外務省・新着情報

冒頭発言

(1)第78回国連総会出席

【上川外務大臣】私(上川大臣)は、外務大臣就任後の最初の訪問先として、9月18日から22日まで、ニューヨークを訪問します。国連総会が開幕し、各国から首脳や閣僚が集まるこのハイレベルウィークの機会を捉え、G7外相会合、安保理改革に関するG4外相会合、未来サミット閣僚級準備会合、女性平和安全保障フォーカルポイント・ネットワーク・ハイレベルサイドイベント等、様々な会合に出席する予定でございます。また、この機会に、米国、豪州、インドネシアを始め、各国の外務大臣等と積極的に会談をする予定であります。
 ロシアによるウクライナ侵略により、国際秩序の根幹が揺らぐ歴史の転換点ともいうべき時代を迎えております。本年、安保理理事国、G7議長国を務める日本として、「法の支配」とその中核を担うべき国連の重要性、安保理改革を含む国連の機能強化について、強いメッセージを打ち出したいと考えております。「女性・平和・安全保障」、いわゆるWPS、Women Peace & Security、この取組につきましても、今回、しっかり議論をする予定でございます。
 その上で、途上国・脆弱国が抱える喫緊の課題について、日本ならではの取組や貢献を積極的に発信する予定でございます。また、ウクライナを始めとする国際情勢や国際社会の課題等について、各国との緊密な連携を確認する予定でございます。

(2)モロッコ中部における地震被害及びリビア東部における洪水被害に対する緊急援助

【上川外務大臣】モロッコ中部におきまして発生した地震により、膨大な被害が発生していることを受けまして、本日、地震の影響を受けた人々に対する支援として、総額300万ドルの緊急人道支援を行うことを決定しました。
 具体的には、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じて、一時的避難施設や食料等、現地のニーズを踏まえた支援活動として、200万ドルの緊急無償資金協力を実施するほか、ジャパン・プラットフォーム(JPF)を通じ、日本のNGOによる100万ドルの支援が実施されます。
 また、リビア東部において発生した洪水により、甚大な被害が発生していることを受け、同じく本日、リビアに対し、テント、毛布等からなる緊急援助物資を、国際協力機構(JICA)を通じて供与することを決定いたしました。さらに、リビアに対しましては、国際連合世界食糧計画(WFP)を通じた我が国の食糧援助の物資が、ちょうどリビアに到着したことから、その一部に当たる約70万ドル相当分の食料を、今次洪水の被災者への支援として活用してまいります。
 日本政府として、引き続き、モロッコ及びリビアの人々に寄り添い、現地のニーズを踏まえた必要な支援を検討してまいります。

(3)日英部隊間協力円滑化協定の閣議決定

【上川外務大臣】本日の閣議におきまして、日英部隊間協力円滑化協定の締結及び公布のための閣議決定が行われました。
 この協定により、今後、日英両国の艦船の寄港や共同演習などの実施が円滑になり、日英間の安全保障・防衛協力が一層活発化することが期待をされます。
 アジア及び欧州における互いの最も緊密な安全保障のパートナーである日英の安全保障・防衛協力を一層強化し、英国と共に、引き続き「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、取組を一層進めてまいります。
 私(上川大臣)からは以上でございます。

第78回国連総会出席

【共同通信 植田記者】冒頭のニューヨーク訪問についてお伺いしたいのですが、ロシアによるウクライナ侵攻などで、G7の役割は、非常に大きくなっております。また、中国との関係など、日本が抱える外交の課題も山積しておりますが、大臣として、この国連のニューヨーク訪問に合わせて、どのようなことを発信したいのか、改めてお伺いします。

