経産省・新着情報

2023年9月13日(水曜日)
12時06分~12時30分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

辞職の所感

先ほど閣議で辞職願を出してきたところです。昨年8月の就任以来、13か月になりますが、大変お世話になりました。ありがとうございました。
就任以来、これまで延べ83回の会見、1,625問の国会答弁、14回の福島出張を始めとして、国内出張が43回、22道府県を訪問いたしました。また、海外出張が31の国・地域に12回、延べ27万キロの移動距離で、地球を7周弱した計算になります。できるだけ現場で、そして多くの方と対面で直接お会いをし、直接お話を聞き、直接説明するという、私の現場を重視する、そうした姿勢の下で取り組んでまいりました。
また、国会におきましては、5本の法律を成立いたしまして、全力投球、あっという間の400日間でありました。ちょうど400日ということです。
いくつかポイントだけ冒頭申し上げますが、やはり物価高、エネルギー、環境、GXは、大きな課題でありました。昨年、臨時国会で、ガス事業法及びJOGMEC法を改正し、また、150兆円の投資を行うGX推進法、そして原子力、再エネ、2本柱で脱炭素化とエネルギーの安定供給を行うGX脱炭素電源法を成立させました。
引き続き、この2本の柱でしっかりと対応していきたいと思いますし、必要な資源は、資源国へ働きかけていきたいと思いますし、エネルギー価格高騰への対策を継続して行うことにしております。
二つ目、福島の復興につきましては、14回訪問し、できる限り現地の皆さんの声に寄り添いながら対応していこうという姿勢で臨んでまいりました。8月24日にはALPS処理水の海洋放出を開始しております。処理水の処分が完了するまで、政府として全責任を持って取り組むべきであると思います。
また、省内で若者を中心に募りましたところ、55名の方が兼務で福島芸術文化推進室で今対応してくれています。福島復興への思いの強い若い方々を中心に、新たな発想、斬新な発想で福島の復興に省を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
それから、地域には、先ほど申し上げたとおり、43回、22道府県、できる限り現場を視察し、お話を聞くという姿勢で臨んでまいりましたし、それぞれの自治体、首長の皆さんとも話をして、信頼関係を構築していこうと臨んできました。
そうした中で、地域の中小企業のための商工中金法の改正も成立しまして、新たなビジネスモデルを確立しながら、商工中金の対応も含めて、地域の中小企業がしっかりと持続的に成長していけるように、引き続き取り組んでいきたいと思いますし、また、3回にわたる価格交渉促進月間の調査も行い、パートナーシップ構築宣言の拡大を始め、芳しくない企業への指導を含め、転嫁対策を強力に進めてまいりました。
また、対外的な政策では、31の国・地域を訪問いたしまして、最近では、夏にアフリカ訪問、それから中東を訪問してきております。もちろん国際会議にも出席する中で、特にサプライチェーンの脆弱性が指摘される中、強靱化を目指して、同志国と連携をするということで、経済安全保障の概念も広げてきたところでありますし、半導体の国内生産拠点の確保、これも同志国と連携しながら進めてきたところです。
いずれにしても、今後もIPEF、経済版2プラス2などを通じて強靱なサプライチェーンの実現に向けて取り組んできましたし、取り組んでいきたいと考えています。
そして、何よりイノベーション、経済を成長軌道に乗せていくためのイノベーションということで、生成AIについて様々支援を広げてきておりますし、AIスパコンもありますし、産総研のABCIの試作をし、公募などによってその活用を促していくところであります。この産総研には8か所の拠点を訪問し、それぞれの現場で研究開発、イノベーションに取り組む研究者と意見交換を重ねてきております。
また、関連しますけども、スタートアップの育成にも5か年計画策定に経産省として貢献し、海外出張の度にできる限りスタートアップに同行してもらおうということで、これまで延べ95社、100社近いスタートアップ企業に同行いただいております。既にそれぞれの地域でビジネスにつながりつつある例も聞いておりますので、引き続き日本のこの若い力、そして新しい技術力を世界にPRしていきたいと思います。
それから、2年後に迫った大阪・関西万博も未来社会の実験場ということで、会場建設の着実な推進、そして全国的な機運醸成に努めていきたいと思います。
そして、経済全体として国内投資が100兆を超え、過去最高の水準になる見込みでありますし、賃上げも30年ぶりの高水準ということで、失われた30年から大きな潮目の変化が来ていると思います。経産省としてもリスキリングの事業も立ち上げておりますし、世界をリードする先端分野にあらゆる政策、資源を総動員し、日本経済を成長軌道に確実に乗せていきたいと思います。
私は御案内のとおり、1985年に経産省、当時の通産省に入省しましたので、38年がもう経過するわけで、様変わりしているところもあります。私の入った石油計画課のように、石油という名の付く部署もなくなりましたし、大きな変化ではありますけれども、しかし当時から一緒に仕事をしていた仲間が、同期はもう皆退官しましたけれども、当時から一緒に仕事をした仲間がちょうど幹部で支えてくれております。気心知れた中で一緒に仕事をしてきました。日本の将来のために働きたいという、通産省に入ったときの初心をもう一度思い起こしながら、仕事を重ねてきました。まずは13か月間、本当に仕事をしてきたスタッフの皆さん、職員の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

