農林水産省・新着情報

プレスリリース

歴史的風致維持向上計画(第2期)の認定について

令和6年3月14日
農林水産省
文部科学省
国土交通省

長野市、郡上市、名古屋市、斑鳩町、添田町、竹田市の歴史まちづくり計画(第2期)について、歴史まちづくり法に基づき、令和6年3月18日付けで主務大臣(文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)が認定します。
今回の認定により、歴史まちづくり計画認定95都市のうち、第1期計画を完了し、第2期計画の取組を進める都市は42都市となります。

1.歴史まちづくり計画の概要

長野県長野市ながのけんながのし

(1) 第1期計画の取組による成果

長野市では、平成25年度から令和5年度までの11年間を期間とする第1期長野市歴史的風致維持向上計画に基づく事業展開により、以下のような成果をあげています。

  • 文化財や歴史的建造物の保存修理をはじめ、電柱電線類地中化、道路美装化等の歴史的まちなみの整備を進めたことで、毎年約1,000万人が訪れる本市の観光地としての魅力が向上しました。
  • 歴史的建造物調査や環境整備を地域住民と協働で取り組むことや歴史文化を活用した住民活動を支援することで、歴史まちづくりの機運醸成や理解促進が図られ、住民主体の活動が大きく進展しました。

善光寺周辺地域の道路美装化
善光寺周辺地域の道路美装化

住民主体の活動(戸隠地区茅刈りの様子)
住民主体の活動(戸隠地区茅刈りの様子)

(2) 第2期計画の概要

長野市には、善光寺や戸隠のように門前町として発展した地域、また、松代や鬼無里のように城下町や街道の繁栄とともに発展した地域があり、各地域のまちの形成やそこで生活する人々の営みを礎に、地域固有の歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、第1期計画で芽生えた住民主体の活動を大きく育て、地域固有の歴史や伝統、風情あるまちなみの継承に引き続き取り組むとともに、魅力を伝える効果的な情報発信を行うことで、地域活性化や観光振興にもつなげてまいります。

ながの祇園祭(弥栄神社の御祭礼屋台巡行)

ながの祇園祭(弥栄やさか神社の御祭礼屋台巡行)

まち歩きイベントの開催
まち歩きイベントの開催

岐阜県郡上市ぎふけんぐじょうし

(1) 第1期計画の取組による成果

郡上市では、平成26年度から令和5年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 重点区域内にある重要伝統的建造物群保存地区において、電線類無電柱化事業を実施し、併せてデザインを統一した街路灯を整備したことで、重要伝統的建造物群保存地区の住環境整備と町並み景観を向上することができました。
  • 重点区域で住民自主協定のまちなみづくり町民協定締結地区の路線について、歴史的建築物と調和した道路空間にするために道路修景整備事業を実施しました。

無電柱化実施地区からみる郡上八幡城
無電柱化実施地区からみる郡上八幡城

道路美装化路線を練り歩く大神楽
道路美装化路線を練り歩く大神楽

(2) 第2期計画の概要

郡上市は、鎌倉期までに成立した白山信仰はくさんしんこうをはじめとして、中世の郡上東氏とうし、郡上おどり等が、郡上の文化の礎を築いています。また、近世初期に築かれた山と川に囲まれた郡上八幡ぐじょうはちまんの城下町の骨格が、今日まで変わらず残っています。そして、郡上八幡の北町きたまち地区は、大正8年(1919年)の北町の大火後に再建された町家が、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
第2期計画では、引き続き、重点区域内の歴史的建造物や道路の修理修景事業等を通して、歴史的風致の環境整備を行うとともに、今後策定予定の「郡上市文化財保存活用地域計画」や「郡上おどり保存活用計画」などの各種計画の連携を強化して、歴史的風致の維持・向上を図っていきます。また、新たに歴史的風致の区域を増やし、市民の歴史まちづくりへの意識向上を図り、地域の活性化を進めていきます。

郡上踊(ユネスコ無形文化遺産「風流踊」の1つ)
郡上踊(ユネスコ無形文化遺産「風流踊」の1つ)

