首相からは、日本に支援に対する謝意が表明されるとともに、レバノンが抱える課題やシリア情勢を含めた国際情勢につき説明があり、日本との二国間関係や国際場裡での協力を強化していきたい旨述べました。

(2)ナビーフ・ベッリ国会議長への表敬

ナビーフ・ベッリ国会議長と握手をする山田外務副大臣

 山田副大臣は、ナビーフ・ベッリ国会議長(H.E. Nabih Berry, Speaker of Parliament of the Lebanese Republic)を表敬しました。
 山田副大臣からは、多数のシリア人難民を受け入れているレバノンの困難な状況への理解を示すとともに、これまでのレバノンによるシリア問題への対応における貢献を評価する旨述べました。また、日本による対レバノン支援につき説明しつつ、レバノン内政における混乱の早期の収束に向けた期待を伝達しました。
 これに対しベッリ国会議長からはレバノンが置かれた経済・政治情勢について説明があり、日本との二国間関係を強化していきたい旨の発言がありました。

(3)レバノン国会議員等との昼食会

レバノン国会議員等との昼食会の際の記念写真

 山田副大臣は、ファーディ・アラーメ国会外交委員長(Mr. Fadi Alameh, Chairman of the Foreign Affairs and Emigrants Committee)、サリーム・サーイグ・レバノン日友好議員連盟会長(Mr. Salim al-Sayegh, Chairman of The Parliamentary Friendship Group with Japan)及びサリーム・ジュサーティ前大統領補佐官(Mr. Salim Jrysati, Former Advisor for President)と昼食を挟んで意見交換を行いました。二国間関係及びレバノンを含む地域情勢に関する活発な意見交換を通じて、参加者は、多様なレベルでの両国間の相互往来を活性化させる必要性を確認しました。

(4)レバノン国内難民関連施設への視察

シリア難民支援コミュニティセンターでのスタッフと山田外務副大臣との記念写真

 山田副大臣は、レバノン国内におけるシリア難民の状況を把握して今後の支援の方策を検討するため、ベイルート近郊にあるシリア難民支援コミュニティセンター(Community Development Centre)やシリア難民小規模居住地区(Informal Settlement)への視察を実施しました。国連難民高等弁務官(UNHCR)事務所や施設管理団体より、現状や課題につき説明があると共に、日本が実施する支援につき謝意の表明がありました。

4 エジプト(8月17日)

(1)ローザ・アフリカ担当外務副大臣との会談

ハムディ・ローザ・アフリカ担当外務副大臣と握手をする山田外務副大臣
山田副大臣とハムディ・ローザ・アフリカ担当外務副大臣との会談の様子

 山田副大臣は、ハムディ・ローザ・アフリカ担当外務副大臣(H.E. Amb. Hamdy Sanad Loza, Deputy Foreign Minister for African Affairs)と会談しました。
 山田副大臣から、4月の岸田総理のエジプト訪問時に、二国間関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げしたことのフォローアップとして、今次訪問では特に二国間の主要な経済、経済協力案件について関係強化を確認したいと述べ、両者は、両国間の象徴的な協力案件である大エジプト博物館や今後の経済関係発展の方途について、意見交換を行いました。
 また、両者はスーダン情勢、中東和平を始めとする地域情勢及び、ロシアによるウクライナ侵略に起因する食料問題について議論しました。これに加え、山田副大臣からは、エジプトによる在スーダン日本大使館臨時事務所の移転受け入れに対して謝意を表明し、先方から、スーダン情勢へのエジプトによる対応について説明しました。

(2)大エジプト博物館(GEM)の視察

大エジプト博物館(GEM)を視察し、アーテフGEM及び周辺地域総責任者や関係者と握手をする山田外務副大臣

 山田副大臣は、日本が2006年以降、円借款や技術協力により博物館建設、遺物の保存修復、博物館の運営・展示能力強化などの協力を行ってきた、日本とエジプトの文化協力の象徴である大エジプト博物館(GEM)を視察しました。アーテフGEM及び周辺地域総責任者から、GEMの正式な開館に向けた進捗について説明があり、日本による継続的な支援に対し謝意が示されるとともに、今後の更なる協力拡大への期待が表明されました。

(3)エジプト日本学校(EJS)視察

エジプト日本学校(EJS)で日本式教育普及の現場で活躍している教育関係者と山田外務副大臣の記念写真

 山田副大臣は、2016年の日エジプト首脳会談で発表された「エジプト・日本教育パートナーシップ(EJEP)」に基づき進められている同国の基礎教育課程における日本式教育の導入について現状を確認し、今後の協力の検討のため、モデル校であるエジプト日本学校(EJS)を訪問し、日本式教育普及の現場で活躍している教育関係者と意見交換をしました。同校校長等から、日本式教育の導入の現状や学校の取組について説明があるとともに、日本による継続的な支援に対する謝意が示されました。


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