経産省・新着情報

2024年3月12日(火曜日)
9時44分~9時58分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

再エネ海域利用法の一部を改正する法案

おはようございます。初めに、私から1点申し上げます。
本日、再エネ海域利用法の一部を改正する法案を閣議決定しました。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再エネの最大限導入が不可欠であり、洋上風力がその切り札です。政府は、2030年に10GW、40年に30~45GWの案件形成を目標としています。そのためには、関係者の理解を得ながら、領海のみならず、我が国の排他的経済水域においても洋上風力発電を導入していくことが必要であり、本法案はその手続等を定めるものです。
本法案を通じて、安定的に大規模な海域の案件を形成していくことは、洋上風力産業の育成・強化にもつながっていきます。経済産業省として、技術開発やサプライチェーン構築への支援などを講じ、産業の国際競争力の強化にも取り組んでいきたいと思っています。詳細については、関係省庁とともに後ほど事務方からブリーフィングさせていただければと思います。
私からは以上であります。

質疑応答

春闘

Q:今回の春闘についてお伺いします。
政府が物価高を上回る賃上げを目指す中で、明日13日に大企業を中心とした集中回答日を迎えます。今回の春闘は中小企業への賃上げの波及が一つ焦点となっているところですけれども、改めて今春闘の意義と賃上げに向けた大臣の思いをお聞かせください。お願いします。

A:今年の春闘は、足下の潮目の変化を確実なものとし、「コストカット型経済」から「投資も賃金も物価も伸びる成長型経済」へ転換するための正念場です。自動車や小売等の大企業の中には、既に昨年の水準を上回る賃上げ率を回答した企業もございますが、集中回答日においてもこうした賃上げの動きが続くことを強く期待をしています。
その上で、こうした力強い賃上げの機運が雇用の7割を占める中小企業に波及することが、物価上昇を上回る賃上げの実現への鍵だと考えています。
このため、経済産業省としては今般の税制改正で拡充した賃上げ促進税制の活用促進に加え、労務費を含む価格転嫁の促進、省力化投資等の生産性向上への支援に全力で取り組んでいきたいと考えています。

再エネ海域利用法の一部を改正する法案

Q:先ほど冒頭で御発言ありました、洋上風力発電のエリアをEEZに拡大する再エネ海域利用法を本日閣議決定されたということで、政府としては更なる再エネ導入を進める中、こうした改正について改めてちょっと大臣の受け止めと、経産省としての方針ですとか支援策も併せて、現状想定されていることを併せて教えてください。

A:まず、この法案により、洋上風力発電の適地の拡大を通じ、洋上風力の導入が加速していくこと、国内の関連産業の競争力が強化されていくことを当然期待しています。
私は農林水産大臣の経験もありますので、具体的な海域選定や事業者に対する許可に当たっては、当然のことながら漁業等の海域の先行利用者との共存共栄も重要だと考えていますので、関係者の皆様の御理解を得つつ進めていきたいと考えていますが、冒頭申し上げましたように、洋上風力を含む再エネには目標がございます。
繰り返しになりますが、2030年度電源構成比36~38%の導入目標の実現に向け、この洋上風力の分野でも最大限の努力をするということに尽きます。

書店振興プロジェクトチーム

Q:先日表明された書店振興のプロジェクトチームについて2点お伺いします。
一つは、今後の取組の一つに、大臣と書店経営者などの皆さんとの車座が計画されているということですけれども、これ、いつ頃をめどに開催される方針で、大臣としてどのような現場の声をお聞きしたいとお考えでしょうか。
もう一点が、書店が減っている背景の一つに、電子書籍ですとかオンライン販売の普及というのが指摘がございますけれども、書店、またリアルな紙の本というのは、こうしたコンテンツとしてどのような優れた点があり、これから書店を振興されていく上で、オンラインのコンテンツとどう差別化していけるとお考えでしょうか。

A:まず、書店振興プロジェクトチームですが、3月5日に省内横断チームということで立ち上げたところ、まずは現場の書店の皆様から実態や課題を直接伺うことから始めていきたいと考えています。
車座対話の具体的な開催時期については、現在、調整に入っていますので、調整がつき次第、早期に実施したいと考えています。
書店の優位性については、私は書店というのはあらゆるジャンルの本を一覧で見ることができる、つまり一覧性というところで、様々なジャンルの本との出会いがあると考えています。そういう意味では、その人の視野を広げるという点では、ネット等に比べて強みがあると考えています。ネットは便利さの点で優位性はあるともちろん思いますし、関心のあるところについてどんどん情報が提供されることは、それはすばらしいことだと思うのですが、いろいろなものが一気に目に入ってくるという一覧性の点で言うと、書店のほうがはるかに優位性があると思います。
つまるところ、ネットと書店と図書館の三つがそれぞれ共存するということが私は望ましい文化空間だろうと考えておりまして、その中で書店だけがどんどんなくなっていくことについては、強い危機感を有しておりますので、今回のプロジェクトチームでは、その点に注目して前へ進めていくことができればと考えています。書店の位置づけそのものについての意義や重要性についても光を当てていければと思っています。