耐震補強工事を終えた郡上八幡城
耐震補強工事を終えた郡上八幡城

愛知県名古屋市あいちけんなごやし

(1) 第1期計画の取組による成果

名古屋市では、平成26年度から令和5年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 名古屋城本丸御殿なごやじょうほんまるごてんの復元完成を始め、名古屋城全体の整備が進み、名古屋城観光客数の増加がみられ、平成30年度には220万人を超える入場者数となりました(平成26年度は約164万人)。
  • 貴重な文化財が残る志段味しだみ古墳群と周辺の豊かな自然環境を併せて「歴史の里」として整備を行いました。各古墳の復元のほか、展示収蔵施設等の整備や体験イベント等を開催することにより、歴史・文化を楽しみながら体感・体験学習ができる機会を提供できました。

復元された名古屋城本丸御殿
復元された名古屋城本丸御殿

「体感!しだみ古墳群ミュージアム」の展示室
「体感!しだみ古墳群ミュージアム」の展示室

(2) 第2期計画の概要

名古屋市は、古くは濃尾のうび平野の農業生産を背景とした地方勢力の拠点、あるいは東西交通の要衝として、江戸時代は御三家筆頭である尾張おわり徳川家の城下町として、そして、近代以降は我が国における経済・産業の一大拠点として発展してきました。これらの歴史を背景とした重層的な歴史的建造物・町並みや伝統的な営みが数多く残され、固有の風情を感じる歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、重点区域に有松地区を加え、引き続き歴史的風致を残す地域を中心に歴史的建造物の保存活用及び歴史的営みの継承を推進し、「名古屋歴史まちづくり戦略」の基本理念である「語りたくなるまち名古屋」の実現を目指します。

県指定有形文化財伊藤家住宅
県指定有形文化財伊藤家住宅

有松地区の東海道を曳かれる山車
有松地区の東海道を曳かれる山車

奈良県斑鳩町ならけんいかるがちょう

(1) 第1期計画の取組による成果

斑鳩町では、平成26年度から令和5年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 歴史的風致形成建造物修理・修景事業や、案内板等整備事業、法隆寺周辺地区特別用途地区の指定などにより、まちあるき拠点の賑わい創出と観光客の受入体制をすすめ、「歴史まちづくり」と「観光まちづくり」の一体的な整備につなげることができました。

案内版等整備事業
案内版等整備事業

特別用途地区によるホテルの立地
特別用途地区によるホテルの立地

(2) 第2期計画の概要

斑鳩町では、国宝や重要文化財が集中する法隆寺を中心に、法隆寺に関連する伝統行事等が地域の人々の生活に溶け込んで、斑鳩の里の特有の歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、引き続き、歴史的風致形成建造物の修理・修景事業や道路の美装化などに取り組み、歴史・文化・景観を礎とした歴史的風致の維持向上を図ります。また、法隆寺門前広場の再整備や文化財保存活用地域計画の作成などに取り組み、まちの回遊性の向上をすすめ、町民の郷土愛の醸成と国内外に向けたまちの魅力発信に努めてまいります。

辰巳家住宅
辰巳家住宅

井上家住宅
井上家住宅

福岡県添田町ふくおかけんそえだまち

(1) 第1期計画の取組による成果

添田町では、平成26年度から令和5年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 英彦山ひこさん」の国の史跡の指定、重要文化財・中島家住宅なかしまけじゅうたくや英彦山神宮参道等の文化財の保存修理、歴史文化活用団体の設立・育成が進むことなどにより、第1期計画策定当時の観光入込客数は徐々に増加しました。
  • 町の歴史や歴史文化遺産を紹介する「歴史テキスト」の作成、小学校での学習、町民への歴史的風致報告会など、将来の担い手の育成が図られました。

中島家住宅(重要文化財)
中島家住宅(重要文化財)

英彦山神社奉幣殿(重要文化財)
英彦山神社奉幣殿※1(重要文化財)

