農林水産省・新着情報

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年12月1日(金曜日)9時53分~10時10分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)水産物の輸出先の多角化に向けた取組について
  • コメの農産物検査結果について
  • 水産物の輸出先の多角化に向けた取組について
  • ホタテの在庫状況について
  • 食料・農業・農村基本法の見直しについて
  • 農地法制の見直しについて

冒頭発言

大臣

  私から1点、ご報告がございます。ALPS処理水の海洋放出以降の一部の国・地域による輸入規制強化等を踏まえた「水産業を守る」政策パッケージに基づき、農林水産省は、経済産業省やジェトロ、JFOODOと連携して、水産物の輸出先の多角化に向けた取組を進めているところです。新たな取組として、これまで中国で殻剥き加工がされてから、米国に輸出されていたホタテについて、ベトナム等で殻剥き加工を行って米国に輸出するルートの構築を進めています。その一環として、在京米国大使館とも連携し、年明け1月にベトナムにある水産加工施設との商談等のためのミッション派遣を行うこととし、来週から参加事業者の募集を行います。また、ホタテ、ブリ等の国内産地に海外バイヤーを招へいします。来週の三陸・福島の産地を皮切りに、北海道、東北、九州等の産地で視察や事業者との商談を順次開催していきます。さらに、水産物等の輸出先の多角化、米国向け輸出の更なる拡大を図るため、来週、テキサス州ヒューストンに輸出支援プラットフォームの拠点を設置します。ロサンゼルスとニューヨークに続き、米国では3か所目となります。詳しくは、後ほどプレスリリースを行いますので、是非、多くの事業者の皆様にご参加、ご利用いただきたいと思います。私からは以上です。

質疑応答

記者

  本日、3回目のコメの農産物検査の結果が公表される予定です。前回発表された9月末時点での1等米の全国比率は例年に比べて低い割合が示されており、今回も低水準が予想されます。先日成立した補正予算でも高温被害の支援策が盛り込まれておりますが、今後、更なる対策を含めて注視すべき点などありましたらお聞かせください。

大臣

  令和5年産米の10月末時点での農産物検査結果は、本日16時に公表予定ですので、直接の内容についてはコメントを差し控えますが、一方で、本年は高温の影響で白未熟粒の発生等が生じ、1等米比率が低下しました。また、温暖化に伴う影響は来年以降も引き続き発生することが懸念されることから、高温環境に適応した栽培体系への転換が重要となります。このため、農林水産省としては、引き続き、農研機構による高温耐性を持つ育種材料の開発・提供を行うとともに、新たに補正予算で措置した、都道府県やJAなどが行う高温耐性品種や栽培技術の導入実証支援。高温対策に必要な色彩選別機などの農業機械や設備の導入支援などによって、各産地の取組を後押ししてまいります。

記者

  政治資金パーティのことをお尋ねします。本日、清和政策研究会の方で、議員にノルマが与えられて、それを上回った部分を議員にキックバックしていて、それが1億円という報道がありました。そういう実態はあったのでしょうか。また、大臣も創和会とか創風会を作って政治活動していると思うのですが、その辺は、政治資金報告書にもしそういうのがあった場合は掲載しているものでしょうか。

大臣

  私自身の事務所に関しては、そのキックバックというような事実はありませんので、そうしたことは認識していません。事実関係等々については、清和政策研究会の事務局の方にご確認をいただければと思います。

記者

  冒頭の輸出先の多角化に関連してお伺いしたいのですけれども、年間4万トンが中国で加工された後に米国に輸出されていると承知していますけれども、この代替ルートによって、どれくらい賄われるのか、期待みたいなものがあればお聞かせいただけますか。

大臣

  実際のところ、全体像がなかなか掴みにくい世界なので、足元で分かっている状況を申し上げますと、10月の輸出実績は12月5日の公表に向けて現在集計中ですけれども、ホタテの輸出実績を先行して確認したところ、全体としては減少していますけれども、アメリカ向けの冷凍殻剥きホタテの輸出額が前年同月比1.1倍の14億円、香港向けのホタテ調整品の輸出額が、前年同月比1.5倍の12億円となっているなど、足元では輸出の拡大の傾向も見えますので、今後も輸出先の転換や多角化も含めて取り組んで、ホタテの輸出拡大にしっかり取り組んでいきたいと考えています。

記者

  大臣としましては輸出先の多角化は、足元徐々に進んできているという認識でしょうか。

大臣

  輸出先の多角化、拡大もそうですし、もう一つは、国内での様々な取組で、消費も拡大しているところで、トータルとして輸入規制によるダメージを乗り越えつつあると思っています。

記者

  ホタテなのですが、国内の消費はよく応援フェアとかありますが、国内の消費は拡大しているものですか。また、もう12月なので倉庫が一杯になるのではないかと懸念されていましたが、噴火湾がこれからだという説もあるのですが、その辺の状況を分かる範囲でお願いできますか。

