外務省・新着情報

冒頭発言

クーデターの影響を受けたミャンマー国民に対する人道支援

【上川外務大臣】私(上川大臣)から1件ございます。
 2021年2月のクーデターから3年が経過した今なお、ミャンマーでは、多くの無辜の市民が、戦闘により死傷している状況が報じられております。大変胸を痛めております。
 クーデター以降、現地で人道支援を必要としている人の数は、毎年増え続けており、国連が昨年発表した報告によりますと、その数は、1,860万人に達しています。我が国は、クーデター直後から継続的に様々な人道支援を実施しております。今般、新たに合計約3,700万ドルの人道支援を行うことといたしました。
 具体的には、国連児童基金、国連世界食糧計画、国連難民高等弁務官事務所、国連女性機関、ASEAN防災人道支援調整センターなどの国際機関等、及びNGOを通じて、医療サービス、妊婦・乳幼児向けの栄養改善、水・衛生インフラ、教育アクセス、食料・医薬品配布、人身売買被害者女性支援等の幅広い支援を行います。日本政府として、困難に直面するミャンマー国民のニーズをきめ細かく把握をしながら、引き続き、しっかり寄り添っていく考えであります。
 また、人道状況が悪化する中、2月に徴兵制導入が発表され、情勢が更に混乱することを深刻に懸念しています。我が国は、ミャンマー国軍に対し、平和的な問題解決に具体的に取り組むよう、引き続き、強く求めてまいります。
 私(上川大臣)からは以上です。

日本産食品に対する輸入規制

【産経新聞 岡田記者】東京電力福島第一原発事故をめぐって、各国・地域が続けている日本産食品輸入規制について伺います。1月末時点で、輸入停止や検査証明書の提出などの規制を設けている国や地域は、中国や香港、韓国、台湾、ロシアなど7つの国や地域に上ります。現在、外務省として規制撤廃に向けて、どのような働きかけを行っているか教えてください。また、ALPS処理水の海洋放出に伴いまして、中国やロシアは、日本産水産物の輸入を停止する措置を講じていますが、停止措置の撤廃に向けて、どのように対処されるお考えか、こちらも併せて伺います。

【上川外務大臣】まず、第1問目ということでございますが、東日本大震災後の日本産の食品等に対します輸入規制の撤廃、これは政府の重要事項でございます。
 二国間会談や、また国際会議等、様々な外交機会を活用いたしまして、様々なレベルで、早期の規制撤廃につきまして、働きかけをしておりますが、それ以外にも、各国の首都に駐在いたしております大使等からも、積極的な働きかけを行っております。また、関係省庁とも連携をしながら、東京に駐在をする各国大使等にも働きかけを行ってきているところでございます。
 2点目の、ALPS処理水という海洋放出に伴う件でございますが、このALPS処理水の海洋放出を受けた、中国・ロシア等による日本産の水産物に対しましての輸入規制につきましては、科学的根拠に基づかない措置でありまして、極めて遺憾と考えております。
 日本といたしましては、この二国間会談、また、多国間の場におきまして、様々なレベルで、科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を一貫して働きかけてまいりました。昨年11月の日中外相会談におきまして、私(上川大臣)から王毅(おう・き)外交部長に対しまして、ALPS処理水に関します日本の立場、これを説明するとともに、水産物を含む規制の即時撤廃を直接求めたところであります。
 また、世界貿易機関の衛生植物検疫措置に関します委員会、こうした場におきまして、中国やロシア等に対して、同様に措置の即時撤廃を求めてきているところであります。
 引き続き、中国やロシア等に対しましては、ALPS処理水の海洋放出に関する日本の取組、また、モニタリングの結果等を丁寧かつ透明性高く、しっかりと説明するとともに、日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を求めてまいります。

東シナ海における中国の動向

【読売新聞 上村記者】南シナ海と東シナ海の状況についてお伺いします。先日6日、外務省は、南シナ海でのフィリピン船舶と中国船舶の衝突に関して、深刻な懸念を表明したところですが、東シナ海でも、中国の海警局や軍が活動を強めている中で、改めまして、この東シナ海に対する現状認識と、あと昨年来、懸念となっている、懸案となっている尖閣諸島周辺に中国が設置したブイへの対応状況についてお聞かせください。

