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宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年10月24日(火曜日)10時09分~10時22分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • 令和5年度会計検査の結果に係る改善の処置要求について
  • 適正な価格形成に関する協議会の取りまとめ及び法案提出の見通しについて
  • WTO農業交渉会合における日本からの提案について
  • 諫早湾干拓事業に係る弁護団への対応について
  • 総理所信表明演説における農林水産物・食品の輸出促進の取組について

質疑応答

記者

  昨日、会計検査院から水田活用の交付金について134億円ほどが不適切に支払われているという指摘がありましたけれども、ご所感をいただけないでしょうか。

大臣

  会計検査院による令和5年度会計検査の結果、水田活用の直接支払交付金について、撤去が困難な園芸施設が設置されている等の場合に実質的に水稲の作付けを行うことが困難な農地であるかどうかを判断できるように基準を定めることや、飼料作物等について基準単収や平均単収の設定により、実際の収量に基づいた定量的な収量確認を行うことができるようにすること等の改善の処置要求を受けたところです。農林水産省としては、こうした指摘を真摯に受け止め、会計検査院からの改善の処置要求を踏まえ、今年度中に通知の改正に向けた手続きを進めるとともに、来月より今後の対応について、本省で開催される全国会議、また、各地方ブロックで開催される会議の場等において説明をすることなどにより、関係者の皆様への周知を徹底することで、同交付金の適切な運用を進めてまいります。

記者

  適正な価格形成についてお尋ねします。適正な価格形成に関する協議会で牛乳のワーキンググループが設置され、新たな仕組みの構築には農業関係者の期待も高いですが、こちらの協議会やワーキンググループは取りまとめの時期や目指す仕組みの姿をまだ示していません。議論の取りまとめに向けた見通しはいかがでしょうかということと、仕組みの法制化を目指すとしていますが、次期通常国会の法案提案は難しいというご認識でしょうか。

大臣

  農林水産省では、8月から「適正な価格形成に関する協議会」を開催しており、まずは流通経路が簡素で、コストの把握も比較的可能で生産等の持続性を確保すべき品目ということで「飲用牛乳」、「豆腐・納豆」を対象として、ワーキンググループにおいて検討を進めることとして、20日(金曜日)に第1回飲用牛乳ワーキンググループを開催しました。20日開催のワーキンググループでは、生産者側からは、「現状の乳価交渉については、コストの増加を適正に反映しているとは言い難い。」といった意見が出された一方で、製造業側からは、「乳価を上げたのは、この価格では本来売れないけれども、生産者が持続可能とならないから」という意見。また、小売や消費者側からは、「価格の上昇は消費量の減少につながるのではないか」等の意見があったと聞いています。こういう様々な立場で様々な意見がありますので、関係者間で丁寧に合意形成を進めることが必要だと思います。その中で法制化を含めて、講ずるべき措置について具体化していく必要があると考えています。今、そういった状態にあるということで、いつというのが明確になっているわけではないということです。

記者

  まだ今の段階だと来年の通常国会に提出する可能性もまだあるということですか。

大臣

  (可能性も)含めてまだ先については未定です。

記者

  日本政府がWTO農業交渉で食料輸出規制の乱用防止を提案したという一部報道が先日ありました。このことに関する所感と、これが事実だとすれば、この狙いとか今後のスケジュールについてお聞かせください。

大臣

  20日(金曜日)に、スイスのジュネーブで行われたWTO農業交渉会合において、我が国が主導して、農産物の輸出規制に係る提案を行ったところです。その内容は、1つは農産物の輸出規制措置の導入に当たっての条件を明確化すること、もう1つは各加盟国が実施する輸出規制措置の情報共有を進めるという2つの提案をしたところです。農林水産省としては、こういう提案で、輸出規制の透明化を高める議論をWTOの場で行うことによって、世界的に関心の高まる食料安全保障の確保に向けて、日本の貢献を各国にアピールしていくものです。

記者

  この問題の背景には、やはり食料をめぐる保護主義的な各国の姿勢だとかが背景にあって、そこで日本がこの議論をリードしていきたいという狙いもあるのでしょうか。

大臣

  原則的なルールはあっても、それがきちんと守られていない、明確化されてない、そういった事例が全世界的にあちこちあるので、やはりルールが実際に動くための一つの基盤として、情報共有であるとか、規制の条件の明確化をお互いに徹底していこうということで、本来のあるべき姿に戻っていく一つの手だてを提案したということです。

記者

  諫早湾干拓事業の潮受堤防排水門の開門問題についてお伺いします。有明海の再生に向けて国が提案している非開門を前提とした和解協議に関して、漁業者側が地元での公開の場において第1回の協議に応じると、書面を農水省に送付されているかと思います。農水省としての受け止めと、どのように対応するか考えをお聞かせください。また、歴代の農林水産大臣は就任後に、直接、諫早湾干拓の現地視察にも行かれているかと思います。宮下大臣は現地へ行かれる予定はございますか。

大臣

  弁護団からの書簡については、昨日23日に届きました。内容としては、話し合いの場の持ち方について、弁護団の考えを示したものと受け止めています。本年3月の大臣談話に対して、広く関係者からご賛同がいただけるように努力を続けていくことが基本ですので、今回の書簡を踏まえた今後の対応については、こうした考えを踏まえて、検討してまいりたいと考えています。現地視察の件ですが、これは国会の日程など種々の条件を勘案しながら、適切に対応していきたいと考えています。

記者

  今後、対応を検討したいということですけれども、そのスケジュール感として、いつぐらいまでに検討したいといった目途はありますでしょうか。

大臣

  そこのところは、特にいつまでにというものは決まっていませんけれども、きちんと検討、対応していきたいと思っています。

記者

  農業交渉会合の件ですけれども、今回、日本が提案した背景には、処理水をめぐる中国やロシアの対応というのも念頭にあってのご提案ということになるのでしょうか。

大臣

  今回は農産物の輸出規制措置に係る提案ですので、輸入規制に係るということでダイレクトにそれを言ったものではないと思いますけれども、基本的に輸出規制の場合でも、事前の通知とか、条件の明示がされないで、突然、輸出規制が行われるというような事例が多々あるので、各国の共通の認識を高めるという意味で、条件の明確化などが必要ということで提案をしました。そういうルールをきちんと明確化して、お互いに共通理解の下で、WTOの下で貿易を進めていこうという考え方を訴えたということです。

記者

  中国側の統計で、日本から中国への水産物輸出がゼロになるなど、禁輸の影響が広がっています。これに関連して、昨日、総理が所信表明の中で、ホタテの品目別輸出促進団体の早期認定をするといった発言がありましたけれども、輸出促進の具体策についてお聞かせいただけますか。

大臣

  昨日の総理の所信表明演説において、品目別輸出促進団体の早期認定についてのご発言がありました。国では、輸出促進法に基づいて、これまで11の品目団体について、認定を行っていますけれども、10月20日に、ホタテ貝、養殖魚類、畜産物、この3つの品目団体から新たに認定の申請がありましたので、現在、審査を進めているところです。農林水産省としては、ホタテ貝等の新たな輸出先の開拓等に向けて、品目団体の認定を通じて、業界全体の輸出課題に対して、オールジャパンでの取組を推進してまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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