農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年2月27日(火曜日)8時35分~8時44分 於: 衆議院第17委員室前
主な質疑事項
  • (大臣から)「食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案」、「食料供給困難事態対策法案」及び「食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について
  • TSMCの工場開所に伴う地下水採取による農業への影響について
  • 能登半島地震により被害を受けた漁港・漁場復旧の見通しについて
  • 食料・農業・農村基本法の改正について

冒頭発言

大臣

  私から本日1点、ご報告がございます。本日の閣議において「食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案」と「食料供給困難事態対策法案」、「食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。まず、基本法改正法案は、「食料安全保障の抜本的な強化」、「環境と調和のとれた産業への転換」、「人口減少下における農業生産の維持・発展と農村の地域コミュニティの維持」の実現を目指して、基本理念の見直しと、関連する基本的施策等を定めるものです。我が省としては、このような改正後の基本法の方向性に基づき必要な施策を進めることで、環境と調和した農業を振興し、農地の適正な利用を図り、農業者が農で働くことで楽しさとやりがいを持ち、国民の皆様に安定的な食料を届ける責務を果たしていくことを実現していきたいと考えています。次に、新法である食料供給困難事態対策法案は、気象その他の要因により、実際に食料供給が大幅に減少した場合に、政府一体となってこれに対応するため、政府対策本部の設置を始め、国民生活・国民経済への影響の程度に応じ、早期に必要な食料供給確保のための措置を講ずるものです。また、農振法等改正法案は、農地の総量確保と適正利用のための措置を強化するとともに、人と農地の受け皿となる農地所有適格法人の経営基盤強化措置として、懸念払しょく措置を講じた上で、食品事業者等の出資割合を拡大する措置を講ずるものです。基本法以外の2法案は、基本法に定められた施策を具体化するものとして、基本法とともに重要な法案であると考えています。3法案の一日も早い成立を目指して、尽力してまいります。私からは以上です。

質疑応答

記者

  先日24日に、台湾のTSMCの工場の開所式が行われました。開所式には大臣も参加されたかと思うのですけれども、半導体の製造に必要な大量の地下水が使われることによって、今後、農業用水の取水への影響が懸念されますけれども、農水省としてどのように対応されるのか教えてください。

大臣

  TSMCの地下水採取に関し、これまでのところ、熊本県や土地改良区から農業用水の取水への影響が懸念されるとは、聞いておりません。なお、熊本県では、以前から、関係市町、土地改良区、JA等が連携して、水田湛水による地下水涵養に取り組んでいると承知しています。いずれにしても、農業用水の確保については、農水省としても、地方公共団体や土地改良区等と連携しつつ、水田や水路の整備、多面的機能発揮の取組等を支援してまいります。

記者

  能登半島地震ですが、海岸の隆起で漁港の復旧の見通しが、まだ立っておりませんが、今の状況とタイムスケジュールなど何か示すことはできないでしょうか。

大臣

  漁港の復旧については、生業の場としての漁場や漁港と生活の場としての漁村集落を一体的に考えていく必要があると考えています。こうした考え方は、2月22日に国がお示しした「復興まちづくりに当たっての参考資料」にも盛り込まれたところです。県・市町村が国の支援を受けつつ、漁港・漁場・漁村集落等の被害状況や復旧の見込みをとりまとめた「復旧・復興カルテ」を作成します。地域の関係者はこのカルテを踏まえて各地域における将来の方向性を議論します。「復旧・復興カルテ」の作成と並行して、県においては、水産業の復旧・復興の方針を作成します。そして、それぞれの地域の関係者の議論、及び県の方針を踏まえ、県・市町村は、今後の漁業者の漁業継続や住民の居住の意向を確認しながら「復旧・復興カルテ」を見直し、地区の将来像について合意形成を図ってまいります。現在のところ、2月16日から一部浚渫を始めました。そして、(船の)移動のためのサルベージ船の予約もしています。さらに、3月以降、船底等の調査も始める予定です。

記者

  本日閣議決定された食料・農業・農村基本法ですが、農政の憲法とも呼ばれて、農業上、非常に重要な法案だと思うのですが、改めて四半世紀ぶりの改正に当たって受け止めと、この法改正を通して、国内の農業を今後どういう形にしていくねらいがあるのか、聞かせてください。

大臣

  25年前と変わったところは、気候変動による異常気象や自然災害の頻発、それから、アジアやアフリカでの人口増加、中国やインド等の経済成長を背景とした食料需要が増加し、これまでのように自由に買い付けができなくなってきました。今なお絶えない各地の紛争や、新型コロナの感染症のまん延による物流の混乱など、貿易を不安定化させる事象が生じています。これに加え、我が国においては、農業者及び農村人口が減少する中で、農業生産の維持発展を図り、農村の地域コミュニティの機能を向上させる必要があると考えています。さらに農業についても、環境に負荷を与える側面があることを踏まえ、環境と調和のとれた生産から消費までの食料システムを作っていく必要があります。今回の食料・農業・農村基本法の改正は、こうした情勢の変化を踏まえ、今後の農政の基本的な方針としてふさわしいものとなるよう、約一年半をかけて検討を行ってきたものです。一日も早い法案成立を目指して尽力してまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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