【上川外務大臣】先ほども申し上げたとおりでございますが、今、歴史の転換点ともいうべき時代におきまして、日本は、G7議長国、国連安保理理事国といった、国際社会を主導していく責任ある役割を担っているところでございます。
 この度の国連総会出席は、外務大臣就任後の最初の外国訪問となるわけでございます。しっかりと準備をして、国連という大舞台におきまして、日本の存在感、これを示すとともに、世界各国のカウンターパートとの信頼関係を構築してまいりたいと考えております。
 安保理改革に関しますG4外相会合にも出席する予定でございまして、こうした場での議論を通じて、「法の支配」とその中核を担うべき国連の重要性、また、安保理改革を含む国連の機能強化につきまして、強いメッセージを打ち出してまいりたいと考えております。
 また、安保理改革以外にも、ウクライナを始めとする国際情勢や、また国際社会の課題等について、各国との緊密な連携を確認をしてまいる所存でございます

第78回国連総会出席(ウクライナ支援)

【毎日新聞 川口記者】概要の関係で関連です。今回の国連で、大臣は、ウクライナの要人との会談など、接触を考えていらっしゃいますでしょうか。また、国連のマルチの場で、ウクライナ支援の拡大について、各国に対して、どのように働きかけるお考えか、お願いいたします。

【上川外務大臣】国連総会におきましてのウクライナとの会談等の実施については、現時点で何ら決まっておりません。
 ロシアにおけるウクライナ侵略につきましては、国際社会が長きにわたりまして、懸命な努力と、多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹、これを揺るがす暴挙であると認識しております。今なお侵略が続く中でございます。一日も早くロシアの侵略を止めるため、対露制裁とウクライナ支援を、強力に推進してまいります。
 このような我が国の基本的立場に基づき、国連の場でも、国際社会の議論を積極的にリードしてまいりたいと考えております。

第78回国連総会出席(G7の議長国として)

【読売新聞 依田記者】冒頭、G7について触れていただきましたが、今回、G7の議長国任期の途中で、大臣が外務大臣に就任されましたが、この任期中に外務大臣が変わったことについて、日本外交への影響をどのように考えますでしょうか。お願いします。

【上川外務大臣】林前大臣を始めとして、先人たちが築いてきた日本外交、この成果をしっかりと引き継ぎまして、重要課題に対し、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 特に、G7議長国といたしましては、4月に長野県の軽井沢におきまして、外相会合が開催されましたし、また、5月の広島サミットが開催され、成果を上げてきたところでございます。その成果を踏まえて、G7の結束を強化し、更なる成果を出してまいりたいと考えております。
 来週、ニューヨークにおきましてのG7外相会議の開催を予定しているところでございますが、今年のG7議長国である日本といたしまして、私(上川大臣)自身、ウクライナ情勢や、またインド太平洋地域と行った国際社会の喫緊の課題につきまして、機動的に対応すべく、G7をリードしてまいりたいと考えております。

外相として取り組みたいテーマ

【日本経済新聞 根本記者】来週の国連の日程にも関わるテーマだと思いますが、大臣、これまで法務大臣としてですね、京都コングレスの開催など、司法外交に取り組まれまして、また、議連では、SDGsや北極政策などに取り組まれてきたと承知しております。この度外相に就任されて、いわゆる大臣のカラーといいますか、特に取組たいと思っているテーマ、ございましたら、お聞かせいただければと思います。

【上川外務大臣】私(上川大臣)のこれまでやってきた活動について、お触れいただき、また、それに対しての、私(上川大臣)自身の、今回訴えたいと思うテーマにつきまして、御質問をいただいたところでございます。
 私(上川大臣)は、ご指摘いただきましたとおり、法務大臣を務めておりました、先の3回目の法務大臣の時でございましたけれども、2021年の3月に、「京都コングレス」の議長という大変重い責任を担うことになりました。いわゆる、法の支配に基づく「司法外交」の推進ということを、国際社会においての、この「法の支配」の推進に積極的に貢献していくと、こういう趣旨で行ってきたところでございます。
 そして、この「京都コングレス」の議長国の大変重責を推進するに当たって、更に、国際社会から、この「法の支配」と国際協力の推進に対して、大変力強いコミットメントをいただくことができました。
 その意味で、これから先にも、そうした法の支配に基づく、国際的な日本の役割ということにつきましては、「京都コングレス」の成果もしっかりと踏まえて、推進してまいりたいと考えております。
 また、国会議員として様々な活動してまいりました。自民党のSDGs外交議連、これも立ち上げさせていただいて、会長として、この間、取組を進めてまいりましたし、また北極に関しましても、「北極のフロンティアを考える議員連盟」の会長を務めさせていただき、まさにSDGsの一つの大きなシンボルであります「北極域」ということにつきまして、これの国際協力の推進につきましても、日本の科学技術の力、これをしっかりと生かした活動を展開していこうということで、この間、進めてきたところでございます。
 こういった活動そのものが、全て様々な外交の課題を解決する上に、何らかの役割を果たすことができればと、こういう思いを強く持たせていただいております。
 昨日の就任会見でも申し上げたところでございますが、まず第一に、しっかりと日本の国益を守るということ、そして、日本の存在感を高めていくということ、そして、国民の皆様からの声、これにもしっかり耳を傾け、理解していただきながら、支持される外交を展開していきたいということ、この3点にしっかりと重きを置きながら、様々な取組につきまして、展開してまいりたいと考えております。







