外務省・新着情報

冒頭発言

(1)2023年版開発協力白書

【上川外務大臣】私(上川大臣)から2件ございます。
 まず、1件目であります。
 本日の閣議におきまして、「2023年版開発協力白書」の公表につきまして発言をいたしました。
 外務省は毎年、開発協力の実績や、また課題別・地域別の政策をまとめた開発協力白書、これを公表しております。今回の白書では、開発協力大綱の改定やG7広島サミットにおける開発分野での議論や成果等を取り上げつつ、日本の開発協力の実績や、課題別・地域別の政策等につきまして、ご紹介をしております。
 ODAは、外交の重要なツールの1つでありますが、公的資金、これを原資としておりまして、国民の皆様のご理解とご協力あってこそのものだと考えております。今回の白書が、我が国のODAの取組につきまして、国民の皆様にご理解いただく一助となることを願っております。
 そして、本年は、国際協力70周年の節目の年であります。ODAを通じまして、多くの開発途上国の発展に尽力してきた実績は、日本の信頼と成長にもつながってきました。
 今後とも、開発途上国の課題や、また地球規模課題の解決に資すると同時に、日本と日本国民の平和と安全の確保、日本の更なる繁栄の実現に、一層寄与するようなODAの在り方を、不断に追求してまいります。

(2)キプロス海上人道回廊への参加

【上川外務大臣】続きまして、2点目でありますが、キプロス海上人道回廊への参加についてであります。
 目下、ガザ地区における危機的な人道状況の改善が最優先課題でありまして、日本といたしましても、新たに実施を決定いたしました世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)等の国際機関を通じました3,200万ドルの緊急無償資金協力を含めまして、これまで様々な形で人道支援を行ってきたところでございます。
 こうした中におきまして、人道支援物資のガザ地区への安定的な搬入、これが大きな課題となっておりますが、その改善策の一つとして、キプロス、米国及びUAE等が中心となりまして、海上輸送により、人道支援物資を搬入する取組が進められております。
 我が国として、この取組を、ガザ地区への人道支援の搬入量拡大に貢献するものとして歓迎をし、支持します。 また、我が国としても、本件取組に貢献すべく、いかなる具体的な協力が可能か、積極的に検討していく考えを国際関係国に伝達しているところであります。引き続き、関係国等と緊密に連携をしながら、ガザの人道状況の改善に取り組んでまいります。
 私(上川大臣)からは、以上です。

赤根智子ICC判事の裁判所長選出

【読売新聞 上村記者】ICC国際刑事裁判所の所長選挙についてお伺いします。昨日、ICCの所長に、日本人として初めて、赤根智子判事が選出されました。大臣、今年1月に、ICCを訪問されて、赤根判事ともお会いになっていますが、まず、率直な受け止めをお聞かせください。併せて、日本人女性の所長ということで、大臣が進めているWPSとの観点からも、どのようなことを期待しているかもお聞かせください。

【上川外務大臣】まず、3月11日に、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)におきまして、裁判所長の選挙が行われまして、我が国の赤根智子ICC判事が、日本人として初めて裁判所長に選出されたことを歓迎いたします。
 今般の選出でありますが、赤根判事への高い評価の表れであり、大きな意義があると考えております。我が国といたしましては、今後の赤根判事の裁判所長としての更なる活躍を期待するところでございます。
 私(上川大臣)自身、1月に、ICCを訪問させていただきましたけれども、「法の支配」や、また、「人間の尊厳」のために、このICC等が果たしている役割につきまして、日本としての支持、これを表明し、また伝達したところでございます。赤根所長の下でも、このICCの果たす役割、これにつきましては、引き続き、支持をしてまいりたいと考えております。
 また、我が国は、ICCへの支援の一環といたしまして、このICCが設置をいたしました被害者信託基金(TFV)でありますが、これへの拠出、これを通じまして、まさに紛争下の性的暴力被害者の方々への支援、これを行ってきているところであります。性暴力被害者の支援につきましては、私(上川大臣)自身、ご指摘のとおり、普及に努めているWPS、これの重要なアジェンダの一つであるということであります。
 日本人の女性であります赤根判事が、所長に選出されたということの意義は、大変深いものであると認識しておりまして、このWPSの視点を生かして、ICCと、引き続き、連携してまいりたいと考えております。

UNRWAへの資金拠出

【共同通信 桂田記者】UNRWAへの資金拠出について伺います。カナダとスウェーデンが再開を表明しましたけれども、改めて、日本政府として、再開検討に向けた姿勢を伺います。今後、どういった点を考慮され、拠出再開の可否を見極めていくのでしょうか。