内閣改造の所感、在任中印象に残った政策

Q:今回の内閣改造に対する大臣の改めての御所感、受け止めをお願いします。
また、大臣は今後も留任されるということになったのですが、これまでの在任中で最も印象に残られた政策を教えてください。また、それに対する大臣御自身の評価もお聞かせいただけると幸いです。

A:全体の改造は岸田総理がお考えになられたことで、以前から適材適所とおっしゃっておられましたので、そうした中で今日一旦区切りでありますが、留任ということになりますので、引き続き新たなメンバー、みなよく知った方々ばかりですけども、一緒に仕事をする中で、是非私の任務であります日本経済を持続的な成長軌道にしっかりと乗せていくために、共に連携して取り組んでいきたいと思います。
いろいろなことがありましたので、なかなか一つを選ぶのは難しいのですが、やはり大きな一つはGXの脱炭素電源法を成立させ、原子力をしっかりと進めていくこと。もちろん安全性を大前提に進めていくということですが、このことについて大きな方向性を出せたことは私にとっては非常に感慨深いところであります。日本の経済成長とエネルギーの安定供給、そして、脱炭素化にしっかり取り組んでいくために、再エネ推進と併せて原子力をしっかり位置づけ進めていくということ。これは、私が1985年に資源エネルギー庁に入って以来、エネルギーの安定供給というのが我が国の最大の課題でありましたので、今般、エネルギー危機に直面する中でこうした方向性を出したことは、私にとっては感慨深いものがあります。
その関連でもありますけれども、ALPS処理水の海洋放出を開始したということも大きな節目になります。今回、この間の漁業者の皆さんとのやり取り、本当に一つ一つの言葉が印象に残っておりますし、今後も漁業者の皆さんに寄り添って対応していきたいと思います。
あとは、私が入った1980年代と比較して、やはり半導体は様変わりしました。当時は世界で最大、5割を超えるようなシェアがあって、アメリカから非常に批判も受けたわけですが、それがシェアを失い、力を失う中で、今回改めて国内の立地を進め、また、ラピダスという世界最先端の半導体に挑戦をしていく、このスタートを切れたことも非常に大きなことと思っていますし、またそれとも関連するのですが、日本の経済産業大臣として初めての訪問ということで、夏にアフリカ5か国の資源国を回りまして、これからの社会に必要な半導体、蓄電池に欠かせないニッケル、コバルト、レアアース、リチウム、銅、こうした資源確保のための道筋を付けられたこと、これも非常に印象に残っております。
特に、それぞれの国がやはり特定の国に依存することのリスクを感じながら経済の多角化、パートナーの多角化ということを言われて、日本がこうした形でいろいろな方向性を確認することができたことは、アフリカの資源国にとっても望んでいたことだと思います。非常に強い印象をそれぞれの首脳から、閣僚から受け取ったところであります。
そうしたことを重ねてきましたので、それぞれ更に今後発展させていきたいと思いますし、経済を持続的な成長軌道に乗せていくためにイノベーションが必要でありますので、生成AIはじめ、スタートアップの力、是非大いに活用して、賃上げと投資拡大の流れができてきましたので、それにイノベーションを加えて、成長軌道に乗せていきます。
岸田総理も先般の記者会見で、スタートダッシュする、そして、思い切った経済対策を組むと言われておりますので、そうした中で、イノベーションをしっかりと後押しし、世界をリードしていく技術革新を行い、そして、経済を成長軌道に、持続的な成長軌道にしっかりと乗せていきたいと考えています。

今後の課題

Q:先ほど13か月で印象に残った政策のお話をお聞かせいただいてありがとうございます。今後ですけれども、特にいろいろなテーマがある中で大臣として今後特にこの課題が重要課題であって、特にそれにどのように取り組んでいきたいかというのを、考え方をお聞かせいただきたいと思うのですけれども、お願いします。

A:何点か申し上げたいと思いますが、やはりALPS処理水の放出に伴う風評、特に中国が全面輸入停止となりますので、これに対して即時撤廃を求めながら影響をしっかりと見て、それに対しての対策を打つこと。漁業者の皆さんのなりわい継続に向けた支援をしっかりと行うこと。このことは大事な課題だと認識をしております。
そして、今成長軌道に乗せるためのマクロの政策も含めて申し上げましたけれども、やはりエネルギー高騰対策についてもしっかりと手当てをしながら、国の負担軽減を図りながら、エネルギー危機に強い構造にもしていかなければならないと思っておりますので、これも取り組みたいと思います。スタートアップも5か年計画まとめてスタートしていますけれども、是非この軌道に乗せていきたいと思いますし、生成AIはアメリカが先行しているように見えますけれども、日本として今様々な対策を打っていますので、画期的な技術であるし、そのシェアについても世界をリードしていけるような対応をしていきたいと思います。
あとは、関西万博がもうあと2年を切っておりますので、建設に向け、準備を着実に進めていくということも、これも大きな課題だと思っておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
また、IPEFサプライチェーンの情報についてはまとまってきましたけれども、クリーン経済ですね。それから、公正な経済、こうしたものについて、是非11月辺りをめどにして、是非一定の成果につなげていきたいと思いますし、特にこの信頼できるパートナーとの関係、当主国との連携、これも重要でありますので、IPEF始め、先ほどの重要鉱物のサプライチェーンなどを含め、これも喫緊の課題だと思っております。関係国と議論していきたいと思いますし、こうした議論で世界をリードしていきたいと思います。
そして、先ほどのラピダスを始めとする、ラピダスもようやくスタートですけれども、着実に研究開発を進め、量産に進めるようにしっかりとフォローし、支援をしていきたいと思いますし、半導体、内外の半導体メーカーを国内に立地を加速しておりますので、これもフォローし、やはり必要な半導体の安定供給、そして世界をリードしていけるように、これも取り組んでいきたいと思っております。
課題はたくさんありますので、引き続きこれまでやってきたことで道筋が付いたものは確実に進めていく、そうした取組を進めていきたいと考えています。