自民党背骨勉強会

Q:話題替わりまして、自民党の話題で恐縮ですけれども、今月4日からスタートしている自民党の背骨勉強会について伺います。
歴史や国家観などを中堅、若手に学んでもらい、骨のある政治家になってもらうという御趣旨の勉強会ですが、この背骨勉強会という名称は大臣の御提案だったとお伺いしています。他方で、小渕恵三元総理が常々「政治家は背骨を持て」という言葉を大事にしてこられたそうですけれども、大臣がこの背骨勉強会という名称を考えられる際には、こういった小渕元総理が座右の銘にされていた、そういった点はヒントといいますか御参考にされたようなところはあったのでしょうか。
あわせて、この勉強会が今後果たすべき役割への期待やお考えのようなものがあれば御所見をお願いいたします。

A:まず、本件は、私が大臣に就任する前に中央政治大学院の筆頭の副学院長という立場にありまして、そのときにこういった企画がいいのではないかということで始めることが決まったのですが、私がその後すぐに大臣になったということです。
名称については、私のアイデアなのですが、後から小渕元総理がその言葉を使われていたことを知ったというのが事実です。
この狙いについて、政策の勉強は議連や部会ですれば十分だと思うのですが、政治家としての背骨、骨格を作るという勉強会があってもいいのではないかと考えました。
例を挙げると分かりやすいと思うのですが、例えば日中問題を取り上げるのは、議連や部会でやればいい。ただ、中国とはどういう国かみたいなものはなかなか議連や部会では取り上げにくい話ですが、政治家としては、しっかりと理解、把握しておく必要があると思います。
また、例えばガザの問題を取り上げるのは議連や部会でいいわけですが、そもそもパレスチナとは何かとか、イスラムとは何かとか、アラブとは何かということについてはなかなか取り上げる機会が少ない。しかし、政治家としては、そういう本質を把握しながら現実の問題に対応していくことが必要であろうと考えます。
それから、第1回目に私が生意気にもやらせていただきましたが、戦前の歴史から政治家は何を学んでおくべきなのかとか。ですから、1回目のテーマは、政治家のための戦前史だったのですが、そういうことも背骨を形成していく上では重要だと考えます。
あるいは、私が今後予定しているのですが、日米の自動車交渉の経験から、実際の交渉というのはこういうやり取りで、こういうことが起こるといったことは、官僚でどっぷりつかっている人は分かるかもしれませんが、なかなか私は今の政治家で理解されている人は少ないと思います。恐らく一般的に思っている以上のことが実際の交渉現場で起こっています。過去の交渉ですから、今の交渉には役立たないかもしれないですが、知っておくということはいいのではないかと思います。そういう勉強をやろうということで、中央政治大学院で始まったというのが今回の勉強会でして、既にいろいろ御批判とか揶揄(やゆ)する言葉は耳にしていますが、それでもやらない方がいいとは思えないので、党の方の話ではありますが、しっかり取り組んでいただければと思っています。

書店振興プロジェクトチーム

Q: 先ほどちょっと質問出たんですが、書店の振興プロジェクトチームです。昨年4月に、大臣が所属している議連の報告書を見ますと、例えばフランスで本の無料配布を禁止する法律ができたりとか、あとは韓国の図書館にも言及しています。こういった海外の取組も、今回のプロジェクトチームは検討するに値するとお考えでしょうか。それが1点。
もう一点が、よく言われているのが、例えば街の本屋に新刊の配本が取次店によってなかなか優先されないというような問題もあると。売れ筋のものだけが大手の書店に行ってしまうような問題もあるということなんですが、そういった現行制度の問題点について今考えていることがあれば教えてください。

A:まず、海外の事例ももちろん研究する価値はあると思っています。既に多少の蓄積はあると思います。少なくともフランスや韓国の例では、書店がなくなるということは文化の危機だという強い認識を持って取り組んでいるところは、我々に今足りない部分であると感じていますので、海外の取組を参考にすることも大事だと思います。
それから、現行も様々な仕組みがあると思いますので、これからしっかりと議論をしながら、改善すべきところは改善していきたいと思っていますが、図書館と本屋さんが競合しているなど、いろいろあると議連での勉強で承知していますので、それを政府としてどうしていくかは、これから丁寧にやっていきたいと思っています。

 

以上

最終更新日:2024年3月12日

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