農林水産省・新着情報

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年10月20日(金曜日)10時15分~10時32分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)ノウフクウィーク2023について
  • IAEAによる海洋モニタリングについて
  • 中国による日本産水産物の輸入停止措置に係る対応について
  • 財政制度等審議会歳出改革部会での論点について
  • 諫早湾干拓事業に係る弁護団への対応について
  • 受刑者のホタテの殻剥き作業への従事について
  • 高温耐性品種への転換支援について

冒頭発言

大臣

  私から1点、御報告がございます。農林水産省は、農福連携の認知度向上に向けた初めての試みとして、10月23日(月曜日)から29日(日曜日)までの間、「ノウフクウィーク2023(にいぜろにいさん)」を開催します。期間中は、農福連携を推進する農林水産省、厚生労働省、法務省、文部科学省の4省庁の食堂において、農福連携によって生産された農産物を活用したメニューをご用意します。農林水産省の食堂は、一般の方にもご利用いただけますので、この機会にぜひ、農福連携の事業者のこだわりの食材を使った料理に舌鼓を打っていただければと思います。また、10月28日(土曜日)と29日(日曜日)に岐阜県で全国農福連携マルシェが行われるほか、全国28か所で農福連携の関連イベントが行われますので、ぜひお越しをいただきたいと思います。詳細はこの後、プレスリリースします。私からは以上です。

質疑応答

記者

  昨日、IAEAによる海洋モニタリングで、福島第1原発の近海から魚のサンプルの採取が行われました。これに中国の研究機関も参加したとのことですが、中国による水産物の禁輸措置が長期化する中で、今回、中国の研究機関も参加したことの意義について、どうお考えかがまず1点と、また、政府として今後の規制の撤廃に向けた道筋を具体的にどのようにつけていきたいと考えているか、お願いします。

大臣

  我が国とIAEAは平成27年度から、水産物のモニタリングの信頼性の確保及び透明性の向上のために、複数の分析機関が同じサンプルを分析し、結果を比較する取組を実施してきました。今回は、IAEAに加えて、中国、韓国、カナダの分析機関が参加しています。具体的には、我が国とIAEA並びに参加各国が共同で福島県産水産物を入手し、我が国の分析機関によるサンプル処理から分析までの状況を確認した後、同じサンプルをそれぞれ分析し、その結果をIAEAが比較評価することとしています。農林水産省としては、我が国のモニタリングが適切に行われていることを参加各国を含めた国内外に示す機会になることを期待しています。
  中国政府による科学的根拠のない規制に対しては、日本政府として、これまで首脳級、閣僚級及び事務レベルの様々な機会を通じて、中国政府に対し直接、ALPS処理水に係る我が国の立場を述べたり、規制の即時撤廃を求める等、働きかけています。また、国際的な議論の場でも規制の撤廃を求める反論書面をWTOに提出したほか、WTO-SPS協定、RCEP協定に基づき討議を要請する等の働きかけを行っています。私自身も、先般マレーシアを訪問し、ASEAN+3農林大臣会合や二国間会談において、参加国の大臣に対して、日本産水産物の安全性を説明しました。今後とも、政府一丸となって、様々な機会を通じて、IAEA等による海洋モニタリングの結果も示しつつ、科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めてまいります。

記者

  中国側がサンプルの調査に参加したというのは、より事案の透明性とかを説明する上で、有意義なことであるとお考えでしょうか。

大臣

  そうですね。科学的根拠に基づいて安全性を議論するということで、中国側の研究所でも結果を検証していただけるというのは、科学的コミュニケーションの基盤になると思います。

記者

  財務省で昨日開かれた財政制度等審議会財政制度分科会についてお伺いします。財務省は会合で水田活用の直接支払交付金の単価や交付方法の見直しを提起したほか、収入保険やナラシ対策、野菜価格安定制度、農業共済の国庫負担の大きさにも懸念を示しました。これらの内容について受け止めをお聞かせください。

