経産省・新着情報

2024年2月22日

2024年2月20日から22日の3日間、東京でアジア輸出管理セミナーが開催されました(主催:一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)、共催:経済産業省及び外務省)。30回目の開催となった本セミナーには、34の国・地域及び国際機関等から約180名が参加しました。

1.本セミナーの背景及び概要

アジア輸出管理セミナーは、アジア各国・地域における安全保障輸出管理制度の導入を促進し、運用を強化することにより、国際的な不拡散への取組の強化に資することを目的として、1993年から東京で開催されている会議です。アジアを含む世界各国・地域の政府機関や、国際機関等の専門家が一堂に集まり、輸出管理をめぐる最新の国際状況や、実務面のベストプラクティスについて意見交換や情報共有を行うことを通じ、安全保障輸出管理の重要性に対する共通認識を醸成することを目指しています。

2.セミナー開催概要

(1)参加者

アジア、欧米など34の国・地域や国際機関等から約180名がセミナーに参加しました。

(2)セミナーの主な内容

開会挨拶

吉田経済産業大臣政務官から開会の挨拶として、ロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射など、世界各地で深刻な事態が続いており、国際的な安全保障環境は大きな転換点を迎えていること、このような環境変化に対応するため安全保障輸出管理の重要性はますます高まっていることを指摘しました。また、安全保障輸出管理を効果的に実施するためには国際協調を図ることが重要であり、本セミナーは専門家同士の交流、情報交換、ベストプラクティスの共有を行うための貴重な機会になると強調しました。そして、アジア地域は安全保障上重要な貨物や技術の生産・流通拠点としてグローバルサプライチェーンの中核を担っており、アジア各国が安全保障輸出管理の制度導入を促進し、実効性を高めるために行動することが、アジア地域と世界全体の安全保障にとって重要であると述べました。

パネルディスカッション:昨今の安全保障のリスク

大量破壊兵器の拡散やテロリズム活動を助長するような不正調達、拡散金融、無形技術移転等の安全保障上の脅威に対抗するために、各国の輸出管理当局間の協調、国内の関係省庁間の連携、規制当局と輸出者との間の対話がますます重要性を増していることを確認しました。

アジアにおける輸出管理の取組

フィリピン、カンボジア、中国、ラオス、マレーシア、シンガポール、バングラデシュ、タイ、パキスタン、香港及びインドネシアから、各国・地域の輸出管理制度の整備状況や、制度を導入する上で直面している課題について紹介がありました。

専門家によるプレゼンテーション

専門家から、安全保障輸出管理制度の導入による経済的便益を分析した研究が紹介され、輸出管理制度を導入することによりHSコードベースでほぼ全ての品目の貿易額が増加すること、輸出管理制度の導入はその国が貿易投資環境の整備にコミットしている旨のシグナルとなり対外直接投資にもプラスの影響があることが示されました。

アカデミアへのアウトリーチ

大学や研究機関における無形技術移転について、具体的な違反事例に関するケーススタディや、政府機関によるアウトリーチ活動の紹介がありました。研究者の輸出管理に対する理解を深めることの重要性や、海外から短期で訪問する研究員や留学生を受け入れる際の実務的な問題に取り組むことの必要性について議論しました。

国連及び国際機関からのプレゼン

国連安保理1540委員会、国連安保理北朝鮮制裁委員会、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC)及び化学兵器禁止機関(OPCW)が、各機関の最新の取組について紹介しました。
また、輸出管理レジームの代表から、技術の進展を踏まえた輸出管理レジームの取組について紹介がありました。

執行面におけるベストプラクティス

カナダ、韓国、オランダ、スイス、アラブ首長国連邦、日本及び米国が、キャッチオール規制、積替規制及び仲介規制に関するベストプラクティスや、輸出者の内部遵守規程の策定促進のための取組等について紹介しました。

(3)今回の成果

第30回を迎えた今回のセミナーには、アジア各国・地域や欧米各国など34か国・地域と国際機関等から約180名の輸出管理に関わる実務者が参加し、輸出管理に係る課題やそれに対する各国の取組、効果的な輸出管理の実施方法等について、活発な意見交換が行われました。また、これらの意見交換を通して、アジア各国・地域をはじめとした参加者間のネットワーク強化につながりました。
今後も本セミナーを含めアジア各国・地域に対するアウトリーチ活動を実施し、輸出管理制度の構築や実効性の向上を支援する取組を継続していきます。

3.参加国・地域・機関等

(1)アジア(19か国・地域)

バングラデシュ、カンボジア、中国、台湾、香港、インド、インドネシア、日本、カザフスタン、ラオス、マレーシア、モンゴル、パキスタン、フィリピン、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム

(2)アジア以外(15カ国・地域)

豪州、カナダ、チェコ、エクアドル、欧州連合、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、ラトビア、オランダ、ノルウェー、スイス、アラブ首長国連邦、英国、米国

(3)国際機関等

国連安保理1540委員会、国連安保理北朝鮮制裁委員会、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC)、化学兵器禁止機関(OPCW)、国際輸出管理レジーム(オーストラリア・グループ(AG)、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、原子力供給国グループ(NSG)、ワッセナー・アレンジメント(WA)) 

写真1 写真2

担当

貿易経済協力局 貿易管理部 安全保障貿易国際室長 荒木
担当者:相部、遠藤、佐藤 
電話:03-3501-1511(内線 3271~4)
メール:bzl-anpo-kokusai★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

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