外務省・新着情報

令和5年9月5日
議長席に着席し、アラブ政治対話に臨む、林大臣、シュクリ大臣、およびアブルゲイト事務総長の様子(正面写真)
議長席にてスピーチする、林大臣の様子
アラブ政治対話における会議場全体の様子

 現地時間9月5日午後6時(日本時間6日午前0時)から約2時間10分、エジプト・アラブ共和国の首都カイロにて、第3回日・アラブ政治対話が開催されたところ、概要は以下のとおりです。今回の政治対話は、アフマド・アブルゲイト・アラブ連盟事務総長(H.E. Mr. Ahmed Aboul Gheit, Secretary General of League of Arab States)がホストし、日本政府を代表して林芳正外務大臣が出席し、サーメハ・シュクリ・エジプト・アラブ共和国外務大臣(H.E. Mr. Sameh Shoukry, Minister of Foreign Affairs of Arab Republic of Egypt)と共同議長を務め、共同声明を採択して終了しました。また、今回の対話には、アラブ連盟事務総長及びアラブ連盟加盟21か国・1機関から外相12名、他の閣僚級5名が参加しました。

1 開会セッション

 林外務大臣は、今後の日・アラブ協力等に関するスピーチを行い、その中で、ロシアのウクライナ侵略を始め、国際社会が歴史的な転換点にある中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため結束すべきである旨強く訴えました。その上で、現在、中東地域において大きなダイナミズムが生まれる中、今後、日本とアラブ諸国との間で、地域・国際社会の諸課題に共に取り組む「パートナー」の関係を築いていきたい旨表明しました。
 そして、今後の具体的な取組として、(ア)「繁栄に向けた協働」(中東諸国との中長期的・多角的な経済関係強化)、(イ)「平和の定着に向けた取組」(パレスチナを始め情勢が不安定な国に対する支援の継続、地域協力枠組みを通じた協力の促進、地域の安定に資する安全保障面での協力等)、(ウ)「対話と実践を通じた、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた取組」(「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に対する理解の普及、海上安全を中心とした具体的協力案件の促進)という「3本柱」の下、幅広い分野で協力を進めていくことを呼びかけました。

2 ワーキング・セッション

 林大臣からウクライナ情勢、中東和平、北朝鮮を含む東アジア情勢に言及しました。
 ロシアのウクライナ侵略について、ロシアがウクライナから撤退し、ウクライナに一日も早く、公正かつ永続的な平和を取り戻す必要があり、またロシアによる核の威嚇は断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならないことを強調した上で、今後もアラブ諸国と緊密に意思疎通していきたい旨述べました。
 また、中東和平について、現地の情勢は予断を許さないとして、一方的行為・措置の自制を呼びかけるとともに、日本として、「平和と繁栄の回廊」等の独自のイニシアティブを通じ、パレスチナ経済の支援や信頼醸成に資する取組を行っていることを紹介しました。 さらに、東アジア情勢についての日本の認識を共有するとともに、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において、アラブ諸国と引き続き連携していくことを訴えました。
このほか、福島第一原発からのALPS処理水の海洋放出について、国際基準及び国際慣行に則り、安全性に万全を期した上で実施されている点等を説明しました。
 アラブ諸国の多くの参加者からは、地域の平和と安定に対する日本のこれまでの貢献を高く評価する声が上がるとともに、今後の日本との更なる協力強化や本対話の継続的な実施について高い期待が示されました。

3 閉会セッション

 共同声明が採択され(第3回日アラブ政治対話共同声明)、林大臣から、本日の会合の成功を皮切りに、アラブ諸国とのより包括的・重層的で関係深化に努めていきたい旨述べました。

(参考1)日・アラブ政治対話

 2013年9月、ニューヨークにおいて、岸田外務大臣(当時)とエルアラビー・アラブ連盟事務総長(当時)が日・アラブ協力に関する覚書に署名。日本にとり初となる全アラブ諸国を含む包括的な協力枠組を設立。
 日・アラブ政治対話は、当該覚書上の日・アラブ協力の三本柱((1)日・アラブ経済フォーラム、(2)日・アラブ政治対話及び(3)日・アラブ文化教育協力)のうちの一つ。日・アラブ間、地域及び国際の共通の関心事項に関する政治協議の枠組であり、共通利益に向けて一層の政治協力の機会を見出すことが目的。
 2017年(対面開催。日本側からは河野外務大臣(当時)が出席)、2021年(オンライン開催。日本側からは茂木外務大臣(当時)が出席)に続き、今回が第3回目の開催。

(参考2)別添


発信元サイトへ