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冒頭発言

【上川外務大臣】サモア独立国及びフィジー共和国への訪問を締めくくるに当たりまして、個別の会談は既に発表済みであります。中間閣僚会合の結果も先ほど述べたところですので、ここでは、私の所感を中心に申し上げたいと思います。
 今回の一連の日程では、変化する国際社会の中で重要性を増す太平洋島嶼国地域との「キズナ」を一層強化すること、そして、7月のPALM10に向けてまして今後の協力のあり方について率直な意見交換を行うことを重視して参りました。
 まず、サモアについては、フィアメ首相との会談などを通じ、地域を取り巻く状況が大きく変わる中にあっても、人と人との交流の歴史に支えられた両国間の信頼の強さ、これをを実感する訪問となりました。また、日本は気候変動の危機感を共有し、地域の一体性を支持しています。そのような日本の考え方を体現する協力となっている太平洋気候変動センター(PCCC)をこれを激励できたことは、本日の議論との関係でも有意義でした。
 フィジーでは、中間閣僚会合のマージンにおいて合計10か国等と個別に会談・懇談を実施しました。これらの国々とは、二国間協力に加えまして、地域の平和と安定に関し、突っ込んだ議論を行うことができました。
 特に、「法の支配」につきましては、私は、本年1月以来、国際社会における「法の支配」の強化のための外交を包括的に進めて参りました。本日は、「自由で開かれた海洋」の重要性について焦点を当てました。具体的には、違法操業の対策にも資する法執行能力を強化する支援等も紹介をいたしました。多くの参加者からは海洋安全保障分野における日本図の協力への関心や期待が示されたところであります。今後ともこうした海における「法の支配」の強化のための外交を進めていく考えあります。
 諸般の事情が許せばブラジルでのG20外相会合及び中南米諸国を訪問する方向で調整中であります。法の支配に基づく海洋秩序に支えられ「自由で開かれた海洋」を維持・発展させていくため、一貫した協力を不断に強化してまいりたいと考えています。私からは以上です。

質疑応答

【記者】米国、中国、オーストラリアなどの大きな国々が太平洋島嶼国への関与、進出を強めるなど、国際情勢が変化するなか、今回の中間閣僚会合や二国間のバイ会談を通して日本の目指すべき島嶼国との関係性はどのようなものだと感じましたでしょうか。また、今回、実際に島嶼国での現場を見て今後必要だと考える島嶼国への協力・支援についてのお考えもあれば伺いたいのと、実際に今回太平洋諸国の暑い空気を感じられたと思いますが、今後太平洋島嶼国への再訪についてご自身の意欲などありましたら、お伺いいたします。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】今般の中間閣僚会合及び個別のバイの会談を通じまして、これまでの二国間での取組や、30年近いPALMプロセスを通して積み上げてきた実績に基づく信頼の「キズナ」の強さを強く感じたところであります。その上で、共有する価値や原則についてこれを確認することができました。
 日本と太平洋島嶼国は、将来にわたっても、こうした信頼関係を土台として、お互いにお互いを尊重し合い、また学び合う、そして協働する関係を強化をしていくことが大切である、このことを実感したところであります。私からそのように率直に各国にも伝えさせていただきました。
 そのためにも、日本として気候変動や海洋分野を中心とした課題、これを太平洋島嶼国と共に取り組んでいく、このことが重要であると考えております。また、人材育成分野での取組を幅広い分野で実施していくことも極めて重要であると感じたところであります。
 本年7月のPALM10に向けまして、太平洋島嶼国各国や地域全体との協力につきましては不断に強化をしながら、個別の課題に効果的に取り組ん参りたいと考えております。その際でありますが、WPSの視点を横串で取り入れることが2050年戦略の実現、また日本とのキズナの強化に繋がると考えておりまして、こうした取り組みを実践にして参りたいというふうに考えております。
 そして、再訪についてのお話がありましたが、まずは7月、東京で皆さまをお迎えするということが重要でありますし、また首脳レベルでの会談が成功していくことができるように今回の訪問を通じて得た様々なご意見、またニーズにつきまして、この間協働をしながら、ともにこうしたことについて情報交換しながら、成果を上げてゆくべく、最善の努力をしていきたいと考えております。

【記者】処理水について伺います。島サミットの閣僚会合や個別会談で処理水の安全性について理解を得られたと考えているか教えてください。それぞれの中で反対や異論が無かったかにどうかも教えてください。また、成果文書の中でPALMの常設議題とすることで一致したというふうにありましたけれども、今後どのように対応していくかも含めて見解をお願いします。

【上川外務大臣】まず、ALPS処理水の海洋放出については、中間閣僚会合において私(大臣)から、一連のモニタリングやIAEAレビュー・ミッション報告書でその安全性が明確に示されていることについて説明をいたしました。その上で、日本はIAEAと緊密に連携しつつ、高い透明性を持って、科学的根拠に基づく説明を続けていく旨説明したところであります。
 また、各国との個別の会談においては、昨年12月に私自身が福島を訪れ、海洋放出の安全性を自らの目で確認したことにつきましても紹介をしたところであります。。福島の農業・水産及び地域住民の皆さんの安心を前提に、その復興について真剣に議論し、取り組んでいることを紹介の上で、ALPS処理水の海洋放出の安全性について丁寧な説明を行いました。
 また、PALMの全体会合では、IAEAを原子力安全の権威として認識した上で、科学的根拠に基づく対応の重要性で一致しました。
 一連の会談・会合を通して、日本政府のこれまでの説明によって、各国との間での理解が着実に進んでいることを実感しました。これからもモニタリングをして、そして科学的根拠に基づき、透明性の高い説明を果たして参りたいと思っています。

【記者】島嶼国への支援についてお伺いします。島嶼国の主要国でもあるフィジーとは昨年、警戒監視用の警備艇や救難艇約4億円相当を提供することで両国が合意しています。今回の太平洋島サミットの中間閣僚会合や各国との個別の会談でこういったOSAのニーズについて言及があったかどうかについて教えてください。また、日本から今後オファーすることが念頭にあるかについてもお願いします。また、島嶼国は経済的な支援を重視する中で、日本は2024年度の当初予算案でODAは減額というふうになっていますが、今後どのように経済的支援を通して島嶼国との連携を図るのか、安全保障の分野に重点をおいていくのかについてもよろしくお願いします。

【上川外務大臣】まずOSAについて言及されましたけれども、昨年末にOSAを活用して実施したフィジー海軍への警備艇等の供与は、海洋安全保障能力の維持・強化を目的としたものであります。これは、PALM9でのコミットメントの一つである「法の支配に基づく持続可能な海洋」の実現、さらには冒頭に私(大臣)が述べた海における「法の支配」の強化に向けた取組の一環であると位置づけているものであります。
 また、今後の太平洋島嶼国に対するODAについてでありますが、今般の中間閣僚会合や個別の会談を通して、本年7月に開催されるPALM10も念頭に、各国から今後の優先課題、また、日本と共に取り組みたい課題についてじっくりとお話を伺いました。
 今後ということでありますが、太平洋島嶼国地域を巡る状況変化やその地政学的重要性を踏まえつつ、太平洋島嶼国との協力を一層強化してまいりたいと考えています。そのために本日の会合や会談でお伺いした各国のニーズにしっかり寄り添いながら、OSAやODA、これを、を最大限効果的に活用していきたいと考えています。


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