農林水産省・新着情報

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年9月29日(金曜日)10時06分~10時31分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)日本産水産物の消費拡大について
  • (大臣から)#食べるぜニッポンの広報素材について
  • (大臣から)木材利用促進月間について
  • ロシアによる日本産水産物の輸入規制について
  • 水田活用の直接支払交付金について
  • 日本産水産物の消費拡大について
  • コメの1等米比率について

冒頭発言

大臣

  本日、冒頭に私から3点、御報告をさせていただきます。1点目は、日本産水産物の消費拡大についての御協力のお願いです。ALPS処理水の海洋放出に端を発した中国による日本産水産物の全面輸入停止措置が行われて、約1か月が経過しました。このような中で、日本産水産物の国内消費拡大を非常に強力に推進していく必要がありますけれども、各方面からも様々な取組が行われ、例えば、各府省庁の庁舎内の食堂での利用が広がっているほか、影響を受けている都道府県を中心に、例えば、北海道では「食べて応援!北海道」キャンペーンの実施に加え、ホタテガイの産地自治体をふるさと納税を通じて支援する動きも大幅に増加するなど、まさに国民運動として多くの皆様にご協力をいただいています。この点、改めて心から御礼、感謝を申し上げます。引き続き、国民・消費者の皆様には、輸入停止措置の影響を受ける日本産水産物の更なる消費拡大に御協力をお願いいたします。例えば、ホタテガイについては、2022年における国民一人当たりの国内消費量は、約7粒となりますが、今回の輸入規制措置の影響を受けるホタテガイを全て国内で消費した場合には、追加で5(粒)から7粒を1年間に食べていただく計算となります。ということで、5粒であれば、(年間消費量は)12粒ですので、月に1粒食べていただきたいというのが計算上ですけれども、普通に考えて1粒だけ料理を食べるのは、なかなか実現が難しいので、ホタテを使用したメニューをもう一皿食べていただくとありがたいです。ざっくりと年に2回ぐらいは、食べようということで応援いただけると、中国向けに輸出していたものをそっくり国内消費できるということですので、よろしくお願いしたいと思います。それから、日本産水産物の消費拡大に関して、もう1点申し上げます。SNS上で大変多くの皆様に御協力をいただいています「#食べるぜニッポン」キャンペーンについて、食品メーカー、小売、外食事業者の皆様などから、「ぜひ参加したい」という多数のお問い合わせをいただいています。このことから、店舗やイベント会場などで利用しやすい広報素材を用意しました。具体的には、こういう「#食べるぜニッポン」という(広報)素材を農林水産省のホームページに掲載していますので、多くの皆様に、ぜひご活用いただければと思います。また、私自身も、農林水産省の公式Youtubeチャンネル「BUZZMAFF(バズマフ)」に出演し、日本産水産物の消費拡大のお願いをしています。本日、9時に公開をしているということですので、ぜひご覧いただけるとありがたいと思います。
  3点目は、「木材利用促進月間」についてです。令和3年10月に「都市(まち)の木造化推進法」が施行され、10月は「木材利用促進月間」、10月8日は「木材利用促進の日」とされています。ちなみに10月8日の由来は、漢字で十を書いて、八を書くと「木」という字になるので、10月8日ということですので、10月8日「木材利用促進の日」、覚えていただければと思います。農林水産省では、木の良さを普及するために、経団連や経済同友会等が参画したウッド・チェンジ協議会を立ち上げ、木材を利用しやすい環境づくりに取り組んでいます。具体的な木材利用の好事例とか、専門的観点から技術的な課題をどうクリアしていくか、そうした情報提供等もしています。この木材利用促進月間の間には、木材利用推進協議会が行う「木材利用優良施設等コンクール」の表彰が行われるほか、ウッドデザイン協会主催の「ウッドデザイン賞」の発表も行われます。また、10月2日に開催するウッド・チェンジ協議会では、ミス日本みどりの大使、上村さや香さんに持ち歌「森で愛ましょう」をご披露いただくなど、木材利用を盛り上げてまいります。以上です。

質疑応答

  • ロシアによる日本産水産物の輸入規制について(1)

記者

  水産物に関してなのですが、先日、中国に続いてロシアが日本産水産物の輸入を全面的に禁止することを検討しているという報道がありました。このことについての受け止めと、懸念される影響みたいなものがあればお教えください。

大臣

  今般のロシア側の発表については承知しています。日本政府としては、ALPS処理水の安全性について、これまでも、ロシアを含む国際社会に対して、科学的根拠に基づく説明や情報発信を繰り返し行ってきているところです。今回、ロシア側から、放射性物質のトリチウム残留量や輸出用の水産物の放射性物質検査方法に関する情報を提供するようにという要請があったということで、引き続き透明性の高い情報提供を行うとともに、ロシア側に対して、科学的根拠に基づく対応を求めてまいります。それから、2022年ですと、日本からロシアへの水産物輸出総額は2.8億円で、我が国の水産物輸出総額のうち0.1%であります。いずれにしてもロシア側には、科学的根拠に基づく対応を強く求めてまいります。

