外務省・新着情報

令和6年1月15日
ヘイダー所長と握手する上川外務大臣
ヘイダー所長と会談する上川外務大臣の様子
日本財団フェローの方々と記念撮影をする上川外務大臣

 現地時間1月15日午前10時50分(日本時間同日午後6時50分)から約60分間、上川陽子外務大臣は、ドイツのハンブルクにある国際海洋法裁判所(International Tribunal for the Law of the Sea (ITLOS))を訪問し、トマス・ヘイダー国際海洋法裁判所所長(Judge Tomas Heidar、President of the International Tribunal for the Law of the Sea)との会談等を行ったところ、概要は以下のとおりです。冒頭、ヘイダー所長から能登半島地震へのお見舞いの言葉があり、上川大臣から謝意を伝えると共に、ヘイダー所長の母国アイスランドでの火山噴火へのお見舞いを述べました。

  1. 冒頭、上川大臣から、日本の外務大臣として初めてITLOSを訪問できて光栄である旨述べるとともに、ヘイダー所長のITLOS所長就任に祝意を表しました。 また、上川大臣から、日本は、海における「法の支配」を一貫して重視しており、国家間の海洋紛争は、力や威圧ではなく、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき平和的に解決することが必要である旨を強調し、ITLOSが海における「法の支配」に重要な役割を果たしていることを評価しました。その上で、「法の支配」に基づく海洋秩序の「番人」としてITLOSがその役割を更に果たしていくことへの期待を表明しました。 さらに、上川大臣から、日本は、ITLOS設立以来、一貫して同裁判所に裁判官を輩出しているほか、グローバルサウスの行政官等の国際法人材の育成にも取り組んでおり、今後もITLOSへの支援を続けていく旨述べました。
  2. これに対し、ヘイダー所長から、日本がこれまで行ってきたITLOSに対する人的・財政的支援及びITLOSで扱われた事件等への参加を通じた貢献に対する謝意が表されるとともに、日本財団フェローシップ等グローバルサウスの国際法人材育成を始め「法の支配」強化に向けた日本の取組を高く評価する旨述べました。また、双方は海洋法分野での人材育成の重要性について認識を共有しました。
  3. このほか、上川大臣は、ITLOS日本財団フェローシッププログラムに参加しているアフリカ・中南米等の若手行政官及び研究者6名と懇談し、海における「法の支配」の重要性について述べ、参加者の今後の活躍への期待を表明しました。
(参考1)国際海洋法裁判所

  1. 国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき、UNCLOSの解釈・適用に関する紛争の司法的解決を任務として、1996年ドイツ・ハンブルクに設置された。21名の裁判官(任期9年間)で構成される。UNCLOSは199 4年に発効し、現在の締約主体数は168か国及び1地域(EU)。我が国は UNCLOSを1996年に批准した。
  2. 我が国は、これまで、山本草二裁判官(任期:1996年10月1日~2 005年9月30日)、柳井俊二裁判官(任期:2005年10月1日~2023年9月30日)及び堀之内秀久裁判官(任期:2023年10月1日~)の3名をITLOS裁判官として輩出している。
  3. 我が国は、国連海洋法条約締約国の中で第二位の分担金拠出国であり、2023年は約11%を負担(120万ユーロ。日本円換算で約1.9億円。)。
(参考2)ITLOS日本財団フェローシッププログラム

 ITLOSが、日本財団の財政支援を受けて実施している、国際海洋紛争問題解決のための専門家育成プログラム。主に発展途上国の海洋法及び紛争解決等に携わる行政官や研究者を対象に、国連海洋法条約に基づく海洋紛争解決に必要な法的スキル及び実践的な知識を高めることを目的に、毎年7月から9ヶ月間の研修を実施。2007年の開始以来、79か国から計108名が参加。


発信元サイトへ