外務省・新着情報

冒頭発言-太平洋島嶼国との関係強化

【上川外務大臣】私(上川大臣)から1件ございます。 本日は、本年の我が国外交の優先課題の一つであります、太平洋島嶼国との関係強化につきまして触れたいと思います。 太平洋島嶼国は、地政学上の重要性を増しております。我が国自身の安全保障や、また、「自由で開かれたインド太平洋」実現の視点からも重要な地域であります。特に、本年は第10回太平洋・島サミット(PALM10)、これを実施する節目の年であり、この機会を活用して太平洋島嶼国との関係を更に発展させることが重要と考えております。 こうした背景の中で、本日19日、訪日されておられますアイタロー・パラオ共和国外相との間で会談を実施いたします。両国は、官民あわせた取組を精力的に実施してきておりまして、国際場裡でも、長年にわたり協調してきました。特に本年は、両国の外交関係樹立30周年でありまして、両国間の友好関係、これを一層促進してまいりたいと考えております。本日の会談におきましても、日本の親しい友人でありますアイタロー外相との間で、しっかりと議論してしたいと考えております。 また、今後でありますが、PALM10に向けました首脳外交、これを支えるために、私(上川大臣)自身、然るべきタイミングで、太平洋島嶼国を訪問することも含めまして、様々な形で、関係強化に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。 私(上川大臣)からは、以上です。

日・ウクライナ経済復興推進会議

【産経新聞 岡田記者】2月19日に、東京で開く、ウクライナとの経済復興推進会議について伺います。会議まで、あと1か月となりました。民間投資を呼び込むなど、官民を挙げた協力を打ち出す方針でありますが、会議の現在の準備状況についてお伺いします。また、大臣は、ウクライナを訪問されました。この訪問も踏まえて、どういった会議にしたいとお考えか、この会議の意義づけをどうお考えかについても伺います。

【上川外務大臣】ロシアによりますウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分でありまして、また、このような力による一方的な現状変更を許してはならないと、以上の認識の下、日本は、G7を始め、国際社会と連携しつつ、精力的にこの問題に取り組んでまいりました。 7日の私(上川大臣)のウクライナ訪問、これに際しましても、引き続き、ウクライナを強力に支援していく旨をゼレンスキー大統領等に直接お伝えをしたところであります。また、ウクライナ政府関係者との会話等に加えまして、ブチャの視察、また、女性・子供たちから直接お話を伺うという場面にも出会うことができました。中長期的な復旧・復興や、また、WPSの視点を踏まえた取組が重要であるという認識を強くしたところであります。 来月には、ロシアによる侵略開始から2年を迎えるところであります。こうした中で開催される「日・ウクライナ経済復興推進会議」でありますので、今述べたような観点からも、国際社会におきまして、我が国が率先してウクライナへの連帯を示すという観点からも、極めて重要であると考えております。 同会議につきましては、民間企業の協力も得まして、官民一体となった復旧・復興の取組を力強く推進する契機といたしたいと考えております。同時に、ウクライナ支援に係る国際的な機運、これを盛り上げる機会とすべく、ポーランドを始めとする関係国、また国際機関、あるいは両国の関連企業にも招待を行っていく考えであります。 ウクライナ訪問の際にも、同会議に対面で出席予定のシュミハリ首相との間で、同会議に向けまして、具体的に意見交換を行ってきたところであります。民間セクターが関与する10本以上の協力文書に署名できるよう取り組んでいくことを伝達いたしました。引き続き、この会議を成功させるべく、しっかりと準備してまいりたいと考えております。

米国大統領選挙

【共同通信 日出間記者】米国の大統領選挙についてお伺いします。15日に、アイオワ州で、共和党の党員集会があり、候補者選びが本格化してまいりました。言うまでもなく、米国国内だけでなく、日本を含む国際情勢に大きな影響を与える選挙ですので、この選挙、11月までの選挙戦を、どのような点に注目して見ていかれるか、改めてお伺いします。

【上川外務大臣】米国国内の選挙に関わる事項につきましては、コメントすることは差し控えさせていただきますが、日米同盟は、この我が国の外交・安全保障政策の基軸であります。我が国としても、関心を持って注視しているところであります。
 その上で申し上げれば、日米の絆につきまして、このG7議長国の昨年の1年間を通じまして、より一層深化していると。そして、日米両国の連携は、かつてないほど強固で深いというところまで、今、至っていると考えているところであります。
 その意味でも、日米同盟の重要性につきましては、米国でも党派を超えて共通の認識が存在していると認識しておりまして、政府としては、この関係を更に強化をすべく努めてまいりたいと考えております。

中東情勢(米国によるホーシー派のテロ組織再指定等)