  • 水田活用の直接支払交付金について

記者

  水田活用の直接支払交付金の関係で伺います。農水省が5年間に1度も水張りをしない水田を交付金の対象から外しています。ただ、米の転作作物としてソバを作る一部の産地などから、取材してみると対象から外れることで、今後、ソバ栽培を続けられるか分からない、先行きが見通せないなどの経営の先行きを不安視する声がありました。この問題について、ご所感と、どう対応されるのか、お聞かせください。

大臣

  水田活用の直接支払交付金は、過去の経緯もありますので、若干そこも含めてご理解いただきたいということでご説明申し上げますと、そもそも、この交付金は昭和46年に減反政策とともにスタートした制度です。米の生産量を調整する一方、1つのやり方として、ブロックローテーションを考え、米の作付の間に畑作を行ってトータルの米の収量は減る、しかし、農地は引き続き有効活用するといった皆様に対して、米以外の作物を穫るときに、手取りが減るので、そこを支援しようということでスタートしたのが、この交付金の趣旨です。ところが、1度畑作物を生産した状態になってから水張りをしないで、いわゆるブロックローテーションをせずに、畑地としてずっと活用している例が全国で見られたということで、財務省の平成28年の予算執行調査で指摘を受けて、実質、水田ではないところに交付金が交付されているのは不適切だという指摘があって、運用の見直し等々を行い、平成29年には、湛水機能のない土地に支払っていたものは、今後やめていくという方針が明確になったということです。実際、基準をどうしていくかということで、令和3年12月に今後5年間に全く水張りをしない農地については、水田としての機能を持っていないか、今後、水田としてお使いになる意向がないとみなして対象から外す。一方で、水田のもう一つの機能は、連作障害を防止するということで、水を張ることによって畑作物の連作障害を防止できる機能もあります。作物によって、1か月から4か月ぐらい水を張るということで水田の機能を活用しながら、畑作物をやるという場合には、引き続き水田利活用の直接支払交付金をお支払いするという方針も、去年、お出ししました。ということで、決して支援を突然打ち切るという話ではないというのは、まず多くの皆さんにご理解をいただきたいと思います。その中で、今後も主食用米の需要は毎年トレンドとしては、約10万トンずつ減少していくわけですし、食料自給率の観点からも、輸入に頼っているものの振興をしていくのはとても大事ということで、麦、大豆、ご指摘のソバ等々も、輸入が多いので、こうした畑作物への転換が進むように支援をしていきたいと、これが考え方です。それで、そういう畑作でも、水田機能を活用してなら、このまま交付しますし、ソバは水をつけると品質は低下することもあるので、やはり畑地で専用でやっていく方がいいわけで、そうした場合は畑地として産地化していただくのが大事と(いうことです。)地域協議会の方に届けていただいて、畑地でやるということであれば、畑地化促進事業ということで、ソバであれば、一括10a(当たり)14万円。そのあとも(10a当たり)2万円を5年間という応援をする支援を約束してます。一括14万円ですけれども、大体2万円ぐらいの水準と考えれば、7年分は、一括で支援をすることになりますし、そのあとの5年も合わせれば、ここで12年分の支援を約束しているということです。問題は、予算が足りなくて、希望される方全員にお渡しできないと大変なので、今後、しっかり必要な財源を確保して、安心して畑地での営農に取り組んでいただけるように頑張りたいと思っています。

記者

  今、制度的なお話いただきましたけれども、実際にこの単価が安い都府県の産地では、苦痛の声がある状況の中で、大臣の思いとして、どうその苦痛に向き合うのか、お聞かせいただけますか。

大臣

  ソバについては、生産費と販売価格を見ますと、生産費が大きいということで、差額をゲタ対策としてお支払いしています。このゲタの単価も今回の見直しで、かなり上がるということですが、地域によって、生産費ないし販売価格が違うという課題はあるのだと思います。そこについては、特に生産性がちょっと低い中山間地だとかが多いのかもしれませんが、中山間地域等直接支払(交付金)とか、多面的機能支払交付金等々も組み合わせて、総合的に応援していくというのが1つ。それから、それをどう支えていくかというのは、地域の実情を見ながら、また考えていきたいと思っています。

