農林水産省・新着情報

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年11月7日(火曜日)9時12分~9時23分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • 中国による日本産水産物の輸入停止措置に係る影響等について
  • 捕鯨の今後の展望について
  • 令和6年産の畑地化促進事業の単価について
  • トマトキバガによる被害状況等について
  • 有明海沿岸3県の漁協・漁連代表との会合における対応について

質疑応答

記者

  私の方から2点お尋ねします。今日午後、農林水産物の輸出実績が発表されると思います。特に中国への水産物の輸出ですが、おそらく相当厳しい状況が予想されると思いますが、これに対して受け止めと今後の方針、また、中国の禁輸によって今のホタテを中心としてどんな状況なのか、何か把握しているものがあればお願いします。

大臣

  まだ公表前ですので、輸出実績の詳細については差し控えさせていただきますけれども、本年9月の貿易統計によりますと、中国向けの非食用を含む水産物の輸出が前年同月比で90.8%減少して、8億円となっています。これは真珠とか、サンゴとか錦鯉などが輸出されているということです。一方で、香港や米国等向けの輸出は増加したことから、その結果、農林水産物・食品の輸出額総額では3.1%増となり、昨年より1か月早く1兆円を超えました。詳細は、本日午後に公表予定の資料をご参照いただければと思います。中国向け水産物の減少は輸入禁止措置の実施によるものであり、中国に対しては、様々な機会を通じて、規制の即時撤廃を引き続き働きかけてまいります。輸入規制の影響を受けている水産物については、ホタテ等の一時買取・保管支援、海外を含めた新規の販路開拓の支援、ビジネスマッチングや飲食店フェア等を実施して、輸出先の転換・多角化を進めてまいります。なお、ホタテ等の現状ですけれども、北海道で水揚げされるホタテについては、産地からの聞き取りによると、冷凍在庫は増加して積み上がっている中で、冷凍庫を有効活用するということで、殻むき後に冷凍貝柱での保管をしたり、国内外への販売促進等を進めているという状況であると認識しています。また、ナマコ等を含めた最近の水産物価格の動向については、東京都中央卸売市場等の大規模消費地市場においては、現在のところ、全体の傾向として大幅に下落しているといった状況は見られませんけれども、産地市場での聞き取り情報によると、ホタテやナマコ等の一部価格が下落しているとの声が引き続き上がっていると承知しています。こうした中で「水産業を守る」政策パッケージに盛り込まれた300億円基金を活用した、一時買取・保管支援や国内の販路拡大の事業については、既に11件の採択が決定しています。さらに、補正予算においても支援の拡充等について調整をしているところですので、引き続き、現場の情報把握・周知に努めながら、影響を受ける水産事業者の皆様に寄り添った対策の実施に万全を尽くしてまいります。

記者

  もう1点ですが、捕鯨に関することをお尋ねします。4日に下関で母船方式の日新丸は今回で(操業が)終わりということで、新しい船を造るようなのですが、捕鯨について今どんな課題と将来性を感じるのか伺えますか。

大臣

  捕鯨についてですが、鯨類は重要な食料資源であり、他の海洋生物資源と同様に科学的根拠に基づいて、持続的に利用すべきであると思いますし、我が国において伝統的な食文化などを継承することにも貢献することになるので、大変重要なものだと思います。2019年に商業捕鯨が再開されて5年目になるわけですけれども、今後の持続的な商業捕鯨の確立のためには、漁獲可能量(TAC)を算出するための科学的調査、操業の効率化、鯨肉の販売促進など、様々な面における課題に対処していく必要があると考えています。農林水産省としては、「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律」に基づいて、引き続き、販売促進とか、操業の効率化支援とか、必要な支援をしっかり行って、商業捕鯨ができる限り早期に軌道に乗るように必要な施策に取り組んでまいります。

記者

  この捕鯨で、来年、今ミンクなど3種類、捕獲許可を出していると思いますが、1種類追加するという方針は変わりはないでしょうか。

大臣

  新たな鯨種につきましては、最新の調査データに基づいて、令和6年を目途に漁獲可能量を設定することを検討しているという状態ですので、具体的な鯨種等については、今日の時点ではお答えは控えさせていただきたいと思います。

記者

  畑地化促進事業の支援単価についてですけれども、農水省は先日交付額を10アール当たり105,000円にする方針を示されているのですけれども、自民党からは急減への懸念も相次いでいまして、これらの受け止めと対応について考えをお聞かせください。

大臣

  令和6年産の畑地化促進事業の単価については、補正予算の中で調整中です。先日の自民党の農業基本政策検討委員会において、調整状況についてご説明したと承知していますけれども、同委員会においては、畑地化を進める観点から、単価の引き上げが必要だというようなご意見を多くいただいたと報告を受けています。担当部局に対しても、6年産についても、畑地化の取組が進むように、しっかり調整をするように指示をしたところです。今は調整中という状態です。

記者

  害虫のトマトキバガについてですけれども、今年度、新たに25道府県で確認されるなど急増しているのですけれども、現状の認識と、今後、国内での定着が懸念されるのですけれども、農水省としての対応方針を伺えますか。

大臣

  トマトキバガについては、海外でトマトなどナス科の作物に被害を生じさせている害虫であるため、その侵入を警戒しているところです。全国の都道府県や植物防疫所が実施しているトラップ調査においては、これまで37道府県で確認をされています。一部で葉や果実への食害が確認されているものの、果実の収量が低下する等の大きな農業被害は報告されていないところです。農林水産省としましては、引き続き、侵入・まん延の状況を把握するとともに、トマトキバガの被害が確認された場合には、農薬による防除が可能ですので、都道府県による農薬等の防除の実施に対して支援をしているところです。また、イノベーション創出強化研究推進事業において、越冬の可能性や侵入原因等について、農研機構が中心となって研究を進めているところです。

記者

  諫早干拓事業で、31日に農林水産省と地元の漁協との会合があって、その中で農林水産省の提案を漁協側が一部提案への賛同を検討するというような報道があったのですが、この事実関係とこれに対する受け止め、今後の何か方針などお願いできますか。

大臣

  有明海沿岸の各漁業団体の皆様に対しては、本年3月に大臣談話を発出して以降、その趣旨を事務方から丁寧に説明しているところで、報道にあった会合もその一環です。会合での具体的なやりとりについては、相手のある事柄ですので、お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、農林水産省としては、大臣談話に対して、広く関係者の皆様から御賛同がいただけるように、引き続き努力を続けてまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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