外務省・新着情報

令和5年8月25日
テーブルにつき、G20貿易・投資大臣会合に臨む、山田外務副大臣の様子(遠写)
テーブルにつき、G20貿易・投資大臣会合に臨む、山田外務副大臣の様子(近写)

 8月23日から26日まで、山田賢司外務副大臣は、インド共和国のジャイプールにおいて、本年のG20議長国であるインドのピユーシュ・ゴヤル商工大臣(H.E. Mr. Piyush Goyal, Minister of Commerce and Industry, Government of India)が主催するG20貿易・投資大臣会合に出席するために出張したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 今次会合では、議長国インドが提起した、(1)成長及び繁栄のための多国間貿易、(2)包摂的で強靱な貿易、(3)ペーパーレス貿易のための技術の活用の3つの主要テーマの下で議論が行われ、貿易・投資が持続可能な成長において果たす役割、WTO改革の重要性等について活発な意見交換が行われました。また、日本を始めとする多くの国が、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難するとともに、ロシアの侵略行為が貿易を含む、世界経済、特に途上国経済に影響を及ぼしていることへの深刻な懸念を表明しました。
  2. 山田副大臣からは、今次会合において、概要以下のとおり発言しました。
    1. ルールに基づく自由で公正な貿易体制の中核はWTOであり、全ての加盟国がWTO改革に取り組むべきである。紛争解決制度改革に加え、マルチのルール形成とともに「共同声明イニシアティブ(JSI)」等のプルリ(特定の複数国間)の取組を前進させ、審議機能を強化 していくべきである。
    2. 来年2月のWTO第13回閣僚会議(MC13)で成果を出すため、各国の協力が必要。日本が先月受諾した漁業補助金協定について、WTO第13回閣僚会合(MC13)までの発効を実現すべく各国が国内手続を加速することが重要である。
    3. 強靱で信頼性のあるサプライチェーンの実現に向け、各国が、WTO等の国際ルールを遵守すると同時に、威圧的または非市場的な措置を実施しないことが必要である。
    4. JSIに関し、先月の投資円滑化協定のテキスト交渉妥結を歓迎し、早期にWTO協定に組み込まれることを期待しつつ、既に交渉が妥結しているサービス国内規制の規律についても、早期の効力発生を期待する。
    5. 貿易コストの削減のため、ペーパーレス貿易の促進やWTO貿易円滑化協定の完全な実施の促進が重要である。
    6. 貿易円滑化のため、日本はODAを通じ、世界税関機構(WCO)等と協力しつつ、各国の税関の能力強化のための支援を行ってきており、今後も各国や国際機関等と連携し、引き続き効果的な支援を行っていく。
  3. また、山田副大臣は、24日の会合の場において、24日未明に北朝鮮が累次の国連安保理決議に違反して弾道ミサイル技術を使用した発射を行ったことを強く非難しました。また、山田副大臣は、同じく、24日の会合の場において、中国政府が、日本産水産物の輸入を全面的に一時停止する旨を発表したこと対して、ALPS処理水の海洋放出については科学的根拠に基づき透明性をもって国際社会に対して説明を行ってきていること、日本政府は、人の健康及び海洋環境に悪影響を与えるような海洋放出を断じて認めないこと、この海洋放出が国際安全基準に合致することなどを結論づけるIAEA包括報告書に対して、幅広い地域の国々が支持・評価を表明するなど、日本の真摯な取組については、多くの国から理解と支持を得てきていること等を説明し、我が国として中国側の科学的に根拠に基づかない措置は全く受け入れられず、即時撤廃を求める旨発言しました。
  4. この他、山田副大臣は、滞在中、アラブ首長国連邦のサーニー・ビン・アフマド・アル・ゼイユーディ貿易担当国務大臣(H.E. Dr. Thani bin Ahmed Al Zeyoudi, Minister of State for Foreign Trade, United Arab Emirates)、トルコ共和国のムスタファ・トゥズジュ貿易副大臣(H.E. Mr. Mustafa Tuzcu, Deputy Minister of Trade, Republic of Türkiye)、中国の王受文(おう・じゅぶん)商務部国際貿易交渉代表兼副部長、フランスのオリヴィエ・ベシュト欧州・外務大臣付対外貿易・誘致・在外フランス人担当大臣(Mr. Oliver Becht, Minister Delegate in Charge of Foreign Trade, Attractiveness and French National Abroad, to the Minister for Europe and Foreign Affairs of the French Republic)、インドネシアのズルキフリ・ハッサン商業大臣(H.E. Dr. H.C.Zulkifli Hasan, Minister of Trade, Republic of Indonesia)、ゴズィ・オコンジョ=イウェアラWTO事務局長(Dr. Ngozi OKONJO-IWEALA, Director-General of the World Trade Organization)、コーク・ハミルトンITC事務局長(Ms. Pamela Rosemarie Coke-Hamilton, Executive Director of ITC)、ウルリック・クヌッセンOECD事務次長(Mr. Ulrik Vestergaard Knudsen, Deputy Secretary-General of the OECD) と会談を行ったほか、米、カナダ、EU、豪、インド、ブラジルをはじめとする多くの参加閣僚らと個別に立ち話を行いました。
(参考1)G20メンバー及び招待国・国際機関

  • 【G20メンバー】日本、インド(議長国)、アルゼンチン、豪州、ブラジル、インドネシア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、EU
  • 【招待国】シンガポール、バングラデシュ、オランダ、スペイン、スイス、エジプト、オマーン、アラブ首長国連邦、モーリシャス、ナイジェリア
  • 【国際機関】世界貿易機関(WTO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、国際貿易センター(ITC)、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)
(参考2)別添


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