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2023年10月29日

西村経済産業大臣は10月28日(土曜日)から10月29日(日曜日)の日程で、大阪・堺に出張し、G7大阪・堺貿易大臣会合に出席しました。会合では、共同議長として、自由で公正な貿易秩序の維持・強化及び経済安全保障の強化に向けた取組に関する議論をリードし、貿易大臣声明を取りまとめました。

1.G7大阪・堺貿易大臣会合

(1)概要

  • 我が国は、本年のG7議長国として、10月28日(土曜日)、29日(日曜日)に、G7大阪・堺貿易大臣会合を対面で開催しました。会合では、西村経済産業大臣と上川外務大臣が共同議長を務め、G7の貿易担当閣僚のほか、28日(土曜日)のアウトリーチセッションには、G7外のパートナー国(豪州、チリ、インド、インドネシア、ケニア)及び国際機関(WTO、OECD、ERIA)の閣僚並びに産業界の代表者等が出席しました。

  • また、会合では、 (1)貿易と持続可能性、 (2)公平な競争条件の確保、 (3) WTO・第13回閣僚会議(MC13)、 (4)経済的威圧・サプライチェーン強靭化をテーマにした4つのセッションのほか、G7貿易大臣会合としては初めてアウトリーチセッション(招待国・機関や民間企業を交えたサプライチェーン強靭化に関するセッション)を開催しました。

  • このほか、会合及び各国閣僚との意見交換では、日本産水産物の輸入規制に係る日本の立場について、参加国から幅広い支持が表明されました。

(2)西村経済産業大臣の発言内容(一部)

西村経済産業大臣は、各セッションにおいて、以下の旨を発言しました。

サプライチェーン強靭化アウトリーチセッション【司会】

  • 招待国・機関及びG7の民間企業の代表※1と議論するアウトリーチセッションの開催はG7貿易大臣会合としては初めて。

  • コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略を受け、我々は重要物資の途絶を経験し、供給を特定の国に依存することのリスクを認識。最近では、経済的依存関係を武器化する動きも見受けられる。我々、貿易大臣会合は過度な保護主義に陥ることを回避しながら、こうした動きに対処していこうとしている。

  • 民間企業からは、サプライチェーンにおける原材料、とりわけ重要鉱物の調達の多様化の重要性や、投資受入れ各国における制度運用の透明性の重要性について発言があった。

  • 信頼できるパートナー国との官民連携や情報共有を通じて、サプライチェーン強靭化を実現していきたい。

※1 経団連・安永副会長、Canpotex・McKenzie CEO、スズキ・鈴木社長、JOGMEC・高原理事長、Siemens Energy・Morillon豪州部門取締役社長・東アジア・太平洋部門副社長、Rio Tinto・Stausholm CEO、Coherent・Mattera会長兼CEOが登壇。また、オブザーバーとして全米商工会議所、英国産業連盟、カナダ商工会議所が参加。

セッション1.貿易と持続可能性 ~MC13を見据えて~

貿易と環境
  • 貿易は、優れた環境物品・技術の普及を通じて、地球規模の課題解決に貢献できる。この観点から、WTOの「貿易と環境委員会(CTE)」で年内に気候変動対応への貿易の貢献をテーマとした非公式セッションが開催されることを歓迎。

  • MC13では、関税だけでなく規制など非関税障壁の除去等の具体的な取組を、CTEを中心に進めることについて、各国で合意すべき。

デジタル貿易
  • 中小企業等がグローバル経済で活躍する機会を拡大するデジタル貿易においては、「データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(DFFT)」の考え方が重要。

  • 信頼性あるデータ流通を確保するためには、正当化できないデータローカライゼーション措置等に対抗すべき。

持続可能な開発、包摂性の強化
  • 強靭で信頼できるサプライチェーンの構築は、途上国を含めた貿易・投資の拡大を通じて、持続可能な開発にも資する。

  • サプライチェーンにおける人権尊重は、各国共通の課題。企業が予見可能性を持って国際スタンダードに則った人権尊重に取り組めるよう、G7以外の国々を含めた協調が重要。9月にはジャカルタでビジネスと人権に関する対話イベントを開催。こうした協力を推進し、貿易を通じた持続可能で包摂的な成長を実現していきたい。

セッション2.WTO・MC13に向けて【議長】

  • WTOにおける(1)紛争解決制度改革、 (2)審議機能の強化(「貿易と国家介入」に関する審議等)、 (3)年内実質妥結に向けた電子商取引共同声明イニシアティブ交渉の推進、 (4)電子的送信に対する関税不賦課モラトリアム等について、G7間で率直に意見交換し、認識を共有できたことは有意義。