【上川外務大臣】まず、御質問の、東シナ海における中国の動向に対しての現状認識ということでございますが、東シナ海におきましては、2008年12月以降の中国政府船舶によります我が国領海への度重なる侵入、また、2013年11月の、中国によるいわゆる「東シナ海防空識別区」の設定、更には中国による一方的な資源開発行為等、一方的な現状変更の試みが継続・強化をされていると考えております。こうした状況は、極めて遺憾であり、我が国として、決して受け入れることはできません。
 我が国といたしましては、日本の領土・領海・領空、これを断固として守る、そうした決意の下で、主張すべきは主張し、今後も冷静かつ毅然と対応してまいりたいと考えております。
 2点目でありますが、「中国側が設置したブイについて」ということで、ご質問がありました。昨年11月の、日中首脳会談、及び外相会談を始め、ハイレベルを含みます様々なルートで、中国側に対しましては、即時撤去、これを求めてきている状況であります。にもかかわらず、現時点で、現場海域の状況が改善していないということは、極めて遺憾と考えております。
 我が国といたしましては、引き続き、あらゆる機会を捉えまして、中国側に対して、ブイの即時撤去を強く求めていくとともに、現場海域におきます必要な警戒監視、及び状況の把握、また、様々な角度からの調査分析を行っていきます。
 その上で、我が国といたしましては、中国側が当該ブイを放置しているという現状を深刻に受け止めておりまして、ブイの撤去や、また移動、我が国におけるブイの設置を含みます様々な対応について、当該海域において、関係国が有する権利や、また義務、我が国国内法令、また、当該ブイが、船舶交通や我が国の漁業活動へ与えうる影響等も踏まえ、関係省庁間で連携して検討の上、可能かつ有効な対応につきまして、適切に実施してまいりたいと考えております。

UNRWAへの資金拠出

【共同通信 桂田記者】UNRWAへの資金拠出について伺います。先日、欧州委員会は予定していた支援を実施すると発表し、カナダなども、UNRWAへの資金拠出を決めたとの報道があります。国連の調査や第三者機関の検証は継続中であるものの、現地の人道状況は厳しさを増しています。日本として、今後の対応方針を改めてお聞かせください。また、再開検討に対しては、国内に慎重な意見もあると思いますけれども、UNRWAへの支援の必要性について、どのように国民に理解を求めていくお考えでしょうか。

【上川外務大臣】現在のガザ地区、この状況は、極めて悲惨な状況でありまして、これは、本当に心が痛む、厳しい状況にあると認識しております。最も喫緊の課題は、ガザの人々一人一人に早期に支援を届けるということでありまして、先般、ガザ地区の人道状況の改善のため、新たに3,200万ドルの緊急無償資金協力の実施、これを決定したところでございます。
 これらは、世界食糧計画を通じた食料の供与、また、世界保健機関を通じました医薬品の提供、国連児童基金を通じました衛生用品の配布等でございまして、できる限り、多くの女性や子供たちに行き届くことができるような人道支援という形で実施してまいります。また、資金的な支援のみならず、人道支援が可能な環境の確保、これが重要と考えておりまして、そのための外交努力につきましても、継続してまいりたいと考えております。
 UNRWAにつきましては、職員への疑惑、これが発生したということについて、憂慮している状況であります。ガザはもとよりでありますが、西岸地域や、また、ヨルダンを始めとする周辺国に所在しておりますパレスチナの難民の方々への支援におきまして、UNRWAが、不可欠な役割を担ってきているところでございます。UNRWA自身が、信頼を取り戻し、本来の役割を果たすことができるように、ガバナンスの強化を含めまして、適切な対応を強く求めている状況でございます。
 UNRWAへの拠出再開につきましては、予断を持ってお答えするということはできませんが、我が国といたしましては、国連や、また、UNRWA、そして、関係国と緊密にコミュニケーションを取りつつ、まずは国連による調査、また、第三者によります検証、これに積極的に、今、協力している状況であります。