大臣

  ホタテの消費拡大に向けては、農林水産省として、これまで関係省庁とも連携をして300億円基金を活用して、学校給食への調達費等の支援や販路拡大に向けた取組を進めているほか、SNSを起点とした「#食べるぜニッポン」キャンペーンを展開したり、また各府省庁の食堂などでの活用、教育委員会や地方自治体、各地の道の駅への呼びかけなどを行ってきたところです。当省やご協力をいただいた各府省庁からの応援消費を呼びかけるSNS投稿に対しては、合計で約3,100万件を超える閲覧がされています。特にホタテについては、既に全国の学校給食での活用の動きが具体化しつつあるほか、大手量販店からは「#食べるぜニッポン」による消費機運の高まりに合わせたキャンペーンの展開によって、9月以降の販売量が、前年の約1.4倍から2.5倍になったとの声が聞かれるなど、国内消費が広がっています。消費者の皆様におかれましては、消費の拡大により我が国の水産業を応援していただいていまして、大変感謝を申し上げます。また、事業者の皆様におかれましても、販売促進などの取組を積極的に進めていただいていることに大変心強く感じています。政府としては、中国等による科学的根拠に基づかない規制の即時撤廃に向けて取り組んでいくとともに、引き続き水産事業者の支援に万全を尽くしてまいります。国民の皆様におかれましては、今後とも、国産水産物を応援していただきますよう、よろしくお願いします。

記者

  倉庫の状況というのは分からないですか。

大臣

  北海道のホタテの在庫状況ですけれども、漁期がほぼ終了したオホーツク地方について、国内消費拡大等の動きも受けて、冷凍貝柱へのむき加工が進展するなど、過剰在庫の解消に向けた動きが徐々に見られ始めた状況と聞いています。他方で、これから春先にかけて漁期を迎える噴火湾地方については、冷凍両貝を中心として、他県での殻むき加工や、海外への輸出の動きも見られるものの、多くの事業者の皆様が、引き続き、過剰な冷凍在庫の発生を懸念されていると認識しています。こうしたこともありますので、ぜひ多くの皆さんに応援消費をお願いしたいということでございます。そうしたことによって、過剰在庫の発生を少しでも抑制していきたいと思っています。

記者

  政治資金パーティですが、清和政策研究会のパーティのノルマはあったのでしょうか。

大臣

  その時その時で、目標額といいますか、目標に向けてお願いをしてということ。

記者

  それを超えた分は、ちゃんと収めるということでいいのですね。

大臣

  基本的に越えて戻すみたいなことはありませんでした。

記者

  食料・農業・農村基本法の見直しについて伺います。昨日、自民党の方で具体的な施策の考え方がまとめられましたけれども、その内容についての受け止めと、農水省の今後の対応をお聞かせください。

大臣

  昨日、自民党の農林合同会議において、「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づく具体的な施策の内容について、食料・農業・農村基本法検証PTの取りまとめが了承されたと報告を受けています。自民党においては、9月にPTの下に立ち上げられた3つの分科会において、テーマを決め、一つ目の農業基本政策検討分科会では、食料の安定供給の確保に向けた構造転換、スマート農業の実用化、環境負荷低減に向けた取組強化。2番目の農地政策検討分科会では、農地の確保と適正・有効利用、農業人材の育成・確保。3番目の食料産業政策分科会では、農産物・食品の輸出促進、適正な価格形成、食品産業の持続的な発展。これらのテーマについて、3か月にわたって精力的にご議論をいただいたところでして、ご尽力に敬意を表します。農林水産省としては、今後、この自民党による取りまとめの内容も踏まえつつ、基本法の改正内容やそれに関連する施策の具体化、さらにはそれを実現するために必要な法制度等について検討を進めてまいります。

記者

  自民党の方では、農地政策について、関連法の改正も含めた施策が盛り込まれていますけれども、農水省の方では農地施策の検討状況はどうなっていますでしょうか。

大臣

  農地法制の見直しについては、昨日了承された取りまとめにおいて、農地の確保と適正・有効利用のための措置を強化するという方向性が示されました。その際、農振法(「農業振興地域の整備に関する法律」)とか、農地法の具体的な見直し内容については、引き続き自民党で議論されるとの説明が先生方からあったと認識しています。今後、農林水産省としても、自民党における議論を踏まえて検討を深めていきたいと考えています。

記者

  先ほどの質問に関連してですけれども、特に農地のことで農振除外への国の関与の強化ということと、農地を所有する法人の経営基盤強化ということで議決権の制限のことを念頭に記述があったかと思いますが、この2点について、現状の課題認識について、どのようにお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただけますか。

大臣

  農地の確保については、食料安全保障の観点から、今後もしっかり確保していくための方策が必要ということは、共通認識としてあると思います。それから法人の問題ですけれども、農業法人は一般的に損益分岐点が高く、経営環境の変化に弱いこと、借入金への依存度が高いことなど、経営基盤が脆弱な課題があるということを踏まえて、法人の経営基盤を強化する措置を講ずるものとされたと理解をしています。昨日の取りまとめでは、農地所有適格法人が食品事業者、地銀ファンド等との連携により、経営基盤を強化する措置を講ずるとなっていると思いますが、具体的な手法については、これからの議論をしっかり見据えて、当省としても検討を進めていきたいと思っています。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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