Q:今の質問のところとちょっとかぶるところがあるのですが、経済対策の方なんですけど、総理の方もしっかりスピード感を持って、緊張感を持って進めていきたいということですが、大臣もおっしゃったように改めてここにきてエネルギー価格の高騰などでインフレの家計に対する補塡というのが出てきていると思うんですが、その部分と、それから、おっしゃったように成長分野の半導体ラピダスへの支援などというのも、やっぱり補正予算で経済対策の方でやっていくのか。
それで、いわゆるその経済のリスクに対する手当てだとかと、成長に対する投資というところで、どのようにめり張りを付けていくのか、どういうお考えなのかというところをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

A:はい。ガソリン価格、電気料金、ガス価格については、当面の政策は打ち出しているところでありましたので、継続をしていくということであります。これも状況を見ながら、国際情勢、国際的な燃料価格の動向も見ながら、経済対策の中でどういう形にしていくかというのは考えていくようになると思います。国民の負担軽減につながるような、一定の施策はやはり必要だと思っております。
ただ、中心は、30年ぶりの賃上げが実現し、100兆円を超える投資が見通される過去最高の水準になる中、日本経済をしっかりと構造改革し、新しい時代の構造に変えていくことです。エネルギー危機に強い構造にもしていかなければなりませんし、世界をリードしていくDX、GXはもちろんのことでありますし、それを引っ張っていくイノベーション、これは生成AIもそうですし、半導体、研究開発、立地、蓄電池、こうした最先端の技術について、イノベーションを起こしていく、そして、日本経済を持続的な成長軌道に乗せていく、そのための政策を私自身はしっかりと実現していきたいと考えておりますので、今後そういう対応の指示もあると思いますし、各省間で協議することがあると思います。イノベーションを起こしていく、そのための施策、これはスタートアップも含めてですが、これをしっかりと実現していきたいと考えています。

福島復興

Q:先ほどALPS処理水の海洋放水に伴う風評対策だとか、あと、漁業者のなりわい継続、それが課題になってくるというふうな発言があったかと思うんですけれど、もう少しちょっと広い課題の中で、福島県の復興と再生を今後どのように進めていくお考えか、お話しください。

A:はい。まず、福島の復興には第一原発の廃炉は欠かせませんので、これはロードマップに向けて2041年から51年を、廃止措置完了を目指して進めてきておりますので、着実に進めることが大事だと思っております。
帰還希望する皆さん方に、それぞれの復興再生拠点は、避難指示解除はおおむね完了しておりますけれども、併せて希望される方が皆さん帰還できるように対応をしっかりと取っていきたいと思いますし、これまで恐らく合計すると3,000億円を超えると思うのですが、様々な立地の補助金によって、何百社という企業が新たに立地してくれております。そうした新たななりわいを、雇用をしっかり確保していくこと、こうしたことも引き続き進めていきたいと思いますし、あわせて、そうした中で幾つかの新しい時代の芽が出てきています。浪江町には水素の製造拠点ができていますし、それを含めて、田村市のデンソーも水素の製造装置をそこで対応してくれています。
また、白川だと思いますけれども、住友ゴムの水素を使っての製造を行うというようなことを含めて、水素は一つ大きな新たなエネルギー源、これは国にとって最も重要な新しい技術の一つなのですが、福島が一つの拠点になってきていると思いますし、私どもとしても、東京と福島の間の輸送も水素トラックで行うということで、水素充填所の整備もこの東京、福島間、重点的に行いたいと思っております。
一つは水素、それから楢葉町に立地をしております豊通のリチウム工場、これも国内の自動車向けEVに必要な水酸化リチウムの今必要なものの約3割を生産するということでリチウムの大きな拠点になっておりますので、そうした新たな技術、新たなエネルギー、こうしたものの福島は大きな是非拠点になってもらいたいと思いますので、これまでの復旧、復興に加えて、新しいそうした取組を是非応援していきたいと思います。
それぞれの地域でスタートアップの拠点などもできてきておりますので、また機会を見て、そうしたところも訪問してきたいと考えています。

以上

最終更新日:2023年9月13日

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