外務省・新着情報

冒頭発言

就任にあたって

【上川外務大臣】この度、外務大臣を拝命いたしました。川口順子大臣以来、約20年ぶりの女性の外務大臣であり、非常に重要な役割を担う機会を与えていただいたと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
 これまで、林前大臣を始め、先人たちが築いてきた日本外交の成果をしっかりと引き継ぎ、重要課題に全力で取り組んでいく決意でございます。
 今、歴史の転換点ともいうべき時代において、日本は、G7議長国、国連安保理理事国といった、国際社会を主導していく責任ある役割を担っています。来週には、極めて重要な国連総会など予定されております。しっかりと準備をして、国連という大舞台で、日本の存在感を示すとともに、世界各国のカウンターパートとの信頼関係を構築してまいりたいと考えております。そして、これからも、日本ならではの外交で、国際社会をリードしてまいります。
 その中で、外務大臣として、次の3点に重きを置いてまいります。
 1点目に、日本の国益をしっかり守ることです。日米同盟を安全保障の根幹としつつ、外交と防衛を連携させながら、我が国の領土・領海・領空を守り抜いてまいります。
 2点目に、日本の存在感を高めていくことです。我が国の有する科学技術力や感染症対策を含むユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進などのソフトパワーを最大限生かしながら、様々な喫緊の地球規模の課題に対して、国際社会で指導力を発揮してまいります。
 3点目に、国民の皆様からの声に耳を傾けることです。我が国の外交が、国民の皆様から支えていただけるよう、国民に寄り添い、その声をしっかりと吸い上げながら、エビデンスに裏付けられた外交、まさに国民に理解され、支持される外交を進めてまいります。
 こうした、より厚みのある外交を展開していくためには、人的体制、財政基盤、DXや、働き方改革の推進を含めた外交実施体制の抜本的強化も不可欠であります。女性閣僚として、女性ならではの視点を組織の在り方や働き方改革にも生かしていきたいと思います。職員が、その能力をいかんなく発揮し、一丸となって外交問題に取り組んでいくための環境をしっかり整えてまいります。
 これから年末に向けまして、APEC首脳会議や日・ASEAN特別首脳会議など、重要な外交行事が控えております。激動の時代だからこそ、奔流に飲み込まれない高い理想を掲げるとともに、遠くを見つめる眼差しを持って、目先だけではなく、長い時間軸を念頭に置いた外交を進めることが必要です。「鵬程万里」の言葉を改めて胸に刻み、日本の新たな外務大臣として、これまでの岸田外交を更に発展させるべく、様々な取組をしっかり展開してまいりたいと考えております。
 私(上川大臣)からは以上です。

外務大臣交代の経緯・意義等

【朝日新聞 松山記者】就任会見ということで改めてお伺いします。今回の外務大臣に上川さんが抜擢されましたけれども、まず、岸田首相からどのようなタイミングで第一報のご連絡をいただいた、もらわれて、どのようなお言葉をかけられたかということをお伺いしたいのが1点。
 2点目は、前大臣も林芳正前外務大臣ということで、同じ宏池会ですけれども、外務大臣という要職を宏池会が、引き続き、上川さんが引き継がれるということの意義を教えていただきたいのがもう2点目。
 3点目ですけれども、今年は、日本はG7の議長国を務めておりまして、その中での外務大臣交代ということになりましたが、そこに感じられるハードルなどがあれば、教えてください。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】岸田総理から私(上川大臣)に、直接、どのようなタイミングでという話がございましたけれども、一連の、この人事の流れの中でお話をいただきました。そして、岸田総理からは、昨日でありますが、様々な国々と、これまで積み上げてきた関係、これを大事に、日本外交にしっかり取り組んでほしいと、こうした言葉を頂いたところであります。
 このタイミングで、林前大臣からの交代の意義について、ご質問がございましたが、私(上川大臣)から語ることについては、差し控えたいと思っております。
 国際社会が歴史的な転換点に直面している中でございます。林前大臣におかれましては、ウクライナ侵略への対応、また、G7の取組等を通じまして、大変大きな成果を、この間、築き上げられてこられました。私(上川大臣)自身、この時期に外務大臣を拝命し、そして、身の引き締まる思いであるということを感じておりますが、何といっても、その跡、林大臣の跡をしっかりと引き継ぎながら、女性ならではの視点を外交政策や組織の在り方、また働き方改革などにも、しっかりと生かしてまいりたいと思っております。
 まずは、来週には極めて重要な国連ハイレベルウィークが予定されているところでございます。日本にとりまして、大変重要な国連という大舞台で、日本の存在感を示すことができるということでありますので、そのための準備を、短いながらも、しっかりと重ねて、そして、世界のカウンターパートとの信頼関係をしっかりと築いていく、その決意を持って臨みたいと考えております。

女性閣僚として

【ニューヨーク・タイムズ 上乃記者】働き方改革、女性ならではの視点、ということでお尋ねしたいと思います。具体的には、総合職、一般職の女性職員の採用の人数を新卒から増やしていくであるとか、または、女性の大使の任命の数を増やしていくということ。もしそういったことが可能であるとすれば、国内、そして国外に対する意義、日本の存在感というのは、どういったことに影響が出てくるとお考えでしょうか、お願いします。

