農林水産省・新着情報

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年9月22日(金曜日)10時37分~10時49分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • 中国による日本産水産物の輸入停止措置による影響について
  • 水産業を守る政策パッケージについて
  • 異常気象によるコメの品質について
  • ALPS処理水の海洋放出による水産物への影響について
  • 九州における豚熱ワクチンの接種について

質疑応答

  • 中国による日本産水産物の輸入停止措置による影響、水産業を守る政策パッケージについて

記者

  処理水の放出から間もなく1か月が経ちます。先日、財務省が発表した8月の貿易収支によりますと、水産物を含む食料品の輸出が前年同月比で41%減少しています。9月は更に減少するのではないかと思われますが、この数字の受け止めと、漁業者支援の政策パッケージですけれども、何をいつまでにどの程度進めるかなど、何かお決まりになっていることがあれば教えてください。

大臣

  一昨日、財務省において公表されました8月の食料品の輸出実績の速報値によりますと、日本から世界への輸出額は対前年同月比10.4%減の862億円となりまして、このうち、中国向けは対前年同月比41.2%減の142億円となっています。これらの減少は、中国が7月7日以降に実施した日本産水産物に対する検査強化措置などが主な要因と考えられますけれども、実際の事業者への影響については、これらのデータに加えて個々の事業者への聞取りなどにより、的確に把握していく必要があると考えています。いずれにしても、輸出先の移転、多角化が必要であり、先日決定した「水産業を守る」政策パッケージも活用しながら、水産物を中心に、日本食の魅力を海外市場に強くアピールしてまいります。今申し上げました「水産業を守る」政策パッケージですけれども、主に300億円の事業と、500億円の事業と予備費の207億円と、3つのユニットに分かれていますけれども、この300億円の事業については、要綱もでき上がり、実施の団体も決まり、動き始めているということです。この中では、買取保管等支援事業が1件採択をされています。この支援パッケージの第1号ということで、ようやく動き出したということです。更に予備費の207億円についても、3分野ありますが、要綱ができて動き出すというところもあるし、ほぼ要綱もできつつあるという状況にあるので、各事業についての説明会も、来週中から開始できるように指示をしています。いずれにしても、必要な支援が早急に行き渡るように、経済産業省とも連携をしながら、速やかに執行できるように対応を急いでまいります。

  • 異常気象によるコメの品質について

記者

  米の等級低下について伺います。今年の記録的な猛暑で主産地からは、1等米の比率が例年より低いという声が上がっています。生産者の所得への影響も懸念されますけれども、このことについての受け止めと、農水省として考えている対応があればお聞きします。

大臣

  本年7月以降の例年にない高温の影響で、収穫が始まりました北陸や関東等では、農産物検査の結果、白未熟粒の発生等によって、2等米、3等米の比率が高くなっていると検査機関からの報告を受けているところです。今後、各産地で収穫が本格化しますけれども、引き続き、米の品質や量について、高温による影響を十分に把握してまいります。この一義的な対応としては、今般の高温等の影響によって、農作物の収量、収入が減少した場合の補填としては、農業保険に加入している皆さんについては、災害収入共済方式の農業共済に入っていただいている場合に共済金が出るというのと、収入保険によって、保険金の支払いが行われるというところがサポートとしてはあるわけですけれども、実際、全ての農家の皆さんが、農業共済や収入保険に入っているわけではないということで、収入減を被る農家の皆さんもいるということは、推測されるところです。基本的には、今後に向けて、更にこうしたセーフティネットの制度への加入を旗振っていくということは、今後の対策として必要かと思いますし、もう一つの対応としては、各県が中心に高温耐性品種の作付が随分広がってきて、今、10%を超えるような割合で広がってきていると認識しています。リスクを次年度へ向けて、低下させるということで言えば、こうした高温耐性品種への転換も一つの農家の皆さんの経営判断になるかと思いますので、各県とも連携をしながら応援していきたいと思っています。

  • ALPS処理水の海洋放出による水産物への影響について

記者

  処理水に関連して、ホタテやナマコの産地から価格が下がっているという声が出ております。この処理水放出から1か月です。水産業への影響をどうご覧になっているかということと、関連して、昨日、オホーツク圏の自治体の組合長さんたちが来られて緊急要請をしましたけれども、この要請への対応方針についても教えてください。

大臣

  処理水放出から1か月が経過したということで、直近の水産物の価格動向を見ますと、東京都中央卸売市場等の大規模消費地市場におきましては、現在のところ、国内の水産物価格の全体の傾向として、大幅に下落しているという状況はありませんけれども、聞き取り情報によれば、一部価格が下落しているとの声が上がっていると(承知しています)。特に北海道や東北のホタテ、ナマコについては、一部の国・地域の輸入規制強化が影響を及ぼしていると考えています。また、私自身も、先日、北海道で漁業関係者の皆様と直接お会いしましたし、昨日も北海道の漁業関係者の皆様と意見交換をして、生の声をお聞きしたところです。こうした水産物の輸入規制強化から我が国の水産事業者を断固として守る決意であると総理もおっしゃっていますし、農林水産省としても、関係省庁と連携してパッケージを速やかに実行していくなど、今後とも、我が国の水産業が安心して継続できるように、水産事業者の皆様に寄り添った対策の実施に万全を尽くしてまいります。

  • 九州における豚熱ワクチンの接種について

記者

  九州の豚熱の関係で、19日から(九州)北部4県でワクチン接種始まり、27日から(九州)南部3県で始まるということですけれども、そちらの期待と残された課題、あとは、佐賀県が発端でしたけれども、ちょっとまだ原因が判明しないところについてのご見解をお伺いさせてください。

大臣

  九州地方における豚熱のまん延防止対策としまして、九州各県と連携をして、飼養豚への速やかなワクチン接種を進めているところです。また、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県は既に9月19日から接種を開始していますし、熊本県、宮崎県、鹿児島県についても、27日から接種が開始の予定です。また、課題となっていました、打ち手の確保についても、各県で研修等を進めていて、家畜防疫員や知事認定獣医師に加えて、飼養衛生管理者による接種ができるようになってきていることから、九州において、早期に初回の接種が終了して、生産者の皆様の不安が解消されることを期待しています。また、佐賀県における豚熱の発生要因については、現在情報収集中でして、予断を持ってお答えすることはできない段階ですが、明確に言えるのは、その感染源となる野生イノシシについては、発生地域周辺で重点的に行っている検査において、今のところ陽性イノシシが見つかっていないということです。引き続き、そのウイルスがどこから来たのか遺伝子解析での比較もありますし、人や物の動きとか時系列的に聞き取り調査をして、原因を絞り込んでいくという作業をして、その上で更に専門家による検討を行っていくというところです。この次の対策につなげるためにも、できるだけこうした分析をしっかりやっていただいて、今後の更なる発生防止につなげていきたいと考えています。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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