外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日、私は、地方の魅力を世界に発信する「地方を世界へ」プロジェクト第5弾として、ここ長野に参りました。
 午前には、6名の駐日大使の皆様と共に、諏訪大社とシードル醸造所を視察しまして、長野県の多様な魅力を改めて感じました。その後、知事をはじめとする地元首長等と経済界の皆様も交えまして、地方の魅力の発信や我が国の外交政策等々について率直な意見交換を行いました。
 午後ですが、様々な分野で活躍する長野の皆様と車座対話を実施し、国際協力・国際交流、それからインバウンド拡大、地元産品の海外展開、更には文化の発信等について有意義な意見交換を行うことができました。長野の魅力を世界に発信する、その努力を続けておられる皆様の活動に大きな刺激を受けました。

 また、先ほどまで、ここ駒ヶ根青年海外協力隊訓練所におきまして駐日大使と共に視察し、今まさに開発途上国の現場への派遣に向けた訓練の途中でありますJICA海外協力隊員候補者の皆様と懇談することができました。開発協力を一層効果的・戦略的に活用するため開発協力大綱、これを本年改定致しました。JICA海外協力隊への期待も一層大きくなっているところであります。懇談を通じて皆様の開発途上国への貢献に向けた高い志に触れ、私自身、大変感銘を受けたところであります。
 先ほどの伊藤市長、宮下議員との意見交換でも触れましたが、JICA海外協力隊の活動を長年にわたって支えて頂いている地元の皆様に改めて感謝申し上げたいと思います。今回の訪問を通じて伺った地元の方々の御知見また御意見を踏まえ、私自身が先頭に立ちまして、地方の魅力を世界に発信し、インバウンド需要の喚起、そして地域の更なる活性化につなげていきたいと思います。

質疑応答

【記者】ALPS処理水の海洋放出について伺います。本日放出を開始しましたが、安全性について引き続き見解に隔たりがある中国への対応を伺います。また、周辺国に対して、今後どういう形で説明や情報共有を続けていくか、伺います。

【林外務大臣】中国との関係では、これまで様々な形で表明されました先方関心に対しまして、一つ一つ丁寧に回答や説明を重ねるなど、真摯に対応してきております。また、中国から科学的根拠に基づかない内容の発信がなされていることに対しまして、累次にわたり科学的な根拠に基づき適切に反論を行うとともに、科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求めてきているところであります。また、IAEAの包括報告書は、ALPS処理水の海洋放出は関連の国際安全基準に合致しており、人及び環境への影響は無視できる程度であるとの結論を示しておるところでございます。
 こうした中で、中国が現行の輸入規制に加えて、新たな措置を導入したことは、日本からの食品輸入規制緩和・撤廃に向けた国際的な動きに逆行するものでありまして、極めて遺憾であります。中国側に対しまして、こうした科学的根拠に基づかない措置は全く受け入れられず、措置の即時撤廃を求める申入れを行ったところでございます。
 ALPS処理水の海洋放出の安全性につきましては、IAEA包括報告書の結論も踏まえ、政府として、国際会議の場や二国間会談の機会に日本の取組を丁寧に説明してきているほか、政府のホームページそしてSNSを活用する等、全世界に積極的に説明、発信を行っています。
 その結果、ALPS処理水の海洋放出が国際安全基準に整合的であることなどを結論づけるIAEA包括報告書に対して、欧米、アジア大洋州、南米といった幅広い地域の国々が支持・評価を表明するなど、ALPS処理水の海洋放出に対する理解は広がってきております。IAEAも、このような日本側の説明努力を肯定的に評価しておりまして、今後とも、IAEAとも連携しつつ、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく丁寧な情報提供を続けてまいります。なお、明日ですね、グロッシーIAEA事務局長と電話会談を行い、今後の連携を改めて確認することとしております。

【記者】北朝鮮の本日未明のミサイル発射について伺います。今回早いタイミングで日米韓の外相電話会談が実施されましたが、北朝鮮側が10月に再発射を予告している中、今後3カ国でどのように連携し対応していく考えでしょうか。