【上川外務大臣】今般のUNRWA職員への疑惑につきましては、大変憂慮しているところであります。一方で、ガザはもとより、西岸地域や、また、ヨルダンを始めとするこの周辺国に所在をいたしているパレスチナ難民支援におきまして、UNRWAは、不可欠な役割を担ってきていることにつきましては、これは事実でございます。
 このため、UNRWAが信頼を取り戻し、本来の役割を十全に果たすことができるよう、ガバナンスの強化を含めまして、適切な対応をとること、これについては、強く求めているところでございます。
 UNRWAへの拠出再開についてでありますが、予断を持ってお答えすることはできませんけれども、現在、国連による調査、また、第三国によります検証が進んでいる状況でございますので、そして、同時に、UNRWA自身のガバナンス強化に向けた取組、こういったことも併せて、我が国の対応につきましては、検討していくことになろうと思っているところであります。今、こうした視点から、国連、また、UNRWA自身に、また、関係国との緊密な意思疎通を続けておりまして、そういう中で、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
 現在、最も喫緊の課題でありますが、ガザの人々一人一人に、今一番緊急に必要とされている食料、また医薬品、また生活の中でも、特に女性に係るところにつきましては、早期に届けることが不可欠であると考えておりまして、我が国としては、この調査結果、これを待つことなく、様々な国際機関を通じまして、緊急無償資金協力の実施を決定し、それについて、実際に実施がなされるよう、今、取り組んでいる状況であります。この間も申し上げてきたところでありますが、改めて、世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)等を通じまして、3,200万ドルの緊急無償資金協力、この実施につきましては、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
 多くの女性の皆さんや子供たちに行き届くような人道支援、これを実施していくということにつきましては、極めて重要であると認識しておりまして、更に、この人道支援が可能な環境の確保のための外交努力につきましても、粘り強く積極的に実施してまいりたいと考えております。

イスラエルの過激派の入植者への対応

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 パン・オリエント・ニュースのアズハリ・カルドンです。
 ヨーロッパのいくつかの国々、例えば、ドイツ、スペイン、ベルギーは、現在、過激派イスラエル人入植者の入国禁止を計画しているか、あるいは既に入国を禁止しています。日本も足並みを揃えてイスラエルからの過激派の入国禁止する措置を講ずるのでしょうか。ご教示ください。

【上川外務大臣】現在ご指摘のように、複数の欧米諸国でありますが、一部のイスラエルの入植者に対しまして、渡航制限措置等を発表しているものと承知しております。日本としても、ヨルダン川西岸におきましての、入植者による暴力、これを深刻に懸念している状況でございます。
 これまでも、累次の機会に表明してきたところでございますが、日本といたしましては、イスラエルの入植活動は国際法違反でありまして、「二国家解決」の実現を損なうものという立場でございます。このような立場に基づきまして、これまでもイスラエル政府に対しましては、入植活動を完全凍結するよう強く求めてきておるところでございまして、直近におきましては、3月8日でありますが、入植地に係るイスラエル政府発表に対しまして、強い遺憾の意を表明する外務報道官談話、これを発出したところでございます。今後も必要な働きかけ等を継続してまいりたいと思っております。
 イスラエルの過激派の入植者による暴力は、決して受入れることはできません。こうした日本の立場を明確に示すべく、引き続き、どのような対応を取り得るかにつきましても、検討を進めてまいりたいと考えておりまして、イスラエル政府に対しましての働きかけを含めます、様々な対応について検討し、対応してまいりたいと考えております。

ガザ情勢(停戦の呼びかけ)

【アナドル通信社 メルジャン記者】ガザ地区の状況について質問したいです。米国のバイデン大統領は、「3万人以上のパレスチナ人がガザで殺害された。その多くは、ハマスのメンバーではなかった。ラファハは、おのずから越えてはてはならない一線」と述べました。米国の大統領の発言は、自白とみられます。これまでのところ、日本は、イスラエルに対して、直接的にも間接的にも停戦を求めていない、呼びかけていない。日本政府は、停戦呼びかけに対する態度を超えるのでしょうか、お願いします。

【上川外務大臣】我が国は、この事案の発生以降、人質の解放、並びにガザ地区の人道状況の一刻も早い改善、及びそのための人道支援活動が可能な環境の確保が極めて重要であると、こうした立場を一貫してとってまいりました。
 その上で、日本として、この人道支援活動が可能な環境を確保し、また人質の解放につながるような人道的停戦、humanitarian ceasefireが、速やかに実現をし、そして、人道を持続可能な停戦が実現することを期待しており、こうした考えの下で、イスラエルを含みます当事者に対しまして、直ちに人道的観点から行動することを求めてきてまいりました。
 引き続き、人質の即時解放、人道状況の改善、そして、事態の早期沈静化に向けました外交努力を、粘り強く、また積極的に行ってまいりたいと考えております。

ガザ情勢(イスラエルへの対応)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】イスラエル・パレスチナ情勢について質問します。ラマダンが始まりましたが、ガザ地区への爆撃は、激化しています。昨日、餓死者が25人に達したとの報道がありました。これは、「人工飢餓」「飢餓ジェノサイド」だという批判もあります。日本政府として、ジェノサイドに与しないという姿勢を明確にし、UNRWAへの資金拠出再開、駐イスラエル大使の召還、日本・イスラエル投資協定の凍結などの制裁を行う考えはおありでしょうか。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】我が国といたしましては、この全ての行動、これは、国際法に基づきまして行わなければならないと、国際人道法を含む国際法の遵守、これを求めてきている状況でございます。
 事実関係、これを十分に把握することは困難である中、イスラエル軍の行動について、法的評価も含めまして、評価をすることは差し控えているところでございますが、民間人の犠牲者数が、ますます増加していること、そして、現地の人道状況は、極めて厳しい状況にあると認識しております。
 こうした中、当事者によります、一層の説明が求められるような状況になっていることは確かであると考えております。
 日本といたしましては、引き続き、人道支援活動が可能な環境をしっかりと確保すること、そして、人質の解放に繋がるような「人道的停戦」が速やかに実現をし、そして、持続可能な停戦が実現することを期待し、当事者に対しましては、直ちに人道的観点から行動すること、これについては、求めてまいりたいと考えております。

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