経産省・新着情報

2023年8月29日(火曜日)
11時00分~11時27分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

おはようございます。私から5点、申し上げます。

【生成AI】

まず、生成AIについてです。これからの経済、社会の在り方を大きく変える、働き方も大きく変える、その重要な技術、特に日本経済の今後の成長を左右する大変重要な技術だと考えております。その生成AIの基盤的な開発能力を速やかに国内で醸成する必要があると考えております。
このため、経産省として、この計算資源の拡充に努めておりますけれども、足元ですぐにできる対応として、産総研が所有しているAIスパコンでありますABCIを利用した大規模言語モデルの開発支援、この公募を既に行ってきているところです。
1回目はプリファードネットワークス社を採択したところでありますが、2回目となる今回、このABCIの計算能力の約10%から25%を、ある意味で独占的に優先して使ってもらおうということで、8月29日、今日から公募開始をいたします。審査によって1社以上を採択し、10月上旬からの使用を予定しております。産総研で公募がされますので、是非幅広く応募いただければと思います。
今後、この生成AIの開発を日本として更に加速すべく、政府として民間企業による大規模言語モデルの開発支援、これを引き続き進めていくため、産総研のAIスパコンであるABCIの大幅拡充も含めて、様々な施策を検討していきたいと考えております。

【価格転嫁】

2点目、価格転嫁の取組についてです。いよいよ9月からまた価格交渉促進月間が始まるわけですが、3月の価格交渉促進月間の調査を行いました。1万7,000社以上の中小企業からの回答を整理しまして、発注側の企業、約120社について、交渉、転嫁の状況の企業リストを本日公表いたします。
特に交渉、転嫁の実施状況が芳しくなかった約20の発注側事業者に対しまして、今月から事業所管大臣から各社の経営トップに対して、改善を促す指導、助言を実施しております。
さらに、今回は発注側企業による優良事例、優秀事例も公表をしております。経営トップが率先して価格交渉、転嫁に取り組む旨を、社内外に発信をしている例とか、あるいは価格交渉を発注企業の調達担当者から取引先へ積極的に働きかけている例とか、あるいは原材料費のみならず、エネルギーコスト、あるいは労務費を含めたフォーマットを用意して価格交渉を行う例、こうした交渉、転嫁の優れた事例を公表しておりますので、是非多くの発注者側の企業、参考にしていただければと思います。
9月1日から価格交渉促進月間が始まります。3月と9月ですね。大体4月、10月に改定がなされるもので、その1か月前を促進月間としておりますけれども、是非下請事業者の皆様におかれては、思い切って価格交渉を申し出ていただければと思います。
常にトラック業界なども転嫁率が非常に低いのですけれども、実際に人手も足らない、ものを運べないという状況になりかねませんので、思い切ってこれは発注側の企業に、荷主さんに申入れをしていただきたいと思います。
発注側も下請に対してしわ寄せをするのは、結局、最終的には自分の首を絞めることになるわけであります。ものが作れない、運べないという事態になりかねませんので、サプライチェーン全体で共存、共栄を図っていく、是非そうした姿勢、価格転嫁に積極的に交渉に応じていただいて、適正な転嫁が実現できるよう、社内隅々まで徹底をしていただきたいと思います。
この後、事務方から詳細を発表させていただきますけれども、企業名、このようなリストで載せております。得点で評価をしておりまして、エが一番悪いわけですが、ウもそんなによくないということで、ウ、エのところは青線を引いております。
こうした企業、ウ、エの企業を青印で引いております。日本を代表する名立たる企業が入っております。是非、発注側の企業におかれては、交渉に応じていただいて、適正な転嫁を認めていただくようにお願いをしたいと思います。
繰り返しになりますが、協力企業、下請企業においても、是非積極的に交渉を申し出ていただいて、転嫁を要求していただきたいと思います。我々は全面的に応援していきたいと思います。

