外務省・新着情報

令和6年3月14日
グロッシー事務局長と握手を交わす上川外務大臣
上川外務大臣とグロッシー事務局長との会談及びワーキング・ディナーの様子
会談後の記者会見の様子

 3月14日、午後7時頃から約20分間、上川陽子外務大臣は、外務省賓客として訪日中のラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長(H.E. Mr. Rafael Mariano Grossi,Director General of the International Atomic Energy Agency)と会談を行いました。またその後、両者は約60分間、ワーキング・ディナーを行ったところ、概要は以下のとおりです。

  1. ALPS処理水
    冒頭、上川大臣から、グロッシー事務局長が改めて福島を訪問し、ALPS処理水放出の現場への立会い等を行ったことに触れつつ、IAEAのこれまでの独立的・中立的かつ科学的見地からの関与に謝意を述べつつ、引き続き連携していきたい旨述べました。 これに対して、グロッシー事務局長は、今次訪日を通じて、ALPS処理水の放出が引き続き、IAEAの安全基準に即した形で計画どおり実行されていることを確認したことに加え、福島の地元の方々や、未来を担う若者と率直な意見交換を行った旨述べました。
  2. 原子力の平和的利用
    上川大臣から、国際社会が直面する気候変動、食料、保健といった様々な地球規模の課題への対処にあたり、原子力技術の活用は有効な解決策の1つであり、日本は、IAEAが推進するSDGsに資する原子力の平和的利用分野でのイニシアティブを高く評価する旨、また、この取組を支えるべく、食料安全保障や原子力安全分野等におけるIAEAの取組に対して合計約1,850万ユーロの資金拠出を実施した旨述べました。 これに対して、グロッシー事務局長から、原子力の平和的利用の推進にかかるIAEAの取組への日本の支援に対して甚大なる謝意を表され、両者は、同分野での協力を深化していくことで一致しました。
  3. 国際・地域情勢
    上川大臣から、国際情勢が厳しさを増す中で、「核兵器のない世界」の実現や法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化の観点からもNPT/IAEA体制の維持・強化は重要である旨述べました。その上で、両者は、北朝鮮やイランの核問題、ウクライナにおける原子力安全等について意見交換を行い、引き続き緊密に連携することで一致しました。  最後に、上川大臣が先般訪問し、グロッシー事務局長の出身地域でもある中南米地域について意見を交わし、打ち解けた雰囲気で会談は終了しました。
(参考)この度支援を決定したIAEAの取組

  1. 食料安全保障のための原子力技術の活用(Atoms4Food)(約660万ユーロ) 原子力技術を活用した品種改良や害虫対策、食品安全の強化などを通じて、食料安全保障の強化を目指すもの。
  2. 海洋環境保護及び海洋放射能モニタリング(約360万ユーロ) 太平洋島嶼国等を対象とし、同位体分析等を活用したプラスティックゴミなどの汚染物質のモニタリングを通じた海洋環境保護や、海洋における放射能モニタリングに係る能力構築等を行うもの。
  3. IAEA同位体水文学研究所の能力強化(100万ユーロ) 日照りや干ばつ等の気候変動の影響を踏まえ、IAEAの同位体水文学研究所の能力強化を通じて、地下水の年代を正確に測定し、締約国による持続的な水資源管理に供することを目指すもの。
  4. ウクライナ支援(約730万ユーロ) ウクライナの原子力施設等への機材支援・同職員への医療的支援、カホフカ・ダム決壊による被災地域への原子力技術を利用した支援(飲料水等の分析等)、機材供与等を通じた原子力発電所の保障措置活動の支援。

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