農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年3月8日(金曜日)9時13分~9時24分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案」、「漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案」、「特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案」の閣議決定について
  • 東日本大震災発災から13年を迎えて
  • 令和6年産主食用米の作付意向について
  • 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について

冒頭発言

大臣

  私から、本日1点ご報告がございます。本日の閣議において、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案、漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。
  まず、新法であるスマート農業技術活用促進法案は、今国会にすでに提出された食料・農業・農村基本法改正法案に定められた施策を具体化するものとして、農業者の減少に対応して、農業の生産性の向上を図るため、スマート農業技術の活用及びこれと併せて行う新たな生産方式の導入と、スマート農業技術等の開発及び供給の2種類の計画認定制度を設け、これらの認定を受けた農業者や事業者に対して、日本政策金融公庫による長期低利融資や税制特例等の支援措置を講ずるものです。
  次に、漁業法及び水産流通適正化法改正法案については、国際的に厳格な漁獲可能量・TACによる資源管理が行われている太平洋クロマグロについて、TAC報告義務に違反した漁獲物が流通した事案が生じたこと等を踏まえ、特に厳格に漁獲量の管理を行うべき水産資源について、個体の数等の報告並びに船舶の名称等の記録の作成及び保存を義務付けるとともに、水産物の販売等の事業を行う者による船舶の名称等の情報の伝達を義務付け等の措置を講ずるものです。
  また、特定農産加工法改正法案は、国際約束の締結等により、農産加工品等の関税引下げによる影響が継続している状況を踏まえ、法の有効期限を5年間延長するとともに、小麦、大豆といった輸入原材料の価格水準の上昇・高止まりを踏まえ、新たに、国産農産物の利用の促進など原材料の調達の安定化を図るための取組に対する日本政策金融公庫による長期低利融資等の支援措置を講ずるものです。3法案の一日も早い成立を目指して尽力してまいります。私の方からは以上です。

質疑応答

記者

  東日本大震災の発生からまもなく13年になります。東京電力福島第1原発事故の影響により、今も帰還できない人、帰還できても生業を再開できない人たちがいます。また、生業を再開しても、農業・林業・水産業、それぞれに課題が残っています。現状をどのように受け止めていますか。また、それぞれの課題にどのように対応していく考えか教えてください。

大臣

  まもなく、東日本大震災発災から13年を迎えます。震災によって亡くなられた方々に改めて心から哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の方々や、被害に遭われた全ての方々に、心よりお見舞いを申し上げます。震災による津波被災農地や水産加工施設などのインフラの復旧は、復旧事業によりほぼ完了していますが、原子力被災地域では、営農再開や林業・水産業の再生、風評払拭等、まだまだ取り組むべき課題があります。農林水産省としては、被災地における現場の声をお聞きしながら、農業・林業・水産業、そして地域ごとに異なる課題やニーズに応じてしっかり取り組んでまいります。原発事故に伴う輸入規制については、48の国・地域が既に撤廃しましたが、未だに7つの国・地域が維持しています。このうち中国、ロシア、香港及びマカオは、昨年8月のALPS処理水の海洋放出に伴い、更に日本産水産物の輸入停止を行いました。これらの科学的根拠に基づかない輸入規制に関しては、政府一丸となって輸入規制の即時撤廃を強く働きかけていくとともに、水産業支援に万全を期すべく、「水産業を守る」政策パッケージ等も活用し、輸出の多角化や更なる国内消費の拡大を進めてまいります。

記者

  先日の食糧部会で公表された今年の米の作付意向調査について、飼料用米や大豆で前年より作付けを減らす産地が目立ちましたが、これについて要因と受け止めをお願いします。併せて、主食用米は昨年の同時期の調査では、作付けを増やす産地がありませんでしたが、今年は北海道など主産地を含む道府県で作付けを増やす意向です。この動きをどう思いますか。

大臣

  国が策定する米の需給見通し(基本指針)においては、令和6年産の主食用米について、需給均衡を図るためには「令和5年産の生産量の見通しと同水準の生産量(669万トン)が必要」との見通しをお示ししているところです。6年産の主食用米の1月末時点における作付意向は、前年の作付実績と比較して、前年並みが30県、減少傾向が11県、増加傾向が5県と、前年並みとする県が7割を占めています。現段階の作付意向は、農水省が実施している全国会議や産地ごとの意見交換会を通じて、各産地が需給見通しや在庫状況等を踏まえて、「需要に応じた生産・販売」を考えられた結果と受け止めています。引き続き、きめ細かな需給情報等の情報提供を徹底しながら、需要に応じた生産・販売を促してまいります。

記者

  主食米用の関係で、昨年は増やすという意向がなかったけれども、今年は主産県を含むところで増やしているところは、やはりその需要というところを見ているということでしょうか。

大臣

  多分そうだろうと思います。今申しましたように、各産地が需給見通しや在庫状況を踏まえて、需要に応じた生産販売を考えられた結果と受け止めています。

記者

  漁業法の改正案について、日本のブランドと言ってもいい大間マグロで起きた事件を受けての改正案ですが、漁業者と流通事業者に対してどのように取り組んで欲しいか、大間マグロのブランド守るために、今回の改正案をどのように捉えているのか、所感をお伺いできればと思います。

大臣

  今般、国際的に厳格な漁獲量の管理が行われている太平洋クロマグロについて、その管理の基礎となる漁獲量等の報告義務に違反した漁獲物が流通する事案が生じたことから、その再発防止や管理強化を図ることが今、急務となっています。こうした状況を踏まえ、本法案では、太平洋クロマグロを念頭に、特に厳格に漁獲量の管理を行うべき水産資源について、漁獲量等の報告義務の確実な履行を図り、水産資源の持続的な利用を確保するため、漁業法の一部改正により、TAC報告事項について、現行の漁獲量等に加え、採捕した個体の数を追加しました。そして、TAC報告を行う際に使っている船舶等の名称、個体の重量等の情報の記録・保存の義務付け、さらにはTAC報告義務違反等の罰則強化と法人により重い罰則の創設等の措置を講ずるとともに、水産流通適正化法の一部改正により、採捕者、流通事業者について、取引時における船舶等の名称、個体の重量等の情報伝達の義務付け、取引記録の作成・保存の義務付け、輸出時の適法漁獲等証明書の添付の義務付け、違反者に対する罰則等の措置を講ずることにしています。国際的に厳格な漁獲量の管理が行われている状況ですので、より厳しい管理を我が国としてやってまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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