【共同通信 日出間記者】別件でお伺いします。バイデン米国政権は、17日、イエメンの親イラン組織ホーシー派に対するテロ組織の指定を再び行いました。2021年にバイデン政権が、このテロ組織の解除を行った際は、イエメンの和平につながるとの見方もありました。この再指定を、まず、どのようにご覧になっておられるか、どのように受け止めておられるかについて伺います。
 また、日本は、米英両軍によるホーシー派拠点への攻撃に対する支持を表明されました。ホーシー派は、攻撃に対する反発を強めており、報復の連鎖が懸念されています。日本が、かねて呼びかけてきた、ガザ情勢の中東地域への波及、また、戦闘の拡大につながる恐れがある中で、なお、米国を始めとするホーシー派への攻撃を支持する立場であるかどうか、お伺いします。

【上川外務大臣】まず、1点目でありますが、1月17日に、米国務省が、ホーシー派を特別指定グローバル・テロ組織として指定することを発表したと承知しているところであります。
 我が国といたしましては、船舶の自由かつ安全な航行を阻害するいかなる行為も許容できず、ホーシー派が船舶に対する攻撃を継続しているということにつきまして、断固として非難するものであります。
 国連安保理決議第2140号に基づきまして、各国は同理事会制裁委員会により指定されましたホーシー派関係者に対し、措置を講じてきているところでありまして、我が国も既に、外為法による資産凍結等の措置を講じてきているところであります。
 我が国といたしましては、あらゆる可能性を排除することなく、引き続き、状況を総合的に判断し、更なる措置の必要性の有無につきまして、検討してまいりたいと考えております。
 2点目のご質問に対しまして、ガザ地区の情勢、これが発生した当初から、我が国は一貫して事態の早期沈静化及び地域全体への飛び火を防ぐべく、外交努力を粘り強く、積極的に続けてきている状況であります。現在の状況についても、深刻に懸念しているという状況であります。
 先ほど申し上げたとおりでありまして、我が国といたしましては、この我が国関係船舶の拿捕を含めまして、ホーシー派が、船舶に対する攻撃を継続しているということに対して、断固非難いたします。
 先般の米英によりますホーシー派に対する共同攻撃でありますが、まさに、これ以上の事態悪化を防ぐための措置として理解している状況であります。
 引き続き、米国を始めとする関係国と、緊密に連携しながら、航行の撓り権利及び自由の確保のために、日本が果たすべき役割をしっかり果たし、そして必要な対応をとってまいりたいと考えております。

北朝鮮による核・ミサイル開発

【NHK 五十嵐記者】北朝鮮の関連で伺います。北朝鮮は、開発中の水中核兵器システムの重要実験を日本海で行ったと今日発表しました。米国の原子力空母も参加して行われた日米韓3か国の共同訓練への対抗措置だとしています。外務省としての受け止めや、今後の対応を伺います。

【上川外務大臣】北朝鮮は、今回と同様、昨年3月及び4月にも「ヘイル」という名称を付した兵器の実験を行ったと報じられていると承知しております。 また、北朝鮮の動向につきましては、この軍事動向を含め、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めているところでありますが、その一つ一つにつきまして、コメントすることにつきましては差し控えたいと思っております。 北朝鮮による核・ミサイル開発でありますが、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できません。 我が国としては、引き続き、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げていくとともに、米国及び韓国を始めとする国際社会と協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行、これを進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく考えであります。

イスラエル・パレスチナ情勢(ガザ地区における日本の緊急人道支援)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 パン・オリエント・ニュースのカルドン・アズハリです。
 日本は、ガザ地区のパレスチナ人に対して、緊急人道支援を提供してきているが、日本からの支援は、どのような状況でしょうか。支援が行き届いていないとすれば、そのことについて、大臣はご存じでしょうか。また、支援が行き届いていないことの責任は、誰にあるとお考えですか。ありがとうございました。

【上川外務大臣】ガザ地区では、10月7日から100日を超えた今も戦闘が続く中におきまして、本格的な冬を迎え、人々は、ますます厳しい状況に置かれております。状況につきましては、深く憂慮しているところであります。
 こうした危機的な人道状況を受けまして、我が国はパレスチナに対しまして、総額で約7,500万ドルの人道支援を行っております。このうち、国際機関を通じた支援の一部として、食料や飲料水、これが既に現地に届き、市民に配布されている状況でございます。また、ジャパン・プラットフォーム、これを通じました日本のNGOによる食料の支援、これも、早期の配布に向けまして調整が行われている状況であります。
 加えまして、JICA(国際協力機構)を通じた、テントや医療消耗品などの支援物資の供与、これにつきましても、既にガザ地区に届き、そして、現地の市民やまた病院に活用されていると承知しております。このほか、医師を中心とする調査チーム、これをエジプトに派遣しております。
 今後も、現地のニーズに沿った支援につきまして、スピード感をもって、不断に検討し対応してまいりたいと考えております。

