外務省・新着情報

冒頭発言

上川外務大臣のサモア独立国、フィジー共和国訪問及び太平洋・島サミット(PALM)第5回中間閣僚会合出席

【上川外務大臣】2月9日から10月12日まで、私(上川大臣)は、サモア独立国及びフィジー共和国を訪問します。サモアにつきましては、1962年の同国独立以来、外務大臣として、初めての訪問となります。また、フィジーでは、太平洋・島サミット、いわゆるPALM(パーム)第5回中間閣僚会後に、共同議長として出席いたします。
 PALMにつきましては、10回目となる首脳会合を、7月16日から18日に、東京で開催することを本日発表をいたしました。今般、私(上川大臣)が参加する中間閣僚会合を通して、前回PALM以降、得られた成果を確認し、次回PALMの準備に向けた議論をすることで、首脳外交を支えてまいりたいと考えております。
 PALMは、日本が、1997年、この地域との間で、未来に向けた協力、これを議論する会議として立ち上げたものであります。双方の関係を表現するにあたり、「キズナ」という日本語が用いられるなど、特別な結びつきがあります。
 本出張に先立ちましても、31日、国内で取り組むアウトリーチ型の外交活動の一環といたしまして、駐日太平洋島嶼国大使グループによる表敬を受けました。PALM関連会合の成功に向けて、協力していくことで一致したところであります。
 太平洋島嶼国は、地政学上の重要性を増しており、我が国自身の安全保障や法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」実現の視点からも重要な地域であります。
 私(上川大臣)は、今般の訪問を通じまして、法の支配、民主主義などの共有する価値や原則に基づく信頼関係を強化してまいりたいと考えております。また、気候変動やWPSについても意見交換をする予定であります。
 さらに、今般の訪問の機会を捉えまして、各国と個別に、二国間会談も実施をし、二国間関係や地域情勢について議論をする予定であります。
 私(上川大臣)からは、以上です。

太平洋・島サミット(PALM)

【朝日新聞 松山記者】冒頭ご発言ありました太平洋・島サミットについてお伺いします。南太平洋島嶼国をめぐっては、中国が、ソロモン諸島と2022年に安全保障協定を締結し、先月15日には、ナウルが、台湾との断交を発表するなど、中国の影響力の拡大が懸念されています。経済支援から軍事的な台頭を強めている中国と米国との間で、島嶼国が板挟みになっているとの指摘もありますが、日本としては、島サミットの閣僚会合・首脳会合を通じ、参加国に、対中関係について、どう働きかけていくお考えか、お聞かせください。

【上川外務大臣】この太平洋・島サミットや、その中間閣僚会合でありますが、日本と太平洋島嶼国地域との間で、国際社会や、また、地域情勢の変化を踏まえつつ、今後の協力関係強化に向けまして、幅広く議論する場であります。特定の第三国を念頭に置いているものではございません。
 その上で、今回のPALM中間閣僚会合におきましては、こうした地域の重要性も十分に踏まえつつ、法の支配、民主主義などの共有する価値、また、原則に基づく信頼関係、これを強化してまいりたいと考えております。
 こうした考えに基づきまして、今般の訪問におきましては、各国との個別の二国間会談の機会も活用して、地域情勢につきましても、太平洋島嶼国各国と率直に意見交換を行う予定でございます。

東シナ海における中国によるブイ設置

【毎日新聞 村尾記者】東シナ海でのブイについて伺います。昨日の自民党の部会では、ブイの早期撤去を求めるとともに、それができない場合、日本が自ら撤去すべきだというような意見で一致したとのことです。外務省としての取組や、特に日本が撤去する可能性についての御見解をお願いします。

【上川外務大臣】ご指摘いただきましたブイについてでありますが、岸田総理から習近平(しゅう・きんぺい)国家主席に、また、私(上川大臣)からは、王毅(おう・き)外交部長に対しまして、それぞれ直接、当該ブイの即時撤去を求めてまいりました。にもかかわらず、現時点で撤去されていないことは、極めて遺憾と考えております。
 我が国といたしましては、引き続き、あらゆる機会を捉えまして、中国側に当該ブイの即時撤去を強く求めていくとともに、現場海域におきまして、必要な警戒監視及び状況の把握、また、様々な角度からの調査・分析を行ってまいります。
 その上で、中国側が、当該ブイを放置しているという現状を深刻に受け止めておりまして、ブイの撤去や移動、我が国によるブイの設置を含む様々な対応につきまして、当該海域において、関係国が有する権利及び義務、また、我が国国内法令、当該ブイが、船舶交通や我が国漁業活動へ与え得る影響等を踏まえまして、関係省庁間で連携して検討の上、可能かつ有効な対応を適切に実施していく考えでございます。
 また、昨年7月に確認されましたブイとは別に、1月29日に、海上保安庁が、東シナ海の我が国排他的経済水域におきまして、ブイらしき漂流物の存在を確認いたしました。
 調査の結果、当該漂流物の側面に「中国海洋監測」という記載が確認されたことを踏まえまして、昨日、中国側に対しまして、外交ルートを通じ、改めて、現在設置しているブイの即時撤去を強く求めるとともに、当該漂流物に関する事実関係等の説明を求める申入れを実施したところでございます。

