外務省・新着情報

冒頭発言

上川大臣の欧州、北米及びトルコ訪問

【上川外務大臣】1月5日から18日まで、私(上川大臣)は、ポーランド、フィンランド、スウェーデン、オランダ、米国、カナダ、ドイツ、及びトルコを訪問します。2024年(令和6年)、最初の国外出張の機会となります。
 まずは、能登半島地震により亡くなられた方々に心から哀悼の誠を捧げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。行方不明者の一日も早い発見を含め、政府を挙げて人命救助や支援に全力で取り組んでいるところであります。
 国際社会からも、多くのお見舞いや支援のお申出をいただいております。また、私(上川大臣)は、これまで、外務大臣として、国際社会から日本外交に対して、高い信頼や期待を寄せられていることを実感してまいりました。こうした中で、今晩から開始する出張に際しましては、国際社会からの温かい声に対して、顔が見える形で謝意を表明し、各国との緊密な協力を確認する考えであります。
 また、国際社会が複合的な危機に直面し、分断や対立が深まる今こそ、平和のために、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、人間の尊厳が守られる世界を確保していくことが重要であります。今回の一連の訪問では、こうした立場から幅広いパートナーとの更なる協力・連携を図り、今後1年間の日本外交につなげていく考えであります。
 具体的には、ポーランドでは、今月発足したトゥスク新政権との間で、日・ポーランド関係の強化について確認するほか、ウクライナ支援について大きな役割を果たしてきたポーランドと、引き続き、その重要性について確認をいたします。
 フィンランド及びスウェーデンでは、ジェンダーや北極など、日本と北欧諸国が、ともに関心を有する分野での協力強化を確認し、二国間協力に加え、日・北欧協力の推進につなげます。
 オランダ及びドイツでは、国際司法裁判所(ICJ)、国際刑事裁判所(ICC)、及び国際海洋法裁判所(ITLOS)を訪問し、日本として、「法の支配」の強化に対するこれらの裁判所の貢献を揺るぎなく支持していることを示します。また、オランダ政府との間で、日蘭間の協力や連携の強化を確認する考えであります。
 米国では、日米外相会談を通じ、インド太平洋地域の安全保障情勢、ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢などについて意見交換するとともに、幅広い分野における協力を確認し、日米の固い結束を一層進化させてまいります。また、本年早期に予定される岸田総理大臣による米国への公式訪問等を見据え、各分野における対応方針をすり合わせる考えであります。
 カナダでは、日加外相会談を通じて、国際社会の諸課題に関し意見交換するとともに、日加間での協力の方向性について、すり合わせを行います。特に、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)に資する日加アクションプラン」発表後1年を経たことを受けまして、同プランの進捗を確認し、今後の取り進め方につきまして、外相間で確認する考えであります。
 トルコでは、日・トルコ外相会談を通じ、外交関係樹立100周年を迎える本年、戦略的パートナーシップ関係にある二国間関係の一層の進展への協力を確認いたします。また、地域主要国であるトルコと、ウクライナ情勢やガザ情勢などについて意見交換を行う考えであります。
 私(上川大臣)からは、以上です。

欧州、北米及びトルコ訪問の意義

【日本経済新聞 根本記者】新年もよろしくお願いします。外国訪問についてお伺いします。国際情勢が緊迫する中で、欧米のNATO加盟各国との安全保障協力を深めるのは当然のこと、「法の支配」の堅持や、北極、WPSなどの分野で、各国・機関と連携を深めることも、望ましい安全保障環境の創出に向けて、厚みをもたらすものと考えます。こういった観点で、上川大臣のライフワークの各テーマを意識した今回の訪問の意義について、御見解をお聞かせください。

【上川外務大臣】今回の欧米訪問でありますが、欧米の同志国等との安全保障を含む幅広い分野での協力や、私(上川大臣)がライフワークとして取り組んできております「法の支配」や、また、WPS(Women Peace & Security)といった分野におきまして、各国・各機関との協力を強化していきたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、現下の厳しい国際安全保障環境の中にありまして、欧州・大西洋と、このインド太平洋の安全保障はこれは不可分である、こうした認識の下、欧米の同志国等との間で、安全保障を含む幅広い分野での協力につきまして、議論を深めてまいりたいと考えております。
 また、今回の三つの国際裁判所の訪問を通じまして、「法の支配」の強化に対するこれら裁判所の貢献へ強固な支持を示すとともに、国際裁判所がその役割を果たすための、更なる協力につきましても、意見交換してまいりたいと考えております。
 また、WPSについてでありますが、私(上川大臣)がアンバサダーを務めておりますWomen Political Leaders、WPLでありますが、こうした組織やシンクタンク等、様々な関係者との会談を通じまして、このネットワークを広げつつ、WPSを次の次元に引き上げ、具体的な行動に移していくための示唆を得たいと考えております。
 こうした取組を通じまして、平和の実現のために、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、そして、人間の尊厳が守られる世界を確保していくための、外交上の取組を一層充実させてまいりたいと考えております。

欧州、北米及びトルコ訪問の大きな意味でのテーマ

【朝日新聞 松山記者】本年もよろしくお願いします。今の日経さんの質問と、ちょっとかぶるところあるんですけれども、本日からの外遊で、大臣、今おっしゃられたみたいに、いくつかの国を訪問されて、テーマを掲げられていると思うんですが、その中で一つ、横串といいますか、大きなテーマを掲げられるとしたら、大臣として、一番重点を置いているものは、どういったものになるんでしょうか。

【上川外務大臣】先ほど冒頭で述べたとおりでございますが、国際社会が複合的な危機に直面しておりまして、また、分断や対立が深まっている今こそ、この平和のために、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、人間の尊厳が守られる世界、これを確保していくことが重要であると考えております。
 今回の一連の訪問では、こうした立場から、幅広いパートナーとの更なる協力・連携を図り、今後1年間の日本外交につなげてまいりたいと考えております。

令和6年能登半島地震(国際支援)

【朝日新聞 松山記者】話題変わって、能登半島地震についてお伺いします。こちらも既に、冒頭ご発言あった内容と重複するんですけれども、米国や英国、台湾、韓国など、各国が支援を表明している中で、総理は、昨日の会見で、各国からの人的・物的支援の申出については、受ける体制が整っていないことなどを理由に、一律に現時点では受け入れてないとおっしゃっていました。外務大臣として、先ほど、顔が見える形で、外遊でも謝意を示されたいというお話でしたが、これについて、各国からの支援の受け止めを今一度お願いしたいのと、あと、今後の対応、どういった形で進められていくか、教えてください。

【上川外務大臣】まず、地震発生直後から現時点まで、この間、米国やその他G7諸国、中国や台湾を含めまして、世界各地の100以上の国・地域や、また団体、そして個人からも、多数のお見舞いのメッセージや、また、支援の申出を受けているところでございます。政府といたしましては、これらのメッセージ、また、支援の申出に対しまして、深く感謝しているところでございます。
 現在、我が国政府をあげて、人命救助や、また、被災地支援に全力で取り組んでいるところでありまして、各国や、また、地域からの支援の申出につきましては、その受入れ体制構築のために要する作業や、また、体制、また、現地の状況等に鑑みまして、人的・物的支援については一律に、現時点では受け入れていないという状況でございます。
 一方、上記のような現地体制、そして、負担、これを要しないような支援につきましては、ありがたくこれを受け入れることとしております。例えば、台湾につきましては、義援金6,000万円の御寄贈が発表されたところでありまして、関係機関間で、関連の調整を行っている状況でございます。

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