【林外務大臣】本日、ここ長野県への出張中、私は、ブリンケン米国国務長官及び朴振外交部長官との間で、電話協議を実施いたしました。先日の米国キャンプ・デービッドで開催されました日米韓首脳会合を受けて、北朝鮮への対応についてもですね、日米韓でこれまで以上に緊密に連携しているところでございます。本電話会談は、日米韓首脳会合における、協議するとのコミットメントを踏まえて実施したものでございます。
 電話会談では、本日の北朝鮮による衛星打ち上げを目的とした弾道ミサイル技術を使用した発射、これを強く非難した上で、北朝鮮が前例のない頻度と新たな態様で弾道ミサイル等の発射を行っていることは、地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとの認識を改めて共有いたしました。今後とも、日米、日米韓で緊密に連携し、国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指してまいります。

【記者】JICAの研修所の視察を終えられまして、先日改定した開発協力大綱についても激励のあいさつの中で触れてらっしゃいました。ODAを日本外交の最も重要なツールの一つと位置づけておりますが、開発協力を戦略的に進める上で、JICA海外協力隊の果たす役割について期待されること何か、お聞かせください。

【林外務大臣】これまで半世紀以上に亘りまして、5万人以上のJICA海外協力隊員の皆さんが、開発途上国において、現地の人々と共に暮らし、共に考え、課題解決に取り組むことで、その国の経済・社会の発展と日本と開発途上国との友好協力関係の増進に多大な貢献してきたところであります。
 本年改定した開発協力大綱では、こうしたJICA海外協力隊員を日本が国の開発協力の強みの一つとして位置付けており、日本らしい協力として引き続き推進していきたいと考えております。
 また、隊員が帰国後に任国での知見を活かし、地方創生等の日本が抱える課題の解決に貢献していただく、ということにも期待したいと思います。

【記者】本日、カモシカシードル醸造所を外交団と視察されましたが、意義や感想と各国大使の反応はいかがだったでしょうか。また、今回の視察を今後にどうつなげていきたいでしょうか。

【林外務大臣】今回、カモシカシードル醸造所を訪問いたしまして、大使の皆様に長野県が誇るリンゴ、またイチゴもありましたが、その果実味が凝縮されたシードルを雄大な自然に囲まれた中で、一緒に堪能できたことを嬉しく思います。共に視察した駐日大使の皆さんも、シードルの味を楽しまれていまして、また醸造所の関係者の皆さんの説明を関心を持って聞かれ、積極的に質問をされていたのが印象的でした。
 今回の視察も踏まえまして、今後も外務省として、長野県をはじめとする日本の地方を世界に発信するために、しっかりと、引き続き尽力していきたいと思います。

【記者】4月の軽井沢に続いての長野訪問となられました。今回は長野の南部の諏訪、伊那、駒ケ根を視察されたわけですが、率直な感想ですとか、この地方の魅力を発信していく可能性についてどのようにお感じになったか、教えてください。

【林外務大臣】まず、日本最古の神社の一つである諏訪大社では、その長い歴史とそれに裏打ちされました奥深い文化と伝統、時間が限られていましたが、訪れることができました。そして、シードル醸造所ですが、先ほども申し上げたようにリンゴの果実味が凝縮されたシードルを雄大な自然と共に堪能させていただきました。そして、ここ駒ヶ根青年海外協力隊訓練所では、隊員候補者の皆さんの高い志に感銘を受けました。そして、昼食意見交換会や車座対話においては、地元の皆さまがそれぞれの分野で長野県の魅力を世界に発信する取組を続けていらっしゃることに、大変刺激を頂きました。外交団の皆さんも、自然、歴史、文化、こうした長野の魅力に感激され、また是非戻ってきたいと仰っておられました。特色ある日本各地の魅力というものは日本外交の大きな資産であります。私自身がこうして先頭に立って、地方の魅力を世界に発信し、インバウンド需要の喚起や地域の更なる活性化、こうしたものにしっかりとつなげていきたいと思います。

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