【核燃料サイクル】

3点目、本日、先ほど官邸で核燃料サイクル協議会を開催いたしました。宮下青森県知事から、原子力・核燃料サイクル政策の推進、そして高レベル放射性廃棄物の最終処分、原子力人材の育成、研究開発などについて要請があり、私から地元の御理解を頂いた上で、原子力・核燃料サイクル政策をしっかり進めていく旨をお伝えしたところであります。改めて、青森を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないということも申し上げました。
加えて、地域と原子力施設の共生に向けた方策を検討する会議体の設置についても要請があり、私から早期に設置したい旨を回答いたしました。この関連で、昨日、リサイクル燃料貯蔵株式会社が建設を進めております、むつの中間貯蔵施設について、原子力規制委員会から施設の運用ルールを定める保安規定の変更認可を受けたものと承知しております。同社においては、引き続き安全性確保を最優先に、事業開始に向けて安全対策工事、そして検査への対応を着実に進めていただければと思います。
2020年11月にこの中間貯蔵施設の事業変更の許可を原子力規制委員会から新規制基準に基づいて受けているところであります。その運用に関わる保安規定についての変更認可が得られたということであります。今後、工事、検査、しっかりと対応していただきたいと思います。
いずれにしましても、引き続き、関係自治体、そして国際社会の理解を得ながら、安全確保を大前提に、最優先にして核燃料サイクル政策を推進していきます。詳細については後ほど事務方からブリーフィングをさせていただきます。

【北海道出張】

それから、4点目、9月1日(金曜日)、ラピダス社の起工式に参加するため、北海道に出張します。当日は起工式への参加に加え、ASML、ラムリサーチ、アイメックなど、世界の半導体関連のトップ企業の、あるいは機関との会談、そしてラピダス社に出資していただいている日本企業との意見交換などを行う予定であります。
次世代半導体は、日本産業、日本経済全体の競争力強化の鍵を握るキーテクノロジーであります。その製造技術の基盤をしっかりと国内に確保すること、経済安全保障の観点からも極めて重要であります。
その中で、半導体に関する国際連携の核でもあるラピダス社は、先端半導体分野での有志国、地域のグローバルサプライチェーンの中で重要な役割を担うことが期待をされています。引き続き経産省としてしっかりと必要な支援を講じてまいりたいと思います。
今回の式典には、北海道、千歳市、そして国内外の半導体関連企業、地元の関連企業など、関係者が多く集まります。次世代半導体の製造基盤構築に向けて、御参加の皆様にも改めて協力をお願いしながら、このラピダスのプロジェクト、成功に向けて、関係者が力を合わせていく、そうした機会にしたいと考えております。

【大阪・京都出張】

5点目、最後です。明日30日から1泊2日の予定で大阪、京都に出張します。大阪府におきましては、国際博覧会協会を訪問します。今回の訪問で博覧会協会の職員の皆さんに訓示を行うとともに、咲洲庁舎の展望台におきまして、会場建設の進捗状況の説明を受ける予定であります。開催まで600日を切った中で、会場建設の進捗状況を確認したいと思いますし、開催に向けた準備に一層注力すべく、加速化すべく、訓示を行うことで職員の方々との連携を一層強化していきたいと考えています。
また、京都においては産学官が連携してスタートアップへの支援を行うインキュベーション施設であります中小機構のクリエイション・コア京都御車を訪問し、入居企業、スタートアップ企業、あるいは京都大学を中心とする大学発のスタートアップ、ベンチャー、そしてエコシステムの関係者と意見交換を行う予定にしております。
政府一丸となってスタートアップへの集中的な支援を行っているところですけれども、改めて関係者の皆様の生の声を聞いて、今後の政策立案に生かしていきたいと考えております。
私からは以上です。

質疑応答

【中国水産物輸入停止措置】

Q:福島第一原発の処理水排出に反発する中国の動向についてお尋ねします。
中国は先週24日に日本産の水産物の輸入を全面停止すると発表してから、中国国内で日本製化粧品の不買を促す動きが出ているほか、日本国内においても中国からと見られる嫌がらせ電話が相次ぐなど、影響が多方面に広がってきています。こうしたエスカレートしつつある一連の事態についての大臣の受け止めをお聞かせください。
また、大臣はこれまで科学的根拠に基づく議論の重要性というものを強調されてこられておりましたけども、改めて一連の問題に対する今後の対応方針も教えてください。
以上です。よろしくお願いします。