両岸関係(中国による民間機航路変更)

【産経新聞 原川記者】中国と台湾との関係に関してお伺いします。中国の航空当局が、1月30日に、台湾海峡の中間線に、付近に設定している民間機の航路、これについて、従来より台湾寄りを飛行する運用に変更すると、2月1日から変更すると、発表しました。これについては、台湾側が、一方的な現状変更であって、飛行の安全上も懸念が生じるというふうに非難しています。これは、前(さき)の台湾の総統選で、民進党政権が続くということが決まったことを受けて、中国側が、台湾側に圧力をかけている、というふうに見ることもできると思うんですけれども、この中国の動きについて、政府としては、どのように見ているのでしょうか。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】今、ご指摘いただきました関連の発表につきましては、承知しているところであります。
 我が国は、従来から、民間航空機の安全の確保、これが何よりも重要という立場でございます。
 その観点から、本件が当事者間の対話を通じまして、適切に解決されることを、強く期待しているところでございます。

駐ヨルダン米軍部隊への攻撃(米軍の報復)

【共同通信 日出間記者】中東情勢についてお伺いします。米国のメディアによりますと、ヨルダンの米軍施設への無人機攻撃で、米国の兵士3人が亡くなったことを受けて、バイデン米政権が、報復として、イラクとシリアの親イラン武装勢力への攻撃の作戦を承認したと伝えております。実際の攻撃に踏み切れば、中東情勢の一層の不安定化というのは避けられないと思いますが、この緊張状態が続く局面を、まず、この中東情勢をどうご覧になっておられるか、そして、バイデン大統領自身、この報復を厳命されておりますけれども、日本は、この米軍による報復攻撃を支持する立場なのかどうか、ご見解を伺います。

【上川外務大臣】まず、米国政府の発表によりますと、1月27日に、シリア国境に近いヨルダン北東部に駐留する米軍部隊に対しまして、無人機による攻撃がなされ、米軍兵士3名が死亡し、多数の負傷者が発生したと承知しております。我が国といたしましては、このような攻撃を強く非難いたします。
 米国政府並びに犠牲になられた方々、及びその御遺族に対しまして、心から哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りいたします。
 御指摘のバイデン米大統領の発言につきましては承知しておりますが、米国の今後の対応等につきまして、現時点でコメントすることにつきましては、差し控えさせていただきたいというふうに思います。
 その上で、我が国といたしましては、この中東地域全体の、この情勢について、高い緊張感及び重大な関心をもって、米国を含む関係国と緊密に意思疎通を図っているところでございますが、こうした状況のガザ地区を巡る状況につきましては、引き続き、事態の早期沈静化、そして、波及の防止、また、そして、地域の安定化に向けた外交努力につきましては、粘り強く積極的に行ってまいりたいと考えております。

ガザ情勢(UNRWAへの支援停止)

【NHK 五十嵐記者】中東情勢の関連で伺います。ガザ地区の支援を担っているUNRWA国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は、1日、声明を発表し、これまでに合わせて4億4,000万ドルの支援が提出され、今月中には、ガザだけでなく、中東全体で活動を停止せざるを得なくなる可能性が高いとしています。主要な資金拠出国である日本としての受け止めや、立場を伺います。

【上川外務大臣】我が国といたしましては、今般のUNRWA職員への疑惑を極めて憂慮しております。本件に関しましては、国連による調査が行われ、対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出につきましては、一時停止せざるを得ないとの判断に至ったところであります。
 多くのUNRWA職員は、ガザへの人道支援におきまして、献身的に人道支援活動に従事しております。UNRWAは、パレスチナ難民を対象とした保健・医療、また、教育、そして、福祉分野のサービス提供など、重要な役割を担っている国際機関であります。
 こうした本来の役割をしっかりと果たせるよう、UNRWAに対しましては、ガバナンス強化を含めまして、適切な対応が取られることを強く求めております。同時に、我が国といたしましては、世界食糧計画(WFP)や、また、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)といった他の国際機関への支援等を通じまして、引き続き、ガザ地区を含む地域のパレスチナ人への人道支援につきまして、積極的に取り組んでまいります。

ガザ情勢(ICJによるイスラエルに対する暫定措置命令)

【アナドル通信社 メルジャン記者】中東で続ける危機に関して質問したいです。イスラエルによるガザ攻撃では、約2万7,000人の罪のない民間人が命を落とした。オランダの国際司法裁判所が発表したイスラエルに対する決定に関して、日本政府の最新の立場について説明していただけますか。日本政府は、国際連合パレスチナ難民救済事業機関への支援停止による、ガザ地区で飢餓が起こる可能性を懸念しているのでしょうか、お願いします。

