農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣就任記者会見概要

日時 令和5年12月14日(木曜日)19時56分~20時12分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)農林水産大臣就任にあたって
  • 農林水産大臣就任への思いと取り組み方針について
  • 食料・農業・農村基本法改正への意気込みについて
  • 岸田総理からの指示と農政の抱える課題について
  • スマート農業についての考え方について
  • 予算折衝への対応について
  • 政治資金問題について

冒頭発言

大臣

  この度、農林水産大臣を拝命いたしました坂本哲志でございます。よろしくお願いいたします。私は、農林水産省の最も重要な使命は、国民に食料を安定的に供給することだと考えています。そのためには、食料の生産、加工、流通、消費に至るまで、食料供給基盤を確かなものとしなければなりません。しかしながら、近年の我が国の食をめぐる情勢は、これまでとは大きく変化しています。ロシアのウクライナ侵略に伴う食料の生産資材の価格高騰、気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化などにより、いつでも安価に食料を輸入できる訳ではないことが明白となっています。一方、国内の食料供給基盤に目を向ければ、国内の人口全体が減少局面に転じ、生産者の減少・高齢化も進んでいます。国民の食を守るため、将来にわたって持続可能で強固な食料供給基盤を構築することが急務となっています。こうした状況の中で、昨年来、食料・農業・農村基本法の見直しに向けた作業を進めてきており、いよいよ通常国会に改正案を提出するというこのタイミングで、農林水産大臣に就任することとなりました。食料・農業・農村基本法が農政の基本的な方針としてふさわしいものとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。森林・林業、水産分野についても申し述べます。森林・林業分野については、2050年カーボンニュートラル等の実現に向けて、路網整備やCLT等の活用、担い手の育成など、川上から川下までの取組を総合的に進めます。あわせて、森林吸収源の機能強化と国土強靱化を進めるとともに、「花粉症対策初期集中対応パッケージ」に基づき、集中的なスギ人工林の伐採・植替えなど、花粉症対策を着実に実行します。水産分野については、ALPS処理水の海洋放出を受けた一部の国・地域による科学的根拠なき輸入規制に対して、関係省庁とも連携して国産水産物の消費拡大に努めるなど、支援策等を確実に講じます。このほか、水産資源管理の着実な実施により水産業の更なる発展を図るとともに、「海業」の振興により、地域の所得向上と雇用機会の確保を図ってまいります。高病原性鳥インフルエンザの発生が、11月以降、国内で4例確認されています。全国どこで発生してもおかしくないとも言える状況です。食料安全保障の観点からも、最大限の緊張感を持ちながら、発生予防・まん延防止に引き続き取り組んでまいります。我が国の農林水産業・食品産業は、国民に食料を安定的に供給する役割を果たしながら、地域の経済を支えています。国民の皆様の広い御理解の下に、我が国の農林水産業・食品産業が次の世代に確実に継承され、若者が夢と希望を持って取り組めるよう職責を全うしてまいります。

質疑応答

記者

  本日、政治資金パーティーの問題で、宮下大臣を含む4閣僚が交代となる事態となりました。坂本大臣にとっても、急な就任だったかと思いますが、今後どのような気持ちで取り組んでいきたいか、お気持ちをお聞かせください。

大臣

  宮下大臣は私と同期当選組で非常に信頼している、農政通の1人です。宮下大臣は農林水産関係について、様々な自らのお考えも持っていらっしゃったと思います。こういうことで、私が、急遽農林水産大臣を拝命することになりましたので、宮下大臣のお気持ちは十分汲みながら、これから更に自らも緊張感を持って、日本の農林水産業の振興のために、そしてそれが地域の活性化に繋がるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

記者

  年明け以降の食料・農業・農村基本法の改正の関係で1点お伺いします。改めて、改正に向けた意気込みを聞かせていただきたいのと、大臣は党の方で基本法検証PTの農地政策検討分科会座長を務められた経験をどのように活かされるかも併せて聞かせていただければと思います。

大臣

  (食料・農業・農村基本法の改正は)25年ぶりの改正となりますが、近年、食料、農業に対する様々な環境が変わりました。ロシアの侵略による、ウクライナ等の穀物供給体制がひっ迫をしてきました。一方で、以前にも増して気候変動というものが激しくなってきました。こういうものをしっかり考えながら、これからの供給体制をいかに安定的なものにするかということを常に考え、今後、政策を進めてまいります。農地の問題については、やはり最終的には人と農地の問題がこれからの日本の農政に対して、最も大事なことであると思います。これまで、党におけるPTにおいて、農地をいかに守るのか、そしてそれを守るための担い手をどう作り上げていくのか、確保していくのかということを、論議をしてきましたので、その延長線上でこれからもしっかりと多様な担い手を確保していくことによって、日本の400万ヘクタールに及ぶ農地を守っていくことを心がけながら、これからの法改正に進んでまいります。