「佐渡島の金山」世界遺産登録

【新潟日報 斉藤記者】世界遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」についてお伺いします。8月下旬に、イコモスの現地調査が終わりましたが、一方で、韓国野党などの反対の動きが続いています。登録実現に向けて、韓国含む各国の理解が重要だと思いますが、外務省として、今後どのように取り組んでいかれるか、お考えをお願いします。

【上川外務大臣】8月24日から30日までの7日間でございますが、我が国が世界文化遺産に推薦している「佐渡島(さど)の金山」に対する国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査が行われたと承知しております。
 我が国といたしましては、「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録に向けまして、その文化遺産としての素晴らしい価値が評価されるよう、韓国を含む関係国との間で、引き続き、丁寧な議論を行っていく所存でございます。


ALPS処理水(偽情報)

【トリビューン・ニュース スシロ記者】インドネシアの記者なんですけれども、トリビューン・ニュースのスシロと申します、覚えやすいために、回転寿司のスシローと同じ名前です。これからよろしくお願いいたします。
 デマの件なんですけれども、現在に至るまでインドネシアでは、福島の処理水に関して、多くのデマがまだまだ広まっています。この誤った情報をもっと早く減らすために、国際的なデマ対策、デジタルとか専門機関を利用して、福島の処理水を、問題を宣伝すること、考えられるでしょうか。毎日、インドネシアから問い合わせ来ているんですけれども、福島大丈夫でしょうか。この動画が、どうでしょうか。ちょっと大変だと思いますので、大臣からの考えとか、デマの対策とか、よろしくお願いいたします。

【上川外務大臣】偽情報の拡散ということでございますが、被災地の復興を妨げ、復興に向け努力する被災地の人々の感情をも、大きく傷つけるものであると考えております。また、我々の社会が、基盤を置いている自由や民主主義といった普遍的価値に対する脅威でもあると考えております。
 外務省といたしましては、科学的根拠に基づく説明をしっかりと正確にお届けをする、そして、それをお伝えしていくということに対して、この間、対応してまいりました。我が国といたしましては、ALPS処理水について、今後ともIAEA報告書の結論も踏まえ、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って、国際社会に対して、日本の取組を丁寧に説明をし、適切な理解が、更に深まるよう努めてまいりたいと考えております。
 具体的には、外国の自称「メディア」により、偽造文書を用いた偽情報が発信された際には、これを否定する報道発表を速やかに発出してまいります。また、SNS等を用いた情報発信を強化しておりまして、例えば、「#(ハッシュタグ)STOP風評被害」、英語版でいきますと、’Let the Science Talk‘というシリーズで、誤情報・偽情報に対して、科学的根拠に基づいた情報発信を、日本語だけではなく、英語、中国語、韓国語を含めた多言語で行っているところでございます。こうした取組については、十分、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

ALPS処理水(日本の取組の発信)

【共同通信 植田記者】今の質問に関連してなんですが、福島第一原発の処理水放出に関しまして、最近、中国は、やや抑制的な表現をしていますが、今回のニューヨークの訪問で、この日本の取組等を発信する機会があるのかどうか。発信するとしたら、どのように発信するのかお伺いします。