A:御指摘のように、中国国内において日本産の化粧品の不買を促す動きがあるという報道を承知しております。情報収集に努めているところですけれども、経済界、産業界とも連携しながら対応を講じていきたいと考えています。
また、24日の海洋放出開始後、日本国内において中国から発信されていると思われる電話による嫌がらせなどが多数発生をしております。極めて遺憾であり憂慮しているところであります。特に昨日も福島の皆さんからお聞きをしましたが、病院にも嫌がらせの電話が多数入っておりまして、正に人命に関わることであります。直ちにやめていただきたいというふうに思います。
本件については、外交ルートで中国政府に対しまして、状況の深刻化防止のため国民に冷静な行動を呼びかけるなど、適切な対応を早急に行うことを求めたところであります。いずれにしても、直ちにやめていただきたいと思います。
御指摘のように、海洋放出につきましてはIAEAによるレビュー、チェックを受けながら、今、専門家が常駐してくれておりますので、透明性を持って国際社会に説明を繰り返してきておりますけれども、放出後も各種モニタリングの結果を全て透明性を持って公表してきております。安全性が確認されてきているところであります。
また、IAEAが安全性について国際安全基準に合致することなどを結論づけた包括報告書について、それに対して欧米、アジア、オセアニア、南米の幅広い地域の国々が支持、評価を表明してくれております。核不拡散のNPTの運用検討会議、国際会議においても多くの国々、ドイツ、チェコ、スペイン、フランス、イタリア、イギリス、ベルギー、マレーシアなど、多くの国々が日本の取組、IAEAの取組に対する理解、支持の声明を出しております。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、パラグアイ、非常に多くの国々から理解と支持をいただいているところです。今後とも国際社会に対して透明性を持って説明を続けたいと思います。
そして、中国に対しても科学的根拠に基づく情報提供を続けていきたいと思いますし、科学的根拠に基づいてしっかり議論してくれ、考えてくれということを申し上げたいと思いますし、私も国際会議などいろいろな機を捉まえて伝えたいと思いますけれども、日本産食品に対する輸入規制措置の即時撤廃、これを政府挙げて改めて強く求めていきたいと思います。

【ALPS処理水放出需要対策基金】

Q:大臣は先日日曜日のテレビ討論に出演された際に、処理水の海洋放出に関して、北海道、宮城県の漁業者から相談があるので活用を急ぎたいとおっしゃっていましたが、北海道について、どのような業種とか、国としてどのような支援を検討され、いつ頃支援を始める予定なのか、お考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

A:300億円の需要対策基金ですね、これは風評影響が生じた場合に漁業者の皆さんが安心して漁業を継続していけるように、水産物の需要減少への対応を機動的に実施するものであります。
漁業者、そしてその団体だけではなくて、加工・流通・小売業など民間事業者も対象に、水産物の一時的な買取りとか保管とか、それから販路拡大の取組などについて支援を行うものです。
いろいろと相談を受けております。その基金の適用開始時期についてですが、既に申請をいただいておりますので、審査を経た上で交付に向けた手続を速やかに取っていきたいと思います。
この関係者の皆様、漁業者を中心に、関連事業者の皆さんの状況、思いに寄り添いながら、この基金の適切・迅速な執行、そして、さらには、被害が明確になってきた場合は賠償対応、こうした支援策に万全を期していきたいと考えております。
個別の申請適用については、それぞれの取引に影響も与えますので、これ以上のことは控えたいと思いますが、いずれにしても、機動的に迅速に対応したいと考えております。

【トヨタ工場稼働停止、ガソリン価格高騰対策】

Q:今朝、トヨタの工場の大部分で、システムトラブルで操業が停止しているという情報がありましたけれども、これについての受け止めと対応があればお願いします。
また2点目が、ガソリンの価格について、今朝、自民党の平場でも提言がありましたが、検討状況と今後の進め方についてお願いします。

A:まず、トヨタの件ですけれども、先ほど私も報告を受けまして、部品発注に関するシステムの不具合が原因で、今朝からトヨタグループ、まずは12工場ということで聞いておりましたが、先ほど夕方には二つの工場も稼働停止予定ということで、14の車両製造工場全て停止する予定と報告を受けております。
現在、その原因の特定と復旧に向けた作業がなされていると承知しておりますが、私も確認したのですが、現段階ではサイバー攻撃による不具合ではないと思われるということでトヨタ側も発表されていると思います。ただ、いろいろな可能性を含めて原因究明を急いでいるところと聞いております。そして、復旧に向けた作業に取り組んでいるということであります。経済産業省としても状況をしっかり把握しながら、何かできることがあれば対応していきたいと考えております。

※ 実際の発言は「先ほど二つの工場も稼働停止ということで、現在14の車両製造工場全て停止をしていると報告を受けております。」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

それから、ガソリン価格の高騰対策でありますけれども、最高水準の185円、過去最高のこれに近づいてきております。先週、岸田総理から与党に対しまして、緊急に検討を行い、月内に与党として一定方向性を提案するよう指示があったところであります。
これを受けまして、私どもとしても検討を進めております。与党ともよく連携をした上で、国民の皆様が効果を実感できるよう、必要な措置を急ぎ検討を進めていきたいと考えております。