イスラエル・パレスチナ情勢(イスラエルの行動に対するICJでの審理)

【アナドル通信社 フルカン・メルジャン記者】中東で続いている危機について質問したいです。イスラエルが、パレスチナ領土で、3か月半にわたって行ってきた「人民虐殺」に対する法的責任をとることに、国際社会は、毅然とした態度をとっています。去年10月以降、パレスチナ領土におけるイスラエルの攻撃の法的責任について、司法手続が進行中でございます。国際司法裁判所で、イスラエルに対して開示された司法手続に関する日本政府の最新の立場と、日本政府の期待について、説明していただけますか、お願いします。

【上川外務大臣】御指摘いただきましたイスラエルの行動に対するジェノサイド条約上の評価につきまして、現在、ICJが審議を行っているところでございます。この審議の状況についても含めて、我が国としてコメントすることにつきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
 我が国といたしましては、関連情報、この収集に努めるとともに、今後の司法手続の状況を注視してまいりたいと考えております。

ロシアによるウクライナ侵略(対露制裁措置)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ情勢について、先週、ロシア・メディアが、「米国が、ロシア産原油の輸入を再開し、価格上限設定を上回る価格で取引した」と報じました。これは、全くの対露制裁破りです。米国は、ウランもロシアから購入しています。ウクライナの敗戦が濃厚で、米欧とも軍事支援を控え、対露制裁をもはや遵守する気もなさそうです。中東も緊迫しており、日本も早く対露制裁を解除し、ロシアからのエネルギー資源の輸入に乗り出すべきではないでしょうか、御見解を教えてください。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】ロシアによるウクライナ侵略でありますが、力による一方的な現状変更の試みでありまして、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると、そのような行動につきましては、高い代償が伴うことを示していくということが必要と考えております。
 日本は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をし、厳しい対露制裁措置を迅速に実施してまいりました。
 エネルギー分野につきましては、G7首脳声明、これに基づきまして、石油・石炭を含めロシアのエネルギーへの依存をフェーズアウトすることとしているところであります。
 引き続きロシアの侵略をやめさせるべく、G7を始めとする国際社会と連携して、厳しい制裁を講じてまいります。

政治資金問題(岸田派解散を検討)

【NHK 五十嵐記者】自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る事件の関連で伺います。東京地検特捜部は、今日、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で、岸田派の当時の会計責任者を略式起訴しましたが、岸田派に所属する大臣としての受け止めを伺います。また、岸田総理大臣は、昨夜、自らが会長を務めていた岸田派の解散を検討していることを明らかにしましたが、こちらの受け止めも併せて伺います。

【上川外務大臣】外務大臣の立場として、宏池会をめぐります状況に、コメントすることにつきましては控えるところでございますが、国民の信頼、この回復の必要性を大変重く受け止めているところであります。
 現在、自民党におきまして、様々な検討議論が行われると承知しておりまして、私(上川大臣)といたしましても、国民の信頼回復に向けまして、しっかりと取り組む必要があると考えております。

【朝日新聞 松山記者】関連で伺います。今日も、皆さん、閣議後会見でいろいろちょっと聞かれているので、ぜひお願いいたします。今、国民の信頼回復に向けて、行動していくことが必要だ、ということをおっしゃられましたけれども、岸田総理が、派閥の解散を表明されたことというのは、直接的に国民の信頼回復に繋がるとお考えかお願いします。あと、大臣として、国民の信頼回復に向けて、どういったことが必要だと思われるかも併せてお願いします。

【上川外務大臣】御質問でございますが、どういう方法で信頼回復をするのかということについては、まさに様々な角度から議論をすべき事柄であると、私(上川大臣)は思います。どれか一つで全てが解決するという問題ではなく、非常に様々な要素が絡まっていることでありますので、その意味でも、先ほど申し上げたとおり、信頼回復に向けた取組につきましては、様々な角度から検討をし、そしてしっかりと説明をしながら実施していくことが必要ではないかと思っております。
 私(上川大臣)自身の立場の中で申し上げるということにつきましては、まず、先ほど申し上げたとおり、外務大臣の立場ということでありますので、控えさせていただきますが、今、様々な外交を取り組んでいくときにおきましても、やはり、日本に対しての信頼をベースにした外交が打ち立てられるかどうかというのは、たえず大きな試金石になっていると、私(上川大臣)自身は思っておりますので、誠実に誠意を持って取り組んでいく、そして、それに対して言ったことはしっかり実行すると、こうした姿勢を重ねていくことが大事ではないかと思います。
 そういう意味でも、外交の分野におきましても、信頼をベースにした形の外交こそが、長期に極めて重要な役割を果たすということを実感してきてまいりましたので、内政も外交も全く同じ姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

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