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2023年11月9日

同時発表:環境省

令和5年10月30日(月曜日)から11月3日(金曜日)まで、スイス・ジュネーブにおいて「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」が開催されました。

会合には800名程度が現地参加し、日本からは外務省、経済産業省及び環境省の担当者が現地で交渉に臨みました。我が国は、主要な議題を交渉する会合において共同議長を務め、4本の決議案の最終化に積極的に貢献しました。

今次会合では、水銀添加製品の規制の見直し、規制の対象となる水銀汚染廃棄物のしきい値等に関する議論が行われ、蛍光ランプの製造等をその種類に応じ2027年末までに禁止することに決定されたほか、水銀に関する水俣条約(以下単に「条約」という。)上の水銀汚染廃棄物のしきい値について、水銀含有濃度1kg当たり15mgとすることが決定されました。

 

主な結果

条約附属書A及び附属書B(以下「附属書A及び附属書B」という。)の見直しや水銀汚染廃棄物のしきい値等について、議論が行われました。

(1)水銀添加製品(附属書A)等の見直し

条約第4条では水銀添加製品(附属書A)の製造及び輸出入の禁止、第5条では水銀又は水銀化合物を使用する製造工程(附属書B)について規定されています。今次会合では、前回に引き続き、附属書A及び附属書Bの見直しを行い、前回会合(COP4)において合意に至らなかった製品及び今次会合(COP5)までに新たに提案された製品を合わせた9種類について、2025年末から2027年末までに製造及び輸出入を段階的に廃止することが合意されました。これにより、過去に段階的な廃止が合意されたものを含めると、全ての一般照明用の蛍光灯について、2027年末までに製造及び輸出入が禁止されることになります。

(2)水銀の供給と貿易

条約第3条は「水銀」や「水銀化合物」を定義するとともに、水銀の一次採掘の制限や、水銀又は水銀化合物の供給源特定、輸出入の管理について規定しています。今次会合では、第3条の実施に関する課題・経験や、水銀の不法貿易を撲滅するための活動について、締約国に情報提供を呼びかけることになりました。また、水銀等のストックや水銀の供給源を特定するためのガイダンス文書の更新、水銀の一次採掘の特定、管理、削減を支援するためのガイダンス文書の作成、水銀化合物の貿易の状況に関する調査の実施等が決まりました。

(3)零細小規模金採掘(ASGM)

条約第7条において、締約国は自国の零細小規模金採掘(ASGM)を無視できない場合は(a)事務局に通知すること、(b)附属書Cに基づき行動計画を作成・実施すること、(c)3年以内に事務局に行動計画を提出すること、(d)3年ごとに行動計画をレビューすることが求められています。今次会合では、行動計画を作成した締約国に対して、その進捗のレビュー結果を提供すること、先住民族及び地域社会の領土で零細小規模金採掘(ASGM)を行う場合は、先住民族や地域社会の自由意思に基づき、事前にかつ十分に合意を得て適切な措置を講じること、また行動計画を策定及び実施する時は先住民と地域社会及びステークホルダーが適切に参加すること等が求められました。

(4)水銀の大気排出

条約第8条では、関連する大気排出源を有する締約国に対して、排出抑制に関する利用可能な最良の技術と環境のための最良の慣行(Best Available Techniques /Best Environmental Practices:BAT/BEP)を利用すること等を求めています。今次会合では、COP1で採択されたBAT/BEPに関するガイダンス文書の使用経験がある締約国に対して、その経験を事務局に提出することが呼びかけられました。 

(5)水銀の水・土壌への放出

条約第9条では、締約国は水・土壌への水銀放出の重要な発生源について放出インベントリを作成・更新することが求められています。また、締約国会議において、できる限り速やかに、水銀の放出に関する利用可能な最良の技術と環境のための最良の慣行(BAT/BEP)に関するガイダンス文書を採択することが求められています。
今次会合では、技術専門家グループが作成したBAT/BEPガイダンスを議論し、採択しました。

(6)水銀廃棄物のしきい値

条約第11条では、締約国会議において条約の対象となる水銀廃棄物のしきい値を決定し、締約国はその環境上適正な管理を確保するための措置を講じることが求められています。今次会合では、主に、水銀廃棄物の3つの区分のうちまだしきい値が決定されていなかった「水銀汚染廃棄物」に関する議論が行われました。その結果、規制対象となる条約上の水銀汚染廃棄物のしきい値は、水銀含有濃度15 mg/kgとし、当該しきい値を採用しない国は、適切な廃棄物管理措置がなされていることを事務局に提出することが決まりました。

(7)条約の有効性評価

条約第22条では、締約国会議においては条約の発効から6年以内に条約の有効性評価(条約に基づく措置が条約の目的の達成に効果を上げているかを評価)を開始し、その後締約国会議が定める周期で定期的に評価を実施することが求められています。今次会合では、有効性評価を実施する作業グループが正式に発足し、評価のための指標が採択され、2027年の第7回締約国会議において評価を行うことが決まりました。

(8)国別の条約実施状況報告

条約21条に基づき、締約国は条約を実施するために講じた措置やその有効性を報告することが求められています。今次会合では、2017年8月から2020年末を対象に締約国が提出した第1回フルレポートの結果等を検討し、国別報告の様式やガイダンスの改定版を採択しました。

(9)運営にかかる事項

上記のほか、2024年の予算・作業計画や、条約の資金メカニズムのレビューの進め方等について議論され、決定されました。

今後の予定

第6回締約国会議は、2025年11月3日から7日まで、スイス・ジュネーブで開催される予定です。

関連リンク

担当

製造産業局 化学物質管理課長 水野
担当者:川原、田村
電話:03-3501-1511(内線 3691)
メール:bzl-suigin★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

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