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2024年3月4日

【2024年3月8日 発表資料更新】文中に誤りがありましたので、修正しました。
2月26日(月曜日)から29日(木曜日)まで、上月経済産業副大臣は、UAEのアブダビで開催された第13回WTO閣僚会議(MC13)に出席しました。MC13の個別セッションのうち、(1)貿易と産業政策・持続可能な開発に関する閣僚対話、(2)紛争解決制度改革、(3)電子商取引(電子的送信に関する関税不賦課モラトリアム)、(4)貿易と開発等の重要セッションに日本政府を代表して出席しました。会議での議論を踏まえ、閣僚宣言等が採択されました。
また、各加盟国代表とMC13の成功に向けた協力や、二国間経済関係について意見交換を行いました。

1.第13回WTO閣僚会議

(1)会合概要

2月26日(月曜日)から3月1日(金曜日)まで、第13回WTO閣僚会議(MC13)がUAE・アブダビで開催され、日本からは、上月経済産業副大臣、辻󠄀外務副大臣及び武村農林水産副大臣が出席しました。
WTO閣僚会議は、全加盟国の貿易大臣が参加する形で2年に1回開催されるWTOの最高意思決定機関であり、前回のMC12は、2022年6月に開催されました。
MC13の個別セッションでは、紛争解決制度改革、貿易と産業政策・持続可能性、電子商取引、貿易と開発等の重要テーマについて議論がなされ、それらを踏まえ、閣僚宣言、紛争解決制度改革に関する閣僚決定及び電子的商取引作業計画に関する閣僚決定等が採択されました。

(2)主な発言

  • 個別セッションにおける上月副大臣の主な発言の要旨は以下のとおりです。

貿易と産業政策、産業開発のための政策余地を含む貿易と持続可能な開発

  • 貿易の拡大と持続可能な開発の両立は、WTOの目的の一つ。日本を含む多くの国々の経験に照らせば、公平な競争に基づく貿易は、産業発展や開発に寄与するものであり、阻害要因ではない。WTOを現代の課題に合わせてより良く機能させ、公平な競争条件を実現すべき。
  • グローバルに公平な競争条件を確保し、ルールに基づく貿易体制への信頼を高めるため、現行のWTOルールが適切に機能しているのか検証し、機能していない部分についてどう改善すべきか、議論を深める必要がある。その観点で、「貿易と産業政策」について審議する場を立ち上げるべき。
  • 途上国の具体的なニーズや事情を踏まえた議論を行うことも支持。他方、政策余地の確保のために一律にWTO協定の適用を緩和することで、多くの国の産業発展や開発を阻害しないよう、留意が必要。
  • 気候変動への対応は、持続可能な開発の実現にあたって不可欠。貿易を通じて優れた環境物品・技術の普及を後押しするとともに、各国の環境保護措置が不要な貿易障壁を生まないよう国際協調を深める場として、WTOの役割を強化すべき。

紛争解決制度改革

  • 紛争解決制度改革は、ルールに基づく多角的貿易体制を維持し、全ての国を力による措置の応酬から守るために不可欠。MC13において前向きな成果を実現することは最優先事項。
  • これまで建設的な方法で議論が進展してきたことを高く評価。これまでに得られた進展を今後の議論の基礎としつつ、2024年までの紛争解決機能の回復に向け、二審制の扱いを含む残存論点の決着に向けて取り組むことを事務方に指示すべき。
  • 加えて、紛争解決機能が完全に回復するまでの間、迅速に終局的な紛争解決に向けた努力をするという政治的意思が重要。
  • このようなメッセージは、紛争解決機能回復までの間も、安定的な貿易環境を確保しようとする我々の姿勢を外部のステークホルダーに示す大局的な意義を有するもの。WTOを中核とするルールベースの国際秩序への信頼を維持することにもつながる。

貿易と開発

  • 「開発」はWTOにおける重要なテーマ。ルールに基づく多角的貿易体制の中核をなすWTOを維持・強化しつつ、途上国、特に後発開発途上国(LDC)が貿易を通じて経済成長と発展を実現できるように、バランスの取れた議論を継続していくことが必要。
  • 後発開発途上国を卒業する国に対する配慮等はしっかり検討すべき。他方、産業発展のために個別協定の適用緩和等を行うべきとの提案については、各国それぞれの事情を踏まえ、ニーズとエビデンスに基づいた議論を継続することが重要。
  • 多くの途上国が参加する「開発のための投資円滑化協定」は、その名のとおり、途上国含めて全ての国の投資促進と開発に資する。早期発効に向けて、WTO協定に早急に取り込むことを支持。

ワーキングセッション(電子商取引)

  • 電子商取引作業計画のもとでの有意義な議論の進展も踏まえ、日本は、モラトリアムを延長する閣僚決定案を支持。
  • 自由な電子的送信の確保は、デジタル貿易の安定性及び予見可能性を提供することを通じて、中小零細企業を含むビジネスの生産性やイノベーションに貢献し、先進国のみならず途上国も目指すデジタル社会の実現につながるもの。
  • 世界の産業界も、モラトリアムの延長を我々に強く求めている。
  • モラトリアムの延長が実現できなければ、今回のMC13は成功とは言えない。WTOの信頼性を確保する観点から、モラトリアムを延長する決定を、我々閣僚が行おう。
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2.各国閣僚等との意見交換

  • 上月副大臣は、カナダ イン輸出促進・国際貿易・経済開発担当大臣、ルーマニア オプレア経済・起業・観光大臣、エジプト サーレフ貿易産業大臣、ニュージーランド マクレー貿易大臣、バーレーン フォフロ工業・商業大臣、コスタリカ トバル貿易大臣、UAE アル・カアビー外務国務大臣、コロンビア ウマニャ商工観光大臣、バングラデシュ ティトゥ商業国務大臣、豪州 エアーズ貿易副大臣、ナイジェリア ウゾカ=アニテ産業貿易投資大臣、ノルウェー アイデ外務大臣等との間で、意見交換を行いました。
  • 各国との意見交換では、MC13の成果及びその後のWTO改革に向けた連携、経済連携協定等を通じた二国間経済協力関係の強化、サプライチェーン強靱化及びクリーンエネルギー・脱炭素推進等について議論しました。

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カナダ イン大臣

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ルーマニア オプレア大臣                                         エジプト サーレフ大臣

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バーレーン フォフロ大臣                                   コスタリカ トバル大臣

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UAE アル・カアビー大臣

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コロンビア ウマニャ大臣                                          バングラデシュ ティトゥ大臣

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オーストラリア エアーズ副大臣

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ナイジェリア ウゾカ=アニテ大臣

3.成果文書等

担当

通商政策局 通商機構部 参事官 田村
担当者:尾崎、藤原
電話:03-3501-1511(内線3051)
メール:bzl-s-kikou-sanjikan-koho★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

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