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2024年1月30日

1月30日、IAEA(国際原子力機関)は、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の安全性レビューミッション(放出後第1回)に関する報告書を公表しました。同報告書は、2023年10月24日から27日にかけて、IAEAの職員及び国際専門家が日本を訪れ、その際に実施したレビューの結論を示したものです。

1.概要

2023年10月のALPS処理水の安全性に関するIAEAレビューは、IAEAとの間で2021年7月に署名されたALPS処理水の取扱の安全面のレビューに関する付託事項(TOR)に基づき実施されたもので、海洋放出開始後初めてのレビューになります。IAEAレビューは、原子力分野の専門機関であるIAEAの職員及び国際専門家(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、ベトナム、マーシャル諸島、ロシア)からなるIAEAタスクフォースにより実施されています。

今回公表された報告書では、主に、国際安全基準に基づき2023年10月に実施されたレビューにおける見解について記されています。 

2.報告書のポイント   ※ IAEA報告書からの引用(一部要約)有

放出開始前のレビューにおける主な技術的事項と同様の確認が行われました。

  1. 規制管理と認可
  2. 放出管理のシステムとプロセスに関する安全性
  3. ALPS処理水の特性評価
  4. 放射線環境影響評価
  5. ALPS処理水と環境のモニタリングプログラム
  6. 利害関係者の関与
  7. 職業的な放射線防護

報告書では、技術的事項毎に、IAEAタスクフォースと原子力規制庁、経済産業省及び東京電力との議論並びに東電福島第一原発での調査のポイントや、所見の概要が記載されています。

全体的な内容としては、タスクフォースにより、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかったことが明記されています。

主な確認結果

  • タスクフォースによるレビューや観察において、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。したがって、IAEAは2023年7月4日の包括報告書で示した安全審査の根幹的な結論を再確認することができる。

  • ALPS処理水の放出を安全に監視するための強固な規制インフラが整備されており、タスクフォースは、原子力規制委員会の現場での存在とその活動を直接見ることができた。

  • 東京電力第一原子力発電所における視察に基づき、タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した。

  • タスクフォースは、福島第一原発の全体的な廃炉措置の一環として、ALPS処理水の放出における防護の最適化を今後更に進める必要があるというIAEAの包括報告書の所見を改めて強調した。しかしながら、タスクフォースは、放出が初期段階にあり、この問題で進展を得るにはさらなる時間と運転経験が必要であることを十分に認識した。

  • タスクフォースは、実施されている環境モニタリングプログラムが国際社会にとって非常に重要であることを強調した。また、東電と日本政府が報告するデータの正確性と信頼性を担保し、透明性を提供するIAEAの裏付け調査の重要性にも言及した。

  • 日本側がすべてのモニタリングデータを単一のウェブサイトに集め、アクセスしやすい形式にすることが非常に有用であると指摘した。関連する国際安全基準で直接要求されているわけではないが、このように重要なデータや結果へのアクセスを容易にすることは、利害関係者のプロセスへの参加を支援するのに役立つだろう。

  • 特に、タスクフォースは、放出された放射性核種の海底堆積物への蓄積が観察されるかどうかに関心を示した。しかし、タスクフォースは、放出された放射性核種のほとんどは、放出された量が非常に少なく、海中でさらに希釈されるため、環境中で検出されないと予想されるため、堅固な検証を実施する可能性は限定的であることを認めた。

  • タスクフォースは、IAEA包括報告書(2023年7月)に記載されているように、関連区域及び通常運転時の職業放射線防護対策の持続可能性のためには、定期的なALPS処理水放出施設の評価が不可欠であり、現在実施されているとおり、継続すべきであることを再強調した。

今後の計画

  • タスクフォースは、東京電力と原子力規制委員会の活動が関連する国際安全基準に合致しているかどうかを評価するため、引き続きレビューを行う。 

  • この10月のミッション期間中、タスクフォースは次のステップについて話し合い、日本への定期的なレビューミッションを継続する意向を強調した。次回のレビューミッションは2024年春に実施される予定である。

3. IAEA報告書を受けた対応

日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に従った対策を講じ続け、安全確保に万全を期していきます。

関連リンク

担当

資源エネルギー庁
原子力発電所事故収束対応室調整官 田辺
担当者:泉井、飯塚
電話:03-3501-1511(内線 4441)
メール: bzl-hairo-syorisuitaisaku★meti.go.jp
※ [★]を[@]に置き換えてください。

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