(2) 第2期計画の概要

添田町では、古くから信仰を集める霊峰「英彦山」に重要文化財・英彦山神社奉幣殿ひこさんじんじゃほうへいでんをはじめ様々な社殿が建ち並ぶ英彦山地区、英彦山への往来により形成された街道沿いに中島家住宅等の町家が軒を連ね添田本町地区等があり、固有の風情を感じる歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、第1期計画で進められなかった周辺景観に配慮した公共施設の修景整備、第1期計画で保存整備が進められた中島家住宅の活用を促す環境整備、文化財指定が進められた英彦山の整備など、第1期計画の事業成果をより高めてまいります。また、民俗芸能等の活動支援や子供たちへの歴史的風致の学習の機会の提供等による町民の郷土愛の醸成、国内外に向けた魅力発信をしてまいります。

英彦山神宮参道沿いにある重要文化財・英彦山神社銅鳥居での神幸祭
英彦山神宮参道沿いにある重要文化財・英彦山神社銅鳥居ひこさんじんじゃかねのとりい※2での神幸祭

重要文化財・中島家住宅の前を練り歩く神幸祭
重要文化財・中島家住宅の前を練り歩く神幸祭

※1・2神社の現名称は英彦山神宮ですが、文化財の指定名称は「英彦山神社奉幣殿」「英彦山神宮銅鳥居」となっています。

大分県竹田市おおいたけんたけたし

(1) 第1期計画の取組による成果

竹田市では、平成26年度から令和5年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 城下町地域において、電線類無電柱化、道路美装化、建物修景を実施し、周辺環境と調和のとれた歩いて楽しめるまちづくりを推進しました。
  • 市立図書館、歴史文化館、総合文化ホールを、文化・情報・生涯学習の拠点及び城下町の中核施設、岡城跡や城下町に関する総合的なガイダンス機能を備えた文化観光拠点施設として整備しました。

電線類無電柱化を実施した通り
電線類無電柱化を実施した通り

岡城跡(国史跡)
岡城跡(国史跡)

(2) 第2期計画の概要

竹田市では、岡藩の城下町である城下町地域、くじゅう連山の麓に広がる高原地域の北部地域、祖母山系の急峻な地形を呈する南部地域において、豊かな自然・文化と歴史的建造物が、地域固有の伝統的な祭礼や活動と一体となり、良好な歴史的風致を形成しています。
第2期計画では、文化財の保存整備を行うとともに、多くの人に文化財を知ってもらえる環境づくりの一環として、文化財と共存する住環境を整備することによる回遊性を向上、デジタルコンテンツを活用した多言語対応等による、さらなる文化財とその周辺の魅力向上を図ることにより、生活者、来訪者の双方が、日常的に行きかう、情感あふれる竹田城下町を歩いて楽しめるまちづくりに取り組みます。

岡城桜まつりで行われる大名行列
岡城桜まつりで行われる大名行列

久住高原の野焼き

久住くじゅう高原の野焼き

2.歴史まちづくり法とは

全国各地には、城や神社仏閣とその周辺の町家や武家屋敷等から成る市街地と、祭礼行事、民俗芸能、昔ながらの生業等の人々の伝統的な営みや活動とが一体となって、地域の個性とも言える歴史的な情緒や風情を醸し出すまちが多くあります。
歴史まちづくり法では、これらを地域固有の資産として捉え、ハード・ソフト両面の取組により維持向上を図り、地域の活性化や歴史・伝統文化の保存・継承を支援しています。

お問合せ先

農林水産省 農村振興局 農村政策部 農村計画課 
担当者:野中、寺門
代表:03-3502-8111(内線5534)
ダイヤルイン:03-3502-6004

国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室 
担当者:森井、植田
代表:03-5253-8111(内線32983、32986)
ダイヤルイン:03-5253-8954

文化庁 文化資源活用課 
担当:池野、蔵楽、熊谷
代表:075-451-4111(内線9651、9668)
ダイヤルイン:075-451-9668

発信元サイトへ