【上川外務大臣】日本政府として、国連の場合において、どのようなやり取りをするのかということについては、予断を持ってお答えすることについて、今の段階では差し控えさせていただきたいと思いますが、これまでも、このALPS処理水の海洋放出の安全性につきましては、国際会議の場におきまして、日本の取組について、丁寧に説明してきているところでございます。今般の出張の機会を含めまして、様々な場を活用して、更に取り組んでまいりたいと考えております。

外務省政策人事

【朝日新聞 松山記者】ちょっと話題変わります。先ほど、今回の内閣改造の人事で、副大臣、政務官の人事が発表されました。今回の副大臣、政務官人事では、女性議員の起用が0人ということで、前回は、それぞれ4人、7人と11人だったところから、かなり後退しているようにも見受けられます。大臣は、女性閣僚ということで、今回抜擢されたわけですけれども、ジェンダー・ギャップ指数・政治分野で、かなり低さが指摘されている中で、今回のようなこの人事というのは、適切か適切とお考えか、お考えをお聞かせください。

【上川外務大臣】まず、先日岸田総理が、自らお述べになりましたが、人事は、適材適所であるということを大変重要視して、お取組になってらっしゃると認識しているところであります。
 その上で申し上げるところでありますが、私自身、女性閣僚の1人として、外務大臣という非常に重要な職務をいただいたところであります。その意味で、しっかりと期待に応えられる外交してまいりたいと考えております。


国連総会(ウクライナ支援)

【産経新聞 原川記者】先ほどの質問に対するお答えの中で、大臣は、ウクライナ情勢等に関して、G7議長国として機動的に対応すべく、議論をリードしていきたいというふうに述べられました。その関連でお伺いしたいんですけれども、G7議長国の外務大臣として、先ごろ、林大臣は、ウクライナ訪問されたばかりではありますけれども、大臣も、やっぱりどうでしょうか、ご自身でウクライナ訪問して、政府要人と会談したり視察を行ったりしたいという、そういったことを早期にしたいという、そういったお考えはありますでしょうか。

【上川外務大臣】ウクライナの皆様への支援につきましては、実は、昨年の末でありますが、ウクライナの人々に発電機を贈る「越冬支援イニシアティブJAPAN」として、発起人となりまして、かつ有志の議員グループの代表者として取り組んできたところでございます。個人的にも、その重要性については、十分に認識しておりますし、その必要性について、更なる活動の重要性について、認識しているところであります。
 日本としては、これまで、ウクライナ関連支援として、人道や財政、食料、復旧・復興の分野で、総額約76億ドルを表明し、実施してきているところであります。
 本年のG7議長国としてのリーダーシップをしっかりと発揮をしつつ、引き続き、国際社会と緊密に連携しながら、適切にウクライナ側のニーズを把握をする、そして日本の持つ知見・経験を活用して、困難に直面しているウクライナの人々に寄り添った「日本ならでは」の、きめの細かい支援、これを切れ目なく、実施していくということを目指して、取り組んでまいりたいと思っております。
 今のご質問でありますが、今後の私(上川大臣)自身の外遊日程については、今後、外交政策全般を総合的に考える中で、検討してまいりたいと考えております。

【産経新聞 原川記者】大臣としてのご希望というか、いろいろ外交日程あろうかと、組み立てはあろうかと思いますが、大臣のお考えとしては、いかがでしょうか。

【上川外務大臣】私(上川大臣)自身は、現場の声を聞く、そしてニーズをしっかりと適確に把握していくという、そういうスタンスというか、そういうことを大事にしてきましたので、この国際社会の中で、今、様々な喫緊の課題がございますが、そこに一つずつに対して、どれがこれがということを申し上げることは、つもりはございませんけれども、重要な案件というふうに、私(上川大臣)は認識しております。現場の声を自ら聞いてくる。また、必要な支援について、大切に対応していくということについて、アクション、行動をもって取り組んでいく。これが私(上川大臣)の姿勢でありますので、極めて重要と考えております。








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