オスプレイの運用再開

【NHK 五十嵐記者】米国軍の輸送機オスプレイの関係で伺います。去年11月の鹿児島県屋久島沖での墜落事故を受けて、米国軍は、オスプレイの飛行を、およそ3か月間停止してきましたが、その後の、日米両政府間での最新の調整状況はどうなっているか伺います。また、オスプレイが飛来する自治体からは、機体の安全性を不安視する声もありますが、飛行再開をした場合の受け止めも伺います。

【上川外務大臣】昨年11月の、米軍オスプレイ墜落事故に関しまして、米側とは、事故の状況や、また安全対策等について、確認作業を行っているところであります。
 そうした中で、昨日夕方、米側から、日本国内のオスプレイの運用再開のタイムラインについて、今後、具体的に調整を行っていきたい旨の連絡がありました。
 飛行の安全確保は、日米共通の最優先事項であり、引き続き、米側と緊密に連携して対応してまいります。

岸田総理大臣の米国公式訪問

【東亜日報 李記者】来月の岸田総理の訪米について伺います。今回の日米首脳会談で、昨年のキャンプ・デービッド宣言で確認した、日米韓の安保協力を、より強化する方策を会談のテーマとして取り上げることになるか、聞きたいと思います。岸田総理が意欲を示している北朝鮮との首脳会談についても、バイデン大統領と話し合う計画があるかどうかについても、お聞きしたいと思います、お願いします。

【上川外務大臣】我が国といたしまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために、日米韓3か国の連携を一層強化していく考えであります。
 こうした認識の下、私(上川大臣)自身も、リオデジャネイロでの会合を含めまして、電話会談も入れて、計4回、日米韓の外相で、意見交換を行ってきているところであります。
 その上で、現時点で日米首脳会談の議題について、予断を持ってお答えするということにつきましては、差し控えさせていただきますが、政治、また安全保障、経済、人的交流等を含みます幅広い議題について、意見を交わすことが、想定をされるところであります。
 日米韓連携の重要性、これも踏まえつつ、岸田総理の米国への公式訪問を成功に導くべく、外務大臣として、引き続き、しっかりと尽力し、準備してまいりたいと考えております。

政治資金問題・オスプレイの運用再開

【毎日新聞 村尾記者】自民党の政治刷新本部が、昨日、裏金事件を受けて、党規約などの改正案を了承した件について伺います。論点、多岐にわたりますけれども、会計責任者が立件された場合に、議員本人への処分を可能とする方針や、従来の派閥を解消する方向性というものが示されました。実効性、疑問視する向きもありますけれども、これが自民党の信頼回復につながっていくとお考えでしょうか。大臣の御見解をお願いします。それとすみません、先ほど、オスプレイの件で質問が出ておりましたけれども、オスプレイの事故についての原因や再発防止策については、既に米国側から説明を受けていて、今後の運用再開に向けての見通し等については、どういうふうな現状をご認識なのかも併せてお願いします。

【上川外務大臣】まず、一つ目の御質問でございますが、今回の政治資金をめぐる問題につきまして、国民の皆様からの信頼回復、この必要性を大変重く受け止めているところでございます。
 昨日の党の政治刷新本部の会合で、岸田総理自ら、述べていらっしゃいますが、政治家も当然の責任を取る改革を進めなければならない。そして、国民の信頼を取り戻すために、自民党が変わらなければならないと考えているところであります。
 内政も外交と分けて考えることはできないと考えておりまして、私(上川大臣)自身は、就任以来申し上げているところでございますが、国民の皆様が理解をされ、そして、国民の皆様から支持される外交と、このことについては、一貫して、その姿勢で臨んできているところでありますが、こうした姿勢で、引き続き、取り組んでまいりたいと考えております。
 オスプレイの件につきましては、先ほど私(上川大臣)が申し上げたことに尽きるという状況でございます。日本国内のオスプレイの運用等に向けまして、運用の再開に向けたタイムラインにつきまして、今後、調整を行っていきたいという連絡があったところでございまして、それ以上のやり取りの詳細につきましては、米側との関係もございまして、お答えすることについては差し控えさせていただきたいと思っております。

発信元サイトへ