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坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年12月26日(火曜日)10時24分~10時38分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • 今年の振り返りと来年の抱負について
  • 令和4年の生産農業所得について
  • 北方四島周辺水域操業枠組協定に基づく安全操業について
  • 大間産クロマグロの漁獲量未報告事案について
  • 高病原性鳥インフルエンザの発生状況及び鶏卵の現状について

質疑応答

記者

  今日が年内最後の閣議後会見ということで、今年の振り返りと、来年の抱負を伺えればと思います。

大臣

  12月14日に、急遽、大臣職を拝命しました。まずは、財務大臣との予算折衝に臨み、令和6年度当初予算の概算決定等に全力を尽くしたところです。昨日は2025年の農林水産物の輸出2兆円目標達成に向け、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の改訂を行いました。来年は、昨年9月以来、1年4ヶ月にわたり議論を続けてきました、食料・農業・農村基本法の改正案を通常国会に提出することになります。基本法改正案とその関連法案の成立に全力を尽くしたいと考えています。また、森林・林業については、2050年カーボンニュートラル等の実現に向けて、川上から川下までの取組を総合的に進めるとともに、花粉症対策を着実に実行します。水産分野については、ALPS処理水放出による風評被害拡大の防止に努めます。また、水産資源管理の着実な実施や、クロマグロの漁獲管理を強化する法制度の整備等を通じ、水産業の成長産業化を実現します。同時に漁村の活性化に向け、「海業」の振興を推進してまいります。こういった取組を通じて、令和6年を食料安全保障の確保に向けた改革元年として、新たな農林水産政策を実行してまいります。

記者

  先日公表された、2022年の農業総産出額と生産農業所得の調査について、産出額が前年より増えた一方で、生産農業所得は7.3%と前年から大きく減りまして、生産資材の高騰が要因となりましたが、受け止めと、今後の対応方針をお聞かせください。

大臣

  令和4年の農業総産出額は、対前年比1.8%増の9兆円となりました。しかし、生産農業所得は、肥料、飼料、光熱動力などの農業生産資材価格の上昇により、対前年比7.3%減の3.1兆円となりました。なお、令和4年度の補正予算で講じられた資材高騰対策等の効果は、交付時期によっては、この数字には含まれていません。令和4年から5年にかけて予算措置をしていますが、その効果はこの中には含まれていないと考えています。昨今の食料安全保障を取り巻く環境の変化の中で、持続可能で強固な食料供給基盤を構築することが急務であることから、幅広く生産基盤の強化を図り、農業者の所得向上を図ってまいりたいと思います。今後も農業所得を確保するためにしっかりと支援をしてまいりたいと思いますが、一方で、輸出戦略、コスト低減、スマート化等により効率の良い農業政策によって、所得を向上していかなければいけないと考えています。

記者

  日ロの漁業問題についてお伺いします。北方四島の周辺海域で日本漁船が昨年まで行っていた安全操業について、現状では2年連続で交渉ができないまま年を越すことになりますが、再開が不透明な中で、北海道内の漁業者から支援を求める声が強まっています。既存の支援策の拡充であったり、別途、保障を要望する意見もありますが、政府として今後の漁業者への支援策をどのように考えていますか。また、交渉再開に向けてどのように取り組むのか聞かせてください。

大臣

  北方四島周辺水域操業枠組協定に基づく安全操業が実施できるよう、ロシアとの協議を行うべく、外務省と連携して対応してきたところですけれども、依然として、ロシア側から操業実施に向けた肯定的な反応は得られていないという状況です。関係漁業者に対しては、枠組協定に基づく安全操業ができない間も、漁業経営が維持できるよう漁場転換等の取組に必要な経費を支援しているところであり、引き続き必要な支援を行っていきたいと思っています。いずれにしても、操業機会の確保が重要であり、引き続き外務省と連携しながら対応をしてまいります。

記者

  本日、(米の)農産物検査の結果が発表されますが、本年は一等米の比率が記録的に低い結果となりました。このことに対しての受け止めと、来年以降どのような対策が必要かお聞かせください。

大臣

  今年の猛暑により、一等米が非常に少ない厳しい状況になっていることは、十分認識をしています。米価は、今後、できる限り維持継続できるようにやってまいりたいと思っています。自然環境が非常に変動しており、温暖化の影響やカメムシの被害等も出ているところですので、しっかりと状況を把握していく一方で、米価をしっかり維持するための方策を今後も継続していきたいと考えています。

記者

  大間産クロマグロの漁獲量の未報告事案についてお伺いします。青森県が2021年度の違反数量の再調査結果を公表し、前回調査から30トンほど未報告の漁獲量が増えました。来年の漁獲枠の国内配分にも影響すると思いますけれども、対応をお聞かせいただけますか。

大臣

  本件については、昨日、青森県から調査結果の説明を受けたと承知しています。太平洋クロマグロは、全国の漁業関係者に厳しい資源管理に取り組んでいただいているところです。このような未報告事案は許されることではなく、今後、青森県に対して漁獲枠の控除を検討してまいります。また、太平洋クロマグロは、国際約束に基づく数量管理を実施していることから、国としても、青森県大間における漁獲量未報告事案等を踏まえ、再発防止や管理の強化を行ってまいりたいと思います。次期通常国会に必要な法案も提出することを含め、検討を進めてまいります。

記者

  鳥インフルエンザについてお伺いします。本年の感染発生は、昨年、一昨年に比べて現状、格段に少ないと見られますが、それについてどう受け止めているかと、要因についてどうお考えか教えてください。また、鳥インフルエンザによる鶏卵の供給状況と価格について、現状どのようにお考えか、どのようにしていきたいか教えてください。

大臣

  今シーズンの高病原性鳥インフルエンザについては、11月25日の佐賀県における初発以降、これまで4県4事例が発生しています。現在、生産現場におかれては、飼養衛生管理の徹底に、懸命に取り組んでいただいていると認識をしています。過去最多の発生となった昨シーズンの同時期と比べると、少ない発生事例数となっています。昨年12月26日時点では48事例、717万羽でしたけれども、今回は、4県18万羽ということで、この4年の中では最も少ない発生になっています。一方で、野鳥においても、全国各地で感染が確認され、環境中にはウイルスが相当程度存在しているほか、発生がピークとなるシーズンを迎えていることから、まだまだ発生する可能性があり、油断できる状況にはないと考えています。本病の発生を予防するためには、農場における飼養衛生管理を徹底するほかありませんが、引き続き、発生予防及びまん延防止に最大限の緊張感を持って取り組んでまいります。なお、本日この後、農林水産省鳥インフルエンザ防疫対策本部を開催し、今シーズンの発生状況及び疫学調査から得られた知見を踏まえて、私から、全国の養鶏業者や関係事業者等の皆様に対して、改めて農場内への病原体の侵入防止に注意を払うなどの発生予防・まん延防止対策の徹底を呼びかけたいと思います。鶏卵の卸売価格については、昨年11月以降は、大幅な高値で推移していましたけれども、昨シーズンの鳥インフルエンザ発生農場における再導入が約7割に進展しました。そのため、現時点では発生前の水準まで下落をしてきており、関係者からの聞き取りによれば、鶏卵供給への不足感はないと承知しています。また、12月の鶏卵の小売価格は1パック当たり291円になっており、平年よりは高い水準、132%ですけれども、本年7月1パックあたり306円をピークに徐々に下落をしているところです。小売価格については、需給のみならず、小売店の経営戦略により決定されるため、必ずしも卸売価格と連動するものではありませんけれども、引き続き、需給や価格の動向を注視するとともに、発生予防とまん延防止に努めてまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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