外務省・新着情報

冒頭発言

日・ジャマイカ外相会談及び中南米の重要性

【上川外務大臣】本年は、ブラジルがG20、ペルーがAPEC議長を務めるなど、世界中が中南米に注目をする年であります。また、ジャマイカ及びトリニダード・トバゴとの外交関係樹立60周年を祝して、日・カリコム交流年と位置づけています。
 日・カリコム交流年をスタートする一環として、7日には、カリコムの外交部門の議長であるジョンソン=スミス・ジャマイカ外相と会談を行いました。同大臣との間で、個人的な信頼関係を築き、多くのテーマで共通認識を醸成することができました。特に、価値や原則の共有に裏打ちされ、60年の「還暦」を迎えた「ジャパンJ」と、「ジャマイカJ」、「J-J(ジェイ-ジェイ)パートナーシップ」に、海洋分野における更なる協力に加え、女性会社同士で、WPSという新たな章を加えることで一致をいたしました。
 先方からは、ハイチにおける治安情勢の悪化を念頭に、特に、WPSを通じたアプローチの重要性や、外務省におけるWPSのタスクフォースの立ち上げにも言及をされまして、同じくWPSを重視する私(上川大臣)といたしましても、感銘を受けたところであります。
 中南米諸国とは、自由、民主主義、法の支配等の価値・原則を共有しているとともに、日本との間におきまして、長年の政策連携、また、経済社会開発、そして、世界最大の日系社会が培ってきた歴史的・人的な信頼関係があります。また、食料や鉱物資源など、経済的なポテンシャルも高く、日本の経済安全保障を支える重要なパートナーでもあります。
 今月21日から22日には、早速リオデジャネイロで、G20外相会合が開催されます。厳しさを増す国際社会の中で、日本が、この地域との間に持つ独自の絆、これを国際社会の平和・安定及び繁栄に活用する、またとない機会と考えております。
 こうした観点も踏まえつつ、今年一年、あらゆる外交機会を捉えながら、対中南米外交を推進していく考えであります。
 私(上川大臣)からは以上です。

G20外相会合

【共同通信 日出間記者】冒頭発言いただきました、中南米諸国との外交に関連してお伺いします。冒頭にありましたブラジルでのリオデジャネイロでのG20外相会合において、これは、グローバル・サウスとの連携強化という意味でも、非常に重要な機会となるとは思いますが、改めて、日本として、ここで打ち出されていかれること、重視されているポイントについて、伺えればと思います。

【上川外務大臣】今回のG20の外相会合におきましては、ウクライナ情勢や、また、中東情勢への対応、安保理改革を含むグローバル・ガバナンス改革等が議論される予定でありまして、こうした課題に関する日本の立場と取組を積極的に発信したいと考えております。
 具体的には、G20での協力の基盤を揺るがしているロシアによるウクライナ侵略について、一日も早く、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現する必要があるということを強調したいと思っております。
 また、2月19日に開催いたします日・ウクライナ経済復興推進会議の成果、これも踏まえまして、ウクライナの復旧・復興の取組を力強く推進する、こうした姿勢も示してまいりたいと考えております。
 中東情勢につきましても、人質の即時解放、人道状況の改善、事態の早期沈静化、地域への更なる波及防止に向けた日本の取組を説明してまいります。
 グローバル・ガバナンス改革につきましては、これは安保理改革を含みます国連の機能強化、そして、資金不足に直面する途上国への支援に向け、一層重要となっておりますこの多国間開発金融機関(MDBs)の改革、多角的貿易体制の中核でありますWTOの改革、これにつきましても、日本の考えと取組をしっかりと説明してまいります。
 私(上川大臣)が、従来から取り組んでまいりました「女性・平和・安全保障」、このWPSの重要性につきましても発信をし、この点につきましては、本年のG20での議論に貢献していく姿勢を示してまいりたいと考えております。
 なお、私(上川大臣)の出席につきましては、現在のところ調整中でありまして、決まっている状況ではございません、ということを、ちょっと触れさせていただきます。

福島第一原発における水の漏洩

【NHK 五十嵐記者】福島第一原発の関連で伺います。一昨日、東京電力福島第一原発で、汚染水浄化施設の排気口から、放射性物質を含む水が、外部に漏れ出ました。これについて、中国外務省の報道官は、日本側に透明性のある情報の公開と、責任ある説明を求めました。大臣ご自身も、去年12月に現地を視察されましたが、受け止めや、今後、外務省として、どう対外発信していくのか伺います。

【上川外務大臣】御指摘の水漏れについてでありますが、原子力規制庁が現場で確認を行っており、今後、東京電力による原因究明及び再発防止策を確認する方針、と聞いているところであります。また、経済産業省から東電に対し、しかるべく指導していると承知しております。
 今回の事案の作業は、ALPS処理水の放出作業とは関係がなく、ALPS処理水の海洋放出への影響はないとのことでありまして、東電から報告を受けたIAEAも、その旨プレスリリースを公表したと承知しております。
 私(上川大臣)自身、昨年の末に、福島第一原発を視察したところでございますが、何よりも分かりやすい情報発信が重要であるということを考えておりまして、引き続き、経済産業省等関係省庁とも連携をしつつ、適切に、この問題につきましても、対応してまいりたいと考えております。

