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2023年8月29日

8月29日(火曜日)、内閣府・文部科学省・経済産業省は、核燃料サイクル協議会(※)を開催しました。本協議会では、青森県知事と松野官房長官・関係閣僚等が、核燃料サイクル政策や特定放射性廃棄物の最終処分、原子力人材の育成・研究開発について意見交換を行いました。

※核燃料サイクル政策について、青森県と関係閣僚が意見交換を行う場。1997年の設置以降、過去、計12回開催。(前回:令和2年10月21日)

1.概要

日時:令和5年8月29日(火曜日)10時15分から10時42分
場所:総理官邸 4階 大会議室
出席者:
 松野 博一内閣官房長官
 高市 早苗内閣府特命担当大臣(科学技術政策)
 西村 明宏内閣府特命担当大臣(原子力防災)
 永岡 桂子文部科学大臣
 西村 康稔経済産業大臣
 宮下 宗一郎青森県知事
 池辺 和弘電気事業連合会会長
 村瀬 佳史資源エネルギー庁長官(司会)他

2.内容

(1)宮下青森県知事からの確認・要請

①原子力・核燃料サイクル政策の推進について

  • 国策としての原子力・核燃料サイクル政策の推進について確認。
  • 六ヶ所再処理工場、MOX燃料工場の着実な竣工・操業、プルサーマルの推進など、軽水炉サイクル実現に向けた取組の確認。
  • 高速炉サイクルの実現に向けた取組の確認。
  • 研究機関の青森県への立地も含め、原子力関係の人材育成及び関連技術の研究開発を着実に進めることを要請。

②原子力施設の安全性の確保について

  • 国から原子力事業者に対する安全審査対応等の指導を要請。

③特定放射性廃棄物の最終処分と搬出期限の遵守について

  • 青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないことの確認。
  • 最終処分のプロセス加速化の取組の確認。
  • 青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限の遵守と取組の確認。

④地域振興と立地地域との共生について

  • 立地・周辺市町村及び全県への地域振興に対する基本認識の確認。
  • 国、立地自治体、事業者等が一体となり、地域と原子力施設の共生を考える会議体の早期設置を要請。

⑤原子力防災対策について

  • 避難道路や放射線防護対策施設、大間原子力発電所・むつ使用済燃料中間貯蔵施設に係るオフサイトセンターの整備等をはじめ原子力防災対策について、国が前面に立って継続的に充実強化を図ることを要請。
  • 原子燃料サイクル施設を含む「東通地域の緊急時対応」の取りまとめに当たっては、県及び市町村と十分協議・調整のうえ、実効的なものとすることを要請。

⑥使用済燃料対策について

  • 使用済燃料対策に関する国の認識と対応について確認。

(2)関係閣僚からの回答

①原子力・核燃料サイクル政策の推進について

  • エネルギーの安定供給と脱炭素化に向けて、安全性の確保を大前提に、原子力を安定的に利用していくことが必要。
  • 核燃料サイクルは、エネルギー基本計画で閣議決定している通り、我が国の基本的方針として、引き続き堅持していく。
  • 軽水炉サイクルの実現に向けて、六ヶ所再処理工場やMOX燃料加工工場の竣工は最も重要。安全性の確保を大前提に、竣工目標の達成と操業に向けた準備を、官民一体で進めていく。
  • また、電気事業連合会が2030年度までに少なくとも12基でのプルサーマル実施を目指す旨を表明しているところ、国も事業者と連携しながら、プルサーマルを一層推進していく。
  • 高速炉の実証炉開発に向け、予算措置と開発の中核となる企業を選定したところ、高速炉サイクルの実現に向けて開発を推進していく。
  • 原子力利用の基盤である技術・人材の維持・強化のため、長期的な目線に立って取り組む。
  • 「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持しつつ、原子力委員会が示した基本的な考え方を通して、プルトニウムの適切な管理と利用に取り組む。
  • 核燃料サイクルの確立や原子力の安全性の向上に向け、研究開発の推進や高いレベルの人材の確保・育成に取り組んでいく。