【燃料価格激変緩和措置】

Q:先ほどの質問に関連するんですが、ガソリンの補助の拡充延長について、もともと時限的・緊急避難的措置ということで始めたんですが、対外的な要因が大きいとはいえ、ここまで続いていることに対する大臣の率直な受け止めと、あとは、これも対外的な要因が今後見通せないとは思うんですが、今後これどういうふうに出口戦略を描いていくのかという、そういうお考えがもしあれば教えてください。

 

A:非常に悩ましいところでありまして、非常に大きな金額が使用されていきますので、そしてG7でも、この支援策については暫時なくしていくという大きな方向性も共有しているところであります。
非常に悩ましいのですが、過去最高のガソリン価格となっている中で、私も各地を訪問する、地元福島、あるいはそれ以外の地域も訪問する中で、やはり地域は車社会であります。公共交通機関が十分にない中で車に頼っている社会であります。非常に国民の皆さんの負担感が大きくなっているというのは事実だと思いますので、やはりその負担軽減に向けた取組は一定継続していく必要があると認識しております。
今後、原油価格、そして為替の動向をにらみながら、実際にどういうふうに推移していくのか、この価格動向をよく注視をしていきたいと考えております。長い目で見て、電気自動車や水素やハイブリッド、こうした電動車を100%にしていくという目標でありますので、そうした目標に向かって加速して進んでいくことも重要だと思います。
これは電気、ガスもそうですけれども、やはり今のこの時期に省エネ型の経済社会を作っていくということ、エネルギー危機に強い構造を作っていくことも非常に重要でありますので、省エネ補助金も非常に今各地で使われております、断熱の窓など。こうした取組を更に支援していくことも検討していきたいと考えております。
いずれにしても、国際的な価格動向をよく注視をしながら、国民の皆さんの負担が重くならないような仕組みも含めて適切な対応を考えていきたいと思います。

【ALPS処理水放出】

Q:先ほども質問あったんですけれども、重ねてALPS処理水海洋放出について。中国の日本産水産品の全面禁輸を受けて、同じくBRICSメンバーのロシアが中国向け輸出を拡大する旨を明らかにしています。また、太平洋島嶼部の国々も懸念を表明するなど、中国の反海洋放出表明の影響が広がっています。
今後、中東の産油国を中心に新規6か国を加えたBRICSが中国の動きに連動して、日本へのエネルギー資源の輸出を減らす又は止めるということがあり得ないと断言できるでしょうか。日本の海洋放出政策への反発がこれ以上広がる前に、海洋放出を少なくとも一旦は止めることが国益にかなうとは考えられないでしょうか。よろしくお願いします。

A:まず、2点申し上げたいと思います。一つは、水産関連の方への支援ですね。私どもの300億、500億の計800億の基金を使った支援がありますけれども、農水省におきまして、さらに加工業界含めて様々な支援策、経済構造でいいますと、中国に輸出をしてそこで加工されて、ヨーロッパやアメリカに輸出をされる、そうした金額もかなりありますので、その加工を国内でやれないかとか、様々な検討が今なされております。そしてその仕向地も、それ以外のところへの輸出も含めて、農水省と経産省が連携してそうした対応、そしてもちろん国内消費をしっかり喚起をしていく拡大に向けた取組、これは引き続き、これは全省庁を挙げて取組を進めていきたいと思っております
そして中東の国々とは、私も年末年始訪問いたしましたし、エネルギー大臣会合でその都度、サウジ、UAEはじめ関係大臣と連携を確認してきております。中東と日本との結びつきは非常に深いものがあります。歴史的にも、そして現在も、特に脱炭素が長い目で見て進んでいく中で日本の技術、人材、投資に対する期待も非常に大きいものがありますので、こうした国際的な動きが私どもとして広がらないように、引き続き国際社会、G7、そして同志国、有志国と連携をしながら進めていきたいと考えております。
NPTの会合、あるいはG20のエネルギー大臣会合でも、日本の取組をしっかり説明をし、先ほど申し上げたようにNPTの会議では多くの国々から日本の取組、IAEAの取組に対して支持が得られているところでありますので、引き続き国際社会に対して透明性高く、科学的根拠をしっかりと示しながら説明をしていきたいと考えております。

 

以上

最終更新日:2023年8月29日

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