【上川外務大臣】まず、女性閣僚としての立場で、今回任命をされたということでございますが、日本の政治分野におきましてのジェンダーギャップの課題は、大変大きなものがあると思っております。これは、私(上川大臣)が所属しております自民党におきましても、今後10年間で、女性国会議員比率を3割という数値目標を掲げ、そして、総理ご自身も、女性の活躍促進については、最重要課題であるとおっしゃっていらっしゃいます。そうした中で、今回、その女性閣僚の1人として、その位置を占めることになったと、この意味を大変重く受け止めているところであります。
 今、働き方改革について、私(上川大臣)自身も言及させていただきました。女性の視点ということで、この部分についてどうするか、今、様々な具体的なメッセージをいただきましたけれども、これまでも、前大臣の下で、こうした取組をされてきたと伺っておりますので、そういった取組について、十分に、これから説明を受けて、そして、何をどのように優先順位を決めながら手がけていくのかということについて、それをしっかりスタートしていきたいと思っております。
 更に、国際社会におきましても、日本は、安保理の非常任理事国であるということでございますので、”Women Peace& Security”、WPSのこの取組につきましても、国連安保理の決議で、2000年に設定されたところでございますので、これについても、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 様々な分野がございます。たくさんの声を伺いながら、その女性の視点で、というところについては、しっかりと目線を持って取り組んでまいりたいと考えております。

日中関係

【共同通信 桂田記者】中国との関係について伺います。中国とは、現在ALPS処理水の海洋放出の件で、対立がありますけれども、中国外務省の毛寧(もう・ねい)副報道局長、昨日の会見で、建設的、安定的な関係の必要性について言及しました。外務大臣となられて、どういった対中外交の方針ビジョンを持ちか、お聞かせください。

【上川外務大臣】ご質問いただきました点でございますが、日中両国間におきましては、数多くの課題、あるいは懸案事項がございます。しかし、日中関係全般につきましては、日本として主張すべきは主張し、中国に対し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めまして、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力をする、「建設的かつ安定的な関係」の構築を双方の努力で進めていくことが重要かと考えております。
 このことにつきましては、岸田政権の一貫した方針でございますので、私(上川大臣)もこの方針の下で、日中関係に取り組んでまいりたいと考えております。

対露外交姿勢

【北海道新聞 荒谷記者】対ロシア外交姿勢について伺います。ロシアは、ウクライナ侵攻後、日本の制裁に反発して、北方領土ビザなし交流などの枠組みを破棄するなど、強硬姿勢を強めています。ロシアの日本に対する外交姿勢をどのように認識して、今後の対露外交をどうしていくお考えでしょうか。また、林前大臣が、北方領土の墓参の再開について、最優先事項であるとしていましたが、そういったお考えがありますでしょうか。また、再開に向けたアプローチについてのお考えを伺います。また、根室などに視察に行かれるお考えはおありでしょうか。

【上川外務大臣】御質問でございますが、ロシアによりますウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、我が国は、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、ロシアに対して、強い制裁を行うなどの外交的取組を進めてきており、今後もしっかりと進めてまいります。
 同時に、日露は隣国であります。例えば、漁業などの経済活動や海洋における安全に係る問題のように、日露が隣国として対処する必要のある事項につきましては、我が国外交全体に置いて、何が我が国の国益に資するかという観点から、適切に対応していく所存でございます。
 北方領土問題に関しましては、領土問題を解決して平和条約を締結する、との方針を堅持してまいります。
 また、北方墓参を始めとする四島交流等事業交流等の事業の再開につきましては、今後の日露関係の中でも最優先事項の一つでございます。御高齢となられました元島民の方々の思いに何とかお答えしたいとの思いを持って、引き続き、ロシア側に対しまして、特に、北方墓参に重点を置いて、事業の再開を求めてまいりたいと考えております。
 私(上川大臣)の出張に関してのご質問もございましたが、今後の外交日程等も踏まえて、適切に検討してまいりたいと考えております。

露朝首脳会談

【NHK 五十嵐記者】北朝鮮とロシアの首脳会談の関連で伺います。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、ロシアによるウクライナ侵攻への支持を表明し、プーチン大統領も、ミサイルの関連技術を提供することを示唆するなど、両国の軍事的な連携を印象付けました。改めてになりますが、大臣のご見解と、今後の日本政府の対応方針について伺います。

【上川外務大臣】9月13日でございますが、ロシア・アムール州におきまして、露朝首脳会談が開催されたものと承知しております。
 昨晩お答えをさせていただきましたが、今次、首脳会談の結果につきまして、政府としてお答えをする立場にはございませんが、北朝鮮との間の武器及び関連物資の取引を全面的に禁止している関連の安保理決議違反に繋がる可能性を含め、懸念を持って注視しているところでございます。
 また、ロシアによるウクライナ侵略は、決して受入れられるものではなく、これまでも、第三者に対しまして、ロシア軍等への支援を行わないよう求めてきており、こうした観点からも、関連する動向につきましては、懸念を持って注視しております。
 いずれにしろ、我が国といたしましては、引き続き、関連情報の情報収集、更なる分析を行うとともに、関連の安保理決議の完全な履行に向けまして、米国あるいは韓国を含めます国際社会と、緊密に連携してまいりたいと考えております。

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