  • ジュネーブで進められているプロセスに引き続き建設的に取り組むとともに、G7外のパートナーも含めて、本国間でのコミュニケーションも進めたい。

セッション3.公平な競争条件(Level Playing Field, LPF)

  • 非市場的な措置に対抗し、グローバルに公平な競争条件を確立することは重要課題。

  • 会合を通じて、国家に事実上管理されたファンド等を通じた産業補助金や、国有企業による市場歪曲的な慣行、様々な態様で行われる強制技術移転等に対する具体的な懸念を共有し、それらに対してルールやツールの活用・強化で対抗するというメッセージを発出できたことは意義深い。

  • 今後、WTO又はそれ以外の枠組みも生かして非市場的措置に対応する具体的なアクションを取ることが重要。

セッション4.ワーキングランチ(経済的威圧・サプライチェーン強靭化)【議長】

  • 経済的威圧について、経済的依存関係を武器化するような行為に対してG7で深い懸念を共有し、迅速な情報共有を行い、威圧的な措置に結束して対応していくことで一致した。

  • また、G7外のパートナー国へアウトリーチすることや、意図せず威圧国の行為に加担してしまう可能性について産業界とコミュニケーションを取ることの重要性も指摘された。

  • サプライチェーン強靱化については、(1)特定国への依存度を軽減する必要性、(2)重要鉱物に関する最近の輸出管理措置への懸念、(3)G7のみで取り組むのではなく、グローバルサウス含む全世界へアウトリーチする必要性、を共有した。加えて、「強靭で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則」策定の端緒を担った貿易大臣会合として議論を継続していく必要性を確認した。

(3)成果文書等

G7貿易大臣声明(原文)PDFファイル
G7貿易大臣声明(日本語仮訳)PDFファイル

(4)関連文書

「アジアにおける責任あるビジネス、人権そしてディーセント・ワーク~人権と包摂的な成長の相乗効果を活かして~」会合サマリPDFファイル

2.各国閣僚等との意見交換

(1)インド・ゴヤル商工大臣との会談

日印産業共創イニシアティブの取組等を通じた、日印経済関係の更なる深化について意見交換を行いました。また、サプライチェーン強靭化などグローバルな課題について日印で引き続き連携していくことを確認しました。

(2)英国・ベイデノックビジネス貿易大臣との会談

「戦略的パートナー」である英国と、WTO、CPTPPでの連携の方向性を確認し、また、日英間の重要鉱物分野における二国間関係の強化を目的とした協力覚書に署名しました。

(3)WTO・オコンジョ事務局長との会談

来年2月の閣僚会議(MC13)に向けて、紛争解決機能の回復、電子的送信に対する関税不賦課モラトリアム、公平な競争条件などについて意見交換しました。

(4)ケニア・ミアノ投資・貿易・産業長官との会談

アフリカ有数の日本企業進出拠点があり日本企業の注目度も高いケニアと、一層の産業分野に関する議論を深めるため、「産業政策対話」の立ち上げに合意し、産業協力に関する共同声明に署名しました。

(5)インドネシア・ズルキフリ商業大臣との会談

「包括的戦略的パートナー」であるインドネシアと、WTOやRCEP等の通商分野、特に、日・インドネシアEPA見直しの早期妥結に向けて、引き続き連携していくことを確認しました。また、本年は、日ASEAN友好協力50周年の節目の年であり、日ASEANの連携強化についても意見を交わしました。

(6)オーストラリア・ファレル貿易・観光大臣との会談

「特別な戦略的パートナー」である豪州と、CPTPP等の通商分野での協力等における日豪連携の重要性を相互に確認しました。

(7)米国・タイ通商代表との会談

WTO改革、レベル・プレイング・フィールド(公平な競争条件)確保、経済的威圧への対応、サプライチェーン強靱化等について意見交換を行うと共に、IPEFについて、貿易分野を中心に緊密に連携して取り組むことを確認しました。また、ALPS処理水の海洋放出に関し、米国の理解と支援に謝意を示すとともに、引き続き連携したい旨を述べました。

(8)フランス・ベシュト対外貿易・誘致担当大臣との会談

経済安全保障を中心に、重要鉱物やG7貿易大臣会合について意見交換を行いました。またイノベーションでの協力についても引き続き連携していくことを確認いたしました。

担当

通商政策局 通商機構部 参事官 田村
担当者:佐志田、尾崎、戸矢
電話:03-3501-1511(内線 3051~52)
メール:bzl-s-kikou-sanjikan-koho★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

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