外務省・新着情報

令和5年9月3日
アイマン・サファディ・ヨルダン副首相兼外務・移民大臣と握手をする林外務大臣
日ヨルダン外相間戦略対話の様子
日ヨルダン外相会談の様子

 現地時間9月3日午後3時10分(日本時間同日午後9時10分)から約65分間、ヨルダン・ハシェミット王国を訪問中の林芳正外務大臣は、アイマン・サファディ・ヨルダン・ハシェミット王国副首相兼外務・移民大臣(H.E. Mr. Ayman Al Safadi, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs and Expatriates of the Hashemite Kingdom of Jordan)との間で、第4回日・ヨルダン外相間戦略対話を行ったところ、概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭、林大臣から、3月の東京での外相間戦略対話に続き、サファディ大臣と頻繁に会談を行えていることは日・ヨルダン間の緊密な関係の証である旨述べたのに対し、サファディ大臣からは、林大臣のヨルダン訪問を歓迎し、戦略対話を通じて幅広く議論を行い両国の協力関係を一層進展させたい旨発言がありました。
  2. 両大臣は、両国の戦略的パートナーシップを更に発展させていくため、以下のとおり、政治・経済・安全保障等の幅広い分野で、今後一層の関係強化に取り組んでいくことで一致しました。
    1. 二国間関係
      1. 経済・経済協力
         サファディ大臣からは、ヨルダンの経済・財政改革や近代化に向けた取組について説明がなされた上で、今回の訪問中に署名式を行った、電力セクター改革のための約1億ドル(150億円)の借款「電力セクター改革及び強靭性強化プログラム・ローン(フェーズ2)」及び電力安定化に向けた8.97億円の無償資金協力「電力システム運用能力強化計画」を含め、これまでの日本の支援に対する深い謝意が示されました。これに対して林大臣から、日本としてヨルダンの経済・財政改革その他の取組を引き続き支援していく旨述べました。また、両大臣は、民間企業の交流が活発化していることを歓迎しました。
      2. 防衛・安全保障
         両大臣は、両国間の外務・防衛当局間協議や、ヨルダンにおける自衛隊の統合展開・行動訓練など、防衛・安全保障分野での協力が一層強化されていることを歓迎するとともに、今後とも連携していくことを確認しました。林大臣は、同訓練がスーダン情勢を受けた邦人等の円滑な保護にも役立ったとして、謝意を伝達しました。
      3. 難民支援
         林大臣から、日本が行っている、ヨルダンを含む中東地域への支援について説明し、本年12月に開催予定の第2回グローバル難民フォーラムにおいて、日本とヨルダンは共に共催国の一つであるところ、本フォーラムの成功に向けて協力し、難民支援における協力を強化していきたい旨述べました。これに対してサフ ァディ大臣は、日本の継続的な支援を高く評価しており感謝する旨述べました。
      4. ALPS処理水の海洋放出
         林大臣から、今般開始したALPS処理水の海洋放出に関し、IAEAの包括報告書における評価にも言及しつつ日本の立場を説明し、サファディ大臣は、日本が国際的な基準を遵守して実施していくことを信頼している旨述べました。
    2. 地域情勢
      1. 中東情勢
         林大臣から、イスラエル・パレスチナ間の緊張の高まりや深刻な治安情勢が継続する現下の情勢を憂慮している旨述べ、緊張緩和のために日本が行っている政治的働きかけや、「平和と繁栄の回廊」構想等の独自の枠組みを活用した信頼醸成の取組につき説明しました。サファディ大臣からは、パレスチナにおける情勢悪化を防ぐとともに、二国家解決に基づく公正で永続的な和平の実現に向けた真剣な交渉の再開のための政治的地平を見出すためのヨルダンの努力について説明しました。そして、日本の取組を高く評価しており、引き続き緊密に連携していきたい旨述べました。
         また、サファディ大臣からは、シリア危機の解決に向けたヨルダンの取組について説明があり、これに対して林大臣から、日本の立場につき説明するとともに、引き続き連携したい旨述べました。
      2. ロシア・ウクライナ情勢
         両大臣は、ロシア・ウクライナ情勢について意見交換を行い、林大臣から、ロシアは黒海穀物イニシアティブの一方的参加終了などの行為を通じ、食料を武器化している旨指摘し、一日も早くウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現する必要がある旨述べました。サファディ大臣は、国際法、国連憲章、ウクライナを含む全ての国の主権と領土的一体性は尊重されなければならない旨述べました。
      3. 東アジア情勢
         両大臣は、中国、北朝鮮等の東アジア情勢について意見交換を行い、サファディ大臣からは北朝鮮への対応に関し、日本を完全に支持するとの発言がありました。
        また、林大臣から、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のための新たなプランについて説明し、サファディ大臣からは、航行の自由の確保を含め法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性につき完全に同意するとの発言がありました。
  3. 林大臣は、有意義な議論とサファディ大臣の温かなホスピタリティに謝意を表し、両大臣は、戦略的パートナーシップに基づく両国間の協力進展に向けて、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

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