外務省・新着情報

令和5年9月19日
演台に立ち、スピーチを行う、岸田総理の様子(接写) FMCTハイレベル記念行事に出席する岸田総理(写真提供:内閣広報室)
演台に立ち、スピーチを行う、岸田総理の様子(遠写) FMCTハイレベル記念行事に出席する岸田総理(写真提供:内閣広報室)

 現地時間9月19日、午後2時(日本時間20日午前3時)から約1時間、国連総会出席のためニューヨークを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)ハイレベル記念行事を開催したところ、概要は以下のとおりです。
我が国は、「核兵器のない世界」の実現に向け、FMCTを現実的・実践的な取組の一つとして重視しており、こうした考えの下、5月のG7広島サミットにおいて発出した「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」では、本年がFMCTを求める国連総会決議採択から30年目に当たることを踏まえ、FMCTへの政治的関心を再び集めることを全ての国に強く要請しました。今次記念行事は、我が国自身の努力の一環として、FMCTへの政治的関心を高めることを目的として日本、フィリピン及び豪州と共催したものです。

  1. 冒頭、岸田総理大臣が、基調演説を行いました。その中で、ロシアによるウクライナ侵略と核による威嚇、核軍縮をめぐる国際社会の分断など、現下の厳しい国際情勢により、「核兵器のない世界」への道のりが一層遠のいており、また、冷戦の最盛期以来、初めて核兵器数の減少傾向が逆転しかねない瀬戸際にあると指摘しつつ、しかし、そういった状況にあるからこそ、核兵器用核分裂性物質の生産禁止により核兵器の量的向上に制限をかけるFMCTの早期の交渉開始が必要であると述べました。また、昨年8月のNPT運用検討会議の際に発表した「ヒロシマ・アクション・プラン」や本年5月のG7広島サミットで発出した「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」に触れつつ、本行事を通じてFMCTへの政治的関心を再び集めることにより議論を再活性化し、早期の交渉開始に向けて取り組む契機となり、ひいてはそれがNPT体制の再生・強化につながると確信している旨述べました。
  2. 続いて、ウォン豪外相(共催者)による司会の下で、マナロ・フィリピン外相(共催者)、中満国連事務次長兼軍縮担当上級代表、ウィップス・パラオ大統領、ベアボック・ドイツ外相、ブラウンス・スロット・オランダ外相、シュクリ・エジプト外相、チエリッチ・イタリア副外相や米英仏の核兵器国の次官級等政府高官によるステートメントが行われました。核兵器国及び非兵器国双方の発言者からFMCTの交渉開始へのコミットメントや重要性が強調された他、複数の国からFMCTが「核兵器のない世界」の実現のために必要不可欠な軍縮措置であること、FMCTの早期交渉開始を不可能と考えるべきではなく、今必要なのは政治的意思であること、各国間の信頼醸成のため、FMCTを進めるべきであること等の発言が相次ぎ、そのための機運を高めていく必要性が指摘されました。また多くの国から、そうしていない国に対し、核分裂性物質の生産に関する自発的なモラトリアムの宣言を求めるとの発言がありました。
  3. 同行事は午後3時20分まで行われ、各国からの出席者による活発な意見交換が行われ、FMCTに対する政治的な関心を再び集める契機となりました。
(参考1)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)

 核兵器の原料となる核分裂性物質(高濃縮ウラン、プルトニウム等)の生産を禁止し、核兵器の量をこれ以上増やさないことを目的とした条約。1993年にクリントン米大統領(当時)が条約交渉を提案。依然として交渉は開始されていない。日本として、FMCTの早期交渉開始を重視。

(参考2)別添


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