北方領土問題(北方領土交渉に対する元島民の声)

【北海道新聞 荒谷記者】北方領土返還交渉について伺います。7日の全国大会で、総理や上川大臣から挨拶で、「北方領土問題を解決して、平和条約を締結する」との方針が語られましたが、出席した元島民からは、「問題を具体的にどう動かしていくのか示してほしかった」とか、「期待外れだ」などの厳しい声が聞かれました。墓参再開も、当然大事なんですけれども、元島民からは「日露交渉のスケールが小さくなる」との声もありました。元島民の声をどのように受け止めますか。

【上川外務大臣】まず、ロシアでありますが、ウクライナ侵略開始の1か月後の2022年3月に、日本の対露制裁等を理由に、日本との平和条約に関する交渉を継続するつもりはないと、一方的に発表したところであります。
 この状況は、現在も続いておりまして、残念ながら、現在、平和条約交渉について、何か具体的に申し上げられるような状況にはないところでございますが、政府といたしましては、今ご指摘いただいたような、元島民の方々のご意見も、しっかりと踏まえ、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。
 また、元島民の方々からは、累次にわたりまして、特に、北方墓参の再開について、ご要望をいただいているところでございます。元島民の方々の、こうした切実なるお気持ちに何とか応えたいとの強い思いを持って、ロシア側に対しまして、今は特に北方墓参に重点を置いて、事業の再開を、引き続き、強く求めてまいりたいと考えております。

国連安保理議長国

【中国新聞 樋口記者】大臣が、3月の上旬に訪米して、核軍縮とか、紛争解決何かをテーマに、公開討論会を開くという報道がありますけれども、事実関係をまず伺います。検討中の場合は、このタイミング、各地で紛争が続いていたりとか、核威嚇とかが繰り返される中で、開くという意義についても併せてお願いします。

【上川外務大臣】3月は、我が国が、安保理の議長月となる月であります。ニューヨークにおきまして、目玉行事といたしまして、「核軍縮・不拡散」及び「平和構築」をテーマとする安保理公開会合をそれぞれ開催する方向で検討しておりますが、詳細につきましては、現在調整中でございますので、現時点で決まっていません。
 その上で、ご指摘のとおり、核軍縮をめぐる情勢が一層厳しいものになっていることでありまして、そのような時だからこそ、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」を目指す歩み、これを主導し、現実的で実践的な取組を着実に進めていく必要があると考えております。
 来月の安保理公開会合は、昨年9月の国連総会一般討論演説におきまして、岸田総理が表明をした、核兵器国と非核兵器国の間の議論の促進のための協力を具体化する取組でございます。
 国際の平和と安全の維持につきましては、主要な責任を有する安保理であります。核兵器国の参加を得て、「核兵器のない世界」の実現に向け、議論を行うということは、大変有意義と考えているところであります。
 また、平和構築でありますが、紛争の発生・拡大、そして、継続・再発、これを防ぎ、平和の持続を実現するための統合的アプローチであります。我が国は、安保理理事国かつ平和構築委員会のメンバーとして、一貫して重視をしてまいりました。
 昨年1月の日本の安保理議長月におきましても、平和構築に関する公開会合を主催をいたしました。本年3月の安保理議長月では、女性、若者の視点を踏まえつつ、「人」に着目をしたエンパワーメントや平和構築委員会の活用等、平和構築の議論を更に深めてまいりたいと考えております。

ウクライナ軍総司令官の解任

【NHK 五十嵐記者】ウクライナの関連で伺います。ウクライナのゼレンスキー大統領は、8日、国民に人気の高いザルジュニー総司令官を解任し、新しい総司令官を任命しました。ロシアによる軍事侵攻が続く中、軍の総司令官が交代することで、戦況に与える影響は避けられないとみられています。今月19日に、日本で、日・ウクライナ経済復興推進会議が開かれるタイミングでの交代となりましたが、これについての大臣の受け止めを伺います。

【上川外務大臣】これは、他国の内政に関わる事項についてでございまして、政府の立場でコメントすることについては、適切ではないと考えております。

ジェノサイド条約

【共同通信 日出間記者】イスラエル軍のガザの軍事作戦が、ジェノサイド条約違反に当たるのかどうかについて、国際的な議論が続いております。このジェノサイド条約というのは、集団殺害罪の予防や、処罰に関するものでありまして、日本以外のG7諸国であったり、多くの国が参加していますが、日本は、未批准となっております。改めて、この日本の立場と、今後の対応についてお伺いします。

【上川外務大臣】我が国は、この集団殺害犯罪、ジェノサイドのように、国際社会全体の関心時でもある、最も重大な犯罪を犯した者が、処罰されずに済まされてはならないと考えております。
 こうした犯罪の撲滅と、予防に貢献するとの考えの下、ICCによるジェノサイドの訴追・処罰については、ICCローマ規程に規定している協力義務に基づきまして、加盟国としての義務を誠実に履行することとしているところであります。
 一方、ジェノサイド条約は、締約国に対しまして、集団殺害の行為等を国内法により犯罪化するという義務を課しているところであります。
 ジェノサイド条約を締結するためには、条約上の義務と、国内法制との関係を整理する必要があると考えております。同条約の締結につきましては、真剣な検討を進めるべく、関係省庁との協議を深めているところでございます。

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