【上川外務大臣】まず、ご指摘いただきました国際司法裁判所ICJの暫定措置命令が発出された翌日に、私(上川大臣)の談話を発表いたしました。
 談話で述べたとおりでありますが、この暫定措置命令は、イスラエルのジェノサイド条約違反の有無を、現時点で判断したものではありませんが、イスラエルに対し、ジェノサイド及びその扇動を防ぐための措置や、人道支援を供給することを可能とする措置をとることなどを命じるものであります。国連の主要な国際司法機関でありますICJの暫定措置命令は、当事国を法的に拘束するものでありまして、誠実に履行されるべきものであると。そして、ICJは、国際人道法の遵守と人質の解放にも言及いたしましたが、我が国もハマス等によるテロ攻撃を断固として非難し、人質の即時解放を求めるとともに、イスラエルに対し、自国及び自国民を守る権利の行使に際して、国際人道法を含む国際法の順守を求めてきております。
 国際社会における法の支配を重視する日本といたしましては、この機会に、ICJの果たす役割に、改めて支持を表明するものでございます。
 我が国といたしましては、引き続き、全ての当事者に、国際人道法を含む国際法の遵守、また、関連の国連安保理決議に基づいて、誠実に行動することを求めつつ、人質の即時解放、人道状況の改善、そして、自体の早期沈静化に向けて外交努力につきまして、粘り強く積極的に続けてまいります。

ガザ情勢(日本支援施設の被害、UNRWAへの拠出停止)

【フリー・ジャーナリスト 志葉記者】中東情勢についてお伺いします。今回のイスラエルのガザ攻撃で、これまで日本が支援してきた学校や病院、インフラにどのような被害が出ているか、具体的に把握しているのか。日本の公的資金で支援した施設への攻撃に関して、国際人道法違反であることを、今後イスラエルに追求するつもりはあるのか、ということと、イスラエルが、病院や学校を攻撃していることについて、今のところ日本政府が、イスラエルに対して国際人道法違反を追求していない一方で、ハマス等の攻撃に数人の職員が関与した疑惑を口実に、UNRWAへの資金停止をするのは、極めて一方的でバランスが悪いのではないかと、これらの具体的情報と、大臣の見解をお願いいたします。

【上川外務大臣】まず、日本が支援してきた施設への被害につきまして、お尋ねがございました。
 我が国は、経済社会への自立化促進による平和構築を推進するべく、学校や保健センター、そして、下水処理場等の建設支援を始めとし、パレスチナに対しまして、各種協力を実施してまいりました。現下の情勢におきましては、我が国の支援により建設された施設の、具体的な被害状況を、現地におきまして、直ちに調査をすることは困難であるところでありますが、状況が許すようになった段階で、しかるべく確認をしたいと考えております。
 また、イスラエルに対しましては、これまでも、我が国が支援した民間施設に限らず、一般市民の保護の重要性、また、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきております。
 UNRWAへの拠出停止につきましてでありますが、我が国としては、今般のUNRWA職員への疑惑を極めて憂慮しております。本件に関しましては、国連による調査が行われ、対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出につきましては、一時停止せざるを得ないとの判断に至ったところであります。
 多くのUNRWA職員は、ガザへの人道支援におきまして、献身的に人道支援活動に従事しております。UNRWAは、パレスチナ難民を対象とした、保健・医療、また、教育、そして、福祉分野、こうした分野のサービス提供など、重要な役割を担っています。こうした本来の役割が、しっかりと果たせるよう、UNRWAに対しましては、ガバナンス強化を含めまして、適切な対応が取られることを強く求めております。同時に、我が国といたしましては、世界食糧計画(WFP)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)といった他の国際機関への支援等を通じまして、引き続き、ガザ地区の人道状況の改善に積極的に取り組んでまいります。

麻生副総裁発言

【朝日新聞 松山記者】自民党の麻生副総裁の発言についてお伺いします。先日の閣議後会見で、自民党の麻生副総裁の上川大臣にまつわる発言に対し、大臣が「ありがたく受け止めている」とコメントされたことについて、公人である国会議員・外務大臣という立場にある女性として、「毅然と抗議してほしかった」という声も国民からは上がっています。発言者は、そもそも麻生氏だということは重々承知の上なのですが、女性の視点を政治に反映させることの重要性を説いてこられた大臣として、麻生氏の発言は適切だったと考えるか、初の女性総理として候補にも名前が挙がる中ですが、改めてお考えをお聞かせください。

【上川外務大臣】先回の、御質問に対しての答えについては、その表現について、正確に是非ご理解をいただきたいと思っております。
 今の質問でございますが、2000年の初当選以来、信念に基づき、政治家としての職責を果たそうと活動してまいりました。
 今、国連安保理で2000年に採択されました「女性・平和・安全保障」、いわゆるWPSを主流化し、取組を社会に根付かせようと、各国のリーダーに直接働きかけるなど、必死に取り組んでいるところでございます。
 世の中には、様々なご意見や考え方があることは承知しております。しかし、私(上川大臣)は、現状に一喜一憂することなく、使命感を持って一意専心、私(上川大臣)が尊敬をする先輩であります、緒方貞子さんのように、脇目も振らず、着実に努力を重ねて、今の職責を果たしてまいりたいと考えております。

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