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質疑応答

【記者】今回の大臣のウクライナ訪問ですが、今後の安全保障協力やウクライナの復興支援など、どのような成果があったとお考えでしょうか。また、日本とウクライナの二国間協定を結ぶための協議ですが、具体的にどのようなものをイメージしているかお伺いします。

【林外務大臣】今回の訪問では、G7外相会合の議長として、キーウとブチャを訪問いたしまして、現場を自分自身の目で見て、関係者の話を直接聞き、早期にウクライナにおいて公正かつ永続的な平和をもたらす、このことのため、突っ込んだ意見交換を行うことができ、協力を確認をすることができました。そしてG7とウクライナで発出した「ウクライナ支援に関する共同宣言」に基づく二国間文書の作成にかかる交渉を早期に開始することについて、ゼレンスキー大統領との間で確認ができました。また、復旧・復興の促進に向けて日本側の体制整備、これはJICAのウクライナ事務所の再開、そしてウクライナ経済復興推進室を外務省内に設置することですが、これを進めまして、民間企業と共にウクライナを訪問して復旧・復興にむけた日ウクライナの連携を確認したこと、こうした大きな成果があったと考えております。
 このうち、ウクライナの中長期的な復旧・復興に向けた取組ということで、来年の早い時期に「日・ウクライナ経済復興推進会議」の開催を予定する我が国として、今回、日本の民間企業の代表者に同行いただいて、ウクライナの実情を直接目にしていただくと同時に、ウクライナ側要人とも意見交換をしていただきました。これは、復旧・復興における日本企業の関与の深化の出発点としてですね、非常に意義が深いものであったと考えております。
 そして、ウクライナ支援に関する二国間文書ですが、双方にとって都合の良いタイミングで早期に交渉を開始する予定にしておりまして、これまでの我が国によるウクライナ支援、そしてウクライナ側の改革への取組、こういうものを踏まえてですね、その内容をウクライナ側と調整して参りたいと考えております。

【記者】昨年2月のロシアによる侵略開始後、初めて日本の外務大臣として今回ウクライナを訪問されました。これまで大臣はこのロシアの侵略について、「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と非難されてきましたが、今回、ブチャにおいてその一端をまさに直接目の当たりにされたと思います。まずはその率直な感想を伺いたいと思います。そして、年内にG7外相会合が開かれると思いますけれども、今回の一連の外交、また視察を踏まえ、G7議長国として、ロシアへの向き合い方やウクライナへの支援など、G7の議論を今後どのように主導していくお考えか、これらについてお願いします。

【林外務大臣】本日ウクライナに到着してすぐにブチャを訪問いたしました。ロシアによる侵略の生々しい傷跡、これ自分自身の目で見て、また関係者のお話を直接伺いまして、ロシアによるウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす暴挙、この実態を直接実感することができました。同じ人間が同じ人間に対してこのようなことができるのか、というですね、非常に衝撃的な実態を直接見聞きすることができました。こうした惨劇を目の当たりにして、このウクライナの美しい大地に平和が戻るまで、日本はウクライナと共に歩まなくてはならないという決意を新たにしたところであります。
 ロシアについてですが、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、国際法に違反する暴挙、これは決して認められないということで改めて強く非難いたします。ロシアに対して即時に侵略を停止して部隊をロシア国内へ撤収するよう引き続き強く求めたいと思います。
 一日も早いウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現するべく、ウクライナ側と突っ込んだ意見交換を行い、協力を確認することできました。今後もG7が結集して厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続していく、これが重要なことだと考えております。引き続きG7議長国として、リーダーシップを発揮していきたいと考えております。

【記者】ウクライナへの武器提供が現状では難しく、支援の方法が限られる中で日本政府ができる支援、行うべき支援とは具体的に何でしょうか。また、民間も巻き込んだ支援の必要性が叫ばれる一方で、民間人のウクライナへの立ち入りは制限されています。こうした状況の中でどういった民間支援が可能性として考えられるでしょうか。

【林外務大臣】ロシアによる侵略という暴挙、これは軍事・防衛分野のみならず、ウクライナに様々な支援ニーズを生み出しております。そうしたニーズの中には、あらゆる活動の前提としての地雷の除去、がれきの撤去、ロシアによるインフラ攻撃への対応、そしてウクライナ自身の経済活動回復や改革に向けた取組、このようなものが含まれております。我が国としては、そうしたニーズに対応して、ウクライナの中長期的な復旧・復興について、まず一つ目として、地雷対策、がれき除去、そして二番目として、電力等の基礎インフラ整備を含む生活再建、そして三つ目として、農業生産回復・産業振興、四つ目として、民主主義・ガバナンス強化の分野、こうしたものを中心に力強く支援して参りたいと考えております。
 引き続き退避勧告が発出される中で、民間による関与をどのように強化するかは大きな問題でありまして、これまで政府としてNEXIによる保険の提供や、ロンドンでの日ウクライナ官民ラウンドテーブルの開催などの取組を行って参りました。そうした中、今回、限られた数ではありますが、我が国企業関係者に同行いただいて、ウクライナの実状を直接目にしていただくとともに、ウクライナ側要人や企業関係者などと直接意見交換していただきました。ウクライナの復旧・復興における日本企業の関与の深化の出発点となると考えておりまして、非常に意義深かったと考えております。
 今回民間企業の代表者に同行いただき得られた成果を基盤とし、更なる民間企業の関与の深化、官民一体となった対ウクライナ支援の具体化、強力に力強くつなげていきたいと思っております。


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