大臣

  19日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会での議論について、内容は承知していますけれども、審議会における議論へのコメントは基本的には差し控えたいと思っていますが、事実として、何点かお伝えをしたいと思っています。1つ、生産性の点で水田作の小麦や大豆についての御指摘がありました。この水田作の小麦、大豆について生産性向上に重点をおいた仕組みとするなど、見直しを考えるべきとの御指摘をいただいているわけですが、確かに、水田活用の直接支払交付金が交付される中で、単収が低い事例があることは承知しています。このため、単収が低い生産者には、その理由書を国に対して提出をしてもらっており、翌年も収量が低くなる恐れがある生産者には、改善指導もしているところです。やはり生産性向上が重要であることは確かですので、取組をしっかりやっていきたいということ。また、セーフティーネットの在り方、需要に応じた生産が適切に機能した上で、(それでもなお農業者が避けられないような収入減少を補填することを意図した仕組みであるが、足元の状況をみると必ずしも意図した結果となっていない)という話ですけれども、農林水産省としては、農業者が自らの判断による需要に応じた生産を推進しており、価格は市場で形成されていると認識しています。その上で、価格の著しい変動が農業経営に及ぼす影響を緩和するセーフティーネット措置、ナラシとか野菜価格安定対策等が適用されても、下落分が全て措置されるわけではなくて、一定程度の収入減は残ります。やはり需要を無視した生産をすればダメージも受けるわけですので、生産者には一定のシグナルが伝達される仕組みになっていると思います。引き続き、需要に応じた生産という方向に向けて、いろいろな制度が適切に実施されるように努めてまいりたいと思っています。収入保険は保険方式による補填が基本ですけれども、掛捨ての保険方式のみでは加入者の負担感が生じることと、ナラシとか野菜価格安定対策等においても、積立方式が採用されていることなどを踏まえて、補償(範囲)の一部、基準収入の8割から9割の間の部分に限って積立方式を選択可能としています。令和6年加入者からは、積立方式を使わずに保険方式のみで、基準収入の9割までをカバーできる新たなタイプも選べるようにしたところです。それぞれの加入者によってニーズが違いますので、やはり最初に積み立てをするのは負担が大きいという方は保険も選べるということで、加入者のニーズに応じて柔軟な対応ができるようにしていますので、こうしたことも踏まえて収入保険の加入拡大に努力していきたいと思っています。

記者

  国営諫早湾干拓事業の潮受堤防排水門の開門問題に関連してお伺いします。漁業者側は、有明海再生に向けて国が提案している非開門を前提とした和解協議に関して、地元での公開の場において、第1回の協議に応じる方針を固めて農水省に書面を送付されたと伺っています。農水省側としての受け止めと、それに対してどのようにご対応されるかお考えをお聞かせください。

大臣

  報道等にありました、当省宛ての書簡については、本日、今現在まだ届いていませんので、内容が確認できないということもありますので、それを踏まえての対応というのは、この場では控えさせていただきます。いずれにしても開門によらない有明海再生の取組を進めるとした平成29年の大臣談話の趣旨を踏まえた本年3月の大臣談話について、広く関係者の皆様からご賛同いただけるように努力を続けていくことが基本と考えています。

記者

  先日、中国当局が日本産水産物の9月の輸入額がほぼゼロになったということが明らかになりましたけれども、これを踏まえての来月上旬に農水省が発表する9月の農林水産物及び食品の輸出実績もかなり厳しい結果となることが予想されます。それに関連して、処理水の関連で、総額1,007億円の政策支援パッケージが先日発表されましたけれども、これの申請であるとか、現在の進捗状況についてお聞かせください。

大臣

  一昨日、中国の海関総署が公表した貿易統計によりますと、9月の日本産の魚介類の輸入額はゼロとなりました。この減少は、中国による日本産水産物の輸入禁止措置の実施によるものであり、中国に対しては、様々な機会を通じて規制の早期撤廃を働きかけてまいります。輸入規制強化の影響を受けている水産物の輸出先の転換、多角化等「水産業を守る」政策パッケージは、全国及び各ブロックで事業者の皆様を対象とした説明会を既に7回開催をしていて、今後事業者の募集を行っていくという状況になります。また、輸出先の転換ということで言いますと、先日、私もマレーシアへ出張した際に、現地の小売店やレストランで日本産水産物のPRを行いましたし、欧州最大の食品見本市等においてもPRを行ったところです。こうした取組を通じて、引き続き輸出先の転換等もしっかり取り組んでまいります。

記者

  中国による日本産水産物の輸入停止に関連して、政府が国産ホタテの殻剥き等の加工作業を受刑者の刑務作業に追加する方針を固めたという一部報道がありますが、現在の検討状況を教えてください。また、検討されているのであれば、特産地である北海道や東北などが有力な候補地になり得ると思われますが、お考えをお願いします。最後に3点目として、もし検討されているのであればどういった条件や課題が見込まれるか併せてお願いします。

大臣

  刑務作業については、受刑者が改善更生をして、円滑に社会復帰をするための方策の一つであり、刑務所外の事務所に派遣される場合もあると承知をしています。こうした中で、喫緊の課題となっているホタテの加工処理について、この刑務所外での派遣作業等の仕組みが活用可能か、法務省とも連携して検討を始めているというのが現状です。特にこうした取組については、まず、受入事業者、それから周辺地域の皆様の理解が最も重要ですし、作業環境の整備等の課題も多いために、法務省とも連携をして、加工業者の皆さん等々の要望も踏まえながら、更なる検討を進めてまいりたいと考えています。

記者

  今朝、自民党の農業基本政策の会合がありまして、その中でも、やはり今年1等米が少ないということで、高温耐性品種の対策を急げという声がかなり出ていたのですが、これは、今、自民党、政府でとりまとめています補正予算、総合経済対策などに、高温耐性品種等の対策、具体的に実証支援みたいな話も出ていましたが、どのぐらいの規模で盛り込まれるかどうか、検討状況を教えてもらえませんでしょうか。

大臣

  方向性としては、この会見でも高温耐性品種への転換を支援していくと明言をしていますので、今後の対策ないし予算に盛り込まれるということは確実だと思いますが、規模感については、これからだと思います。しっかり取り組んでまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

発信元サイトへ