  • 日本産水産物の消費拡大について

記者

  水産物の国内消費の関連でお伺いします。各方面での消費拡大の取組が様々成功しつつあるとおっしゃっていたのですが、一方で、消費者の方は小売店でそんなにホタテを、実は見れなかったといったような声もあるかと思います。実際に消費量や流通量が増えているという形がもう既に数字として、出ていらっしゃるかというのをお伺いしたいのと、もし、やはり輸出と関連して逆にその販売価格、国内消費の際に下落したりとか、取引価格に影響が出ることを、加工業者や水産業者、気にしているかと思います。何か国内消費拡大において、課題がございましたら教えていただけますか。

大臣

  価格等々については、手元に数字がないので、また調べたいと思いますけれども、例えば、ふるさと納税等々で、ホタテとか、常磐物の水産物とかの応援がもう5倍、10倍となっていますけれども、ここについては少なくとも、安定した価格を設定した上で取り組んでいただいていると思うので、そうしたところでの輸出拡大というのは、価格下落には結びつかないのかなと思います。この前、福島に行って、仲買人の皆様とか小売店の皆様にお話を聞いたら、風評被害による価格の下落とか、悪影響は全く感じないということですので、実質的には多くの皆様が応援をしてくださっているので、価格の点では、そんなに大きな問題になっていないのではないかと思っています。大量に輸出していたものがスムーズに国内の市場に流れるかというところは、また努力をしていろいろな流通のネットワークを構築していかないと、買おうと思っても並んでないということになるというのは、おっしゃるとおりだと思いますので、先ほどもう一皿と言ったのですが、レストランまで安定供給ができなければ、そういうメニューも作れませんので、そうしたところも、多くの皆さんのお力もいただきながら、スムーズに国内消費が拡大できるように取り組んでいきたいと思っています。

  • コメの1等米比率について

記者

  米の等級の低下についてお尋ねします。今日、8月末時点の検査結果が公表されることになっています。9月に入ってから、特に産地では等級の低下が出ていますけれども、今の全国の状況というのをどのように認識していらっしゃるのかということと、先日、会見では共済や保険による支援もあるというお話でしたが、各地のJAですと、独自に上乗せをして農家さんにお支払いをするような取組をしているところも出てきています。何か支援の必要性などについてはどのようにお考えでしょうか。

大臣

  本年8月末時点のコメの検査実績の調査結果は、本日、公表予定となっていますけれども、高温や少雨の影響を受けている地域の実績が8月末時点では反映されてないということで、データを見ますと、前年同時期と同程度の1等比率ということで、影響が出ているというのは、8月末のデータではあまり感じられないという状況にあります。また、例年ですと、東日本で検査が本格化する9月以降に、1等比率は、上昇していくということが通例ですけれども、本年については、東北、北陸、北関東等において、白未熟粒の発生がありますので、農産物検査における1等米の比率は例年より低くなる見込みとの報告を検査機関から受けています。今般の高温等の影響による農産物の収量や収入の減少に対しては、農業保険加入者に対する農業共済、収入保険による対応が基本ですけれども、そういった独自に支援をしてくださっているというのは大変ありがたいことでありますけれども、まずは、現状を十分に把握した上で、対応についてしっかり考えていきたい。その対応の1つとして、重要なのはやはり高温耐性品種への転換、対策技術の導入、こういったことをしっかり支援をしていくということが重要ではないかと思っています。

  • ロシアによる日本産水産物の輸入規制について(2)

記者

  ロシアへの対応なんですけれども、透明性高い情報発信ということで、魚のトリチウム濃度の検査をこれからも同様にやっていくという意味合いでよろしかったでしょうか。また、先般、放出から約1か月ほぼ毎日やっていたトリチウム濃度の検査結果の公表で、検出限界値未満の不検出ということで終わりましたけれども、その受け止めをお伺いできますでしょうか。

大臣

  ロシアとの関係で言いますと、放射性物質のトリチウム残留量とか、輸出用の水産物の放射性物質検査方法に関して情報が欲しいということですので、科学的な点でコミュニケーションを取りたいという意思表示だと受け止めています。ですから、こうした方式で、こういう手順で、こういうふうに検査した結果、こうなってますということが分かるように、しっかりコミュニケーションをとって、その上で、安全性についても改めて、しっかりお伝えをして、輸入制限に繋がらないような取組をしていきたいと思っています。それから、トリチウムが1か月間、調査してきた水産物において測定限界以下ということでして、この処理水の放出に関して事前の準備もしっかりしているし、この運用についてもしっかり行われている結果として、水産物に影響のない状況で放出が行われたというのが私の認識です。これからも、しっかりモニタリングをしていく。この前、福島でお話があった時は、東電側、排出側の検査数値ではなくて、漁業者の立場に立っている水産庁が責任を持ってモニタリングをして、公開をしてくれてるというのはありがたい、しっかり今後もやって欲しいというお話をいただきましたので、責任を持って、この測定と公表をやっていきたいと思っています。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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