記者

  2点お伺いしたいのですけれども、まず大臣就任にあたって、岸田総理からはどのような指示なり、言葉があったのかということと、基本法改正ということで、様々な課題があると思いますけれども、今の農政が抱える最大の課題は何で、それの解決にどう取り組むかについて考えを聞かせてください。

大臣

  総理からは、食料・農業・農村基本法の改正に向けて、しっかり取り組んで欲しいと言われました。この基本法がこれからの日本の農政の歩くべき道をしっかりと決めるものであるということで、食料・農業・農村基本法の改正に取り組んでまいります。日本の課題は、いろいろあります。人口減少、高齢化、担い手の不足、さらには荒廃農地の拡大、そして価格転嫁がなかなか難しい状況です。再生産ができないことによって、後継者が減少していく傾向をどう立て直していくのかが最大の課題と思います。ですから、しっかりと人の部分を手当する、新たな担い手、法人も含めて確保して、そして、農地をしっかり活用できるような状態にして、生産から流通、消費者に至るまでの過程で農家の所得が向上できるように努めてまいりたい。そのための制度政策というものを作り上げていく、そういう意気込みでいるところです。

記者

  人口減少社会ということで、どんどん労働力が減ってくると思いますけれども、それに対してのスマート農業というのが、力を発揮すると思いますが、スマート農業についてどのように考え、どのように進めていかれるかお聞かせいただきたいと思います。

大臣

  本日、就任したばかりですので、そこはしっかり考えていかなければいけないと思いますが、私が農研機構を視察しましたときに、農研機構では、自動運転の農業機器などが、すでにかなり実働をしていまして、今後いろいろな形でスマート農業の進展が見られるだろうと思っています。

記者

  来週、大臣の予算折衝があると思うのですけれども、就任直後で予算折衝に、どのような思いで臨まれるのかお気持ちお聞かせいただけますか。

大臣

  いきなり予算折衝ということで、私も戸惑いはあります。しかし、これまで党の立場で、予算をできるだけ食料安保のために獲得するという気構えできましたので、その気持ちはしっかり持って、予算折衝に臨んでいきたいと思います。以前の(内閣府特命)大臣の時も予算折衝、臨ませていただきました。少子化対策、地方創生対策、その当時の意気込みなども参考にしながら、農林水産業の予算の大幅な獲得、しっかりとした予算の獲得を目指していきたいと思います。

記者

  2点お伺いします。1点は、宮下前大臣につきまして、同期であり、仲が良いというお話もされましたけれども、宮下(前)大臣におかれましては、パーティー券の疑惑について、ずっと一貫して否定をしている中での、今回の交代という形になりました。これについてこういった自民党の動き、そして総理判断についてどのようにお考えか教えてください。もう1点は、これから農政をつかさどるに当たり、ご自身の強みとか、これまでの経験を経て、こういった志でやっていきたいというものがありましたら教えてください。

大臣

  宮下(前)大臣については、私も、こういう形で辞任をされたことは、残念に思います。ただ、岸田政権として、やはり国民の信頼を回復するためには、どういうふうにしていったらいいのか。そこをどうやって断ち切っていったらいいのかという思いで、こういう人事になったのだろうと思いますので、そこは私もしっかりと国民の皆さんたちの信頼を回復するための努力というのを政権の中で続けていかなければいけないと思っています。それから、私の経験で言いますと、私の選挙区は都市近郊の農業もありますし、それから中山間地の農業、オーガニックなどの農業地帯、また酪農地帯もあります。それぞれの地域で、それぞれの地域性を生かした農業が行われて、それがそのまま農村づくり、地域づくり、地域の活性化に結びついているところですので、その地域地域に最も適合した、農林業、水産業というものをどう構築していくかを常に考えながら政策づくりと実践をしていきたいと思っています。

記者

  念のため確認をさせてください。政治資金をめぐる報道が続いています。大臣ご自身の派閥で、キックバックを受けたことは過去にありませんでしょうか。また、その裏金づくりに関与するようなことは一切ないということでよろしいでしょうか。その確認だけさせてください。

大臣

  私のところでは、そういうものはないと承知しています。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

発信元サイトへ