②原子力施設の安全性の確保について

  • 原子力事業者に対して、審査に的確に対応し、安全対策工事を着実に実施するとともに、安全マネジメント体制の整備を進めるよう、引き続き指導していく。

③特定放射性廃棄物の最終処分について

  • 青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしない約束は引き続き遵守。
  • 高レベル放射性廃棄物については、事業者において地元との搬出期限の約束を遵守するよう、国としても指導する。
  • 文献調査の実施地域の拡大を目指し、最終処分に向けた取組を加速させることにより、法令に基づくプロセスに従って早期に最終処分地に関する目途がつけられるよう、最善の努力を尽くす。

④地域振興と立地地域との共生について

  • 立地市町村をはじめ、周辺市町村や青森県の持続的な発展を図っていくことが重要と認識。
  • 地域と原子力施設の共生に向けた方策を検討する会議体を早期に設置する。

⑤原子力防災対策について

  • 原子力災害に関する対策や、原子燃料サイクル施設を含む「東通(ひがしどおり)地域の緊急時対応」の取りまとめに当たっては、地域原子力防災協議会の枠組を活用しながら、関係省庁や関係自治体と連携し、原子力防災体制の充実・強化に着実に取り組む。

⑥使用済燃料対策について

  • むつ中間貯蔵施設の事業開始について地域をあげて協力していただきたい。貯蔵能力の拡大に向けた具体的な取組の進展は重要な課題と認識。このような取組に加え、事業者間の一層の連携強化を進めることも使用済燃料対策の柔軟性を確保する上で大きな意義がある。

(3)電気事業連合会会長からの回答

①原子力・核燃料サイクル政策の推進について

  • 原子燃料サイクル確立に向けた、総合的かつ整合的な対応を実施する。
  • 六ケ所再処理工場の竣工に向けて、日本原燃をオールジャパン体制で支援すると共に、事業者間の連携・協力を含め、プルサーマルを推進する。

②原子力施設の安全性の確保について

  • 安全性の確保を大前提に、社会および地元の皆様と信頼関係を構築の上で事業を運営することが最も重要であり、安全マネジメント改革タスクチームを活用し、継続的に安全マネジメント品質を高める活動を実施する。

③特定放射性廃棄物の最終処分と搬出期限の遵守について

  • 青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないことの確約を引き続き遵守する。
  • 最終処分の実現に向けて、国・NUMO・電力の合同チームの連協を強化し、文献調査の実施地域の拡大に取り組む。
  • 青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守し、そのための取組についても検討する。

④地域振興と立地地域との共生について

  • 青森県の発展に貢献するため、地域振興への協力に取り組む。
  • 今後の協力の内容や進め方は、有効な協力ができるよう、国や県と相談しながら進める。

⑤使用済燃料対策について

  • 使用済燃料対策推進計画に基づき、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を進めることで、使用済燃料の貯蔵能力拡大を図る。
  • 事業者間の連携を一層強化し、取り組みを着実に推進する。

(4)官房長官からの発言 締めくくり

  • 我が国の原子力政策にとって、核燃料サイクルの確立は重要。六ケ所再処理工場の竣工目標実現と操業に向け、政府の総力を挙げて、事業者と一体となって取り組む。安全性の確保を第一に、核燃料サイクル政策を推進する。
  • 青森県を最終処分地にしない旨の約束は、現内閣においても継承。
  • 最終処分は必ず解決しなければならない課題。「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」に沿って、政府として最終処分の実現に向けた取組を加速する。
  • 原子力施設が地域と共生することが重要。その実現に向け、関係省庁が連携して取り組む。
  • 原子力政策について、安全確保を第一に、政府一丸となってぶれることなく進める。青森県の皆様には、引き続き、御理解と御協力をお願いしたい。
以上

担当

  • 資源エネルギー庁
    原子力立地・核燃料サイクル産業課長 皆川
    担当者:島
    電話:03-3501-1511(内線 4791)
    メール:bzl-s-denga-cyclesangyo★meti.go.jp
    ※ [★]を[@]に置き換えてください。 

  • 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局
    参事官(原子力担当) 梅北
    担当者:下村
    電話:03-6257-1315(直通)

  • 内閣府政策統括官(原子力防災担当)付
    参事官(地域防災担当) 根木
    担当者:野口
    電話:03-3581-0373(直通)

  • 文部科学省
    研究開発局戦略官(核燃料サイクル・廃止措置担当) 井出
    担当者:久保田
    電話:03-6734-4166(直通)

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