環境省・新着情報
「PFASに関する総合研究」令和6年度新規課題の採択決定について
2.公募の結果、14件の研究課題の応募があり、令和5年度「PFASに関する研究運営会議」において採択に係る評価を行い、採択候補を抽出しました。
これに基づき、環境省水・大気環境局において、3件を採択することとしました。
3.主任研究者との委託契約等の手続きを行った後、令和6年6月頃の研究開始を予定しています。
(研究の実施は、令和6年度予算が成立することが前提となります。)
■ 採択課題について(提出順;敬称略)
① 免疫疾患におけるPFASの免疫抑制及び免疫促進影響の解明に向けた実験的検証
主任教授 黒田 悦史
研 究 期 間 ( 予 定 ) : 令和6年度~8年度
研 究 概 要:
PFOS等について、ワクチンの効果を低下させる免疫抑制と、アレルギー症状を悪化させる免疫促進が指摘されているが、現在その毒性の評価は確立されていない。本課題では、暫定目標値程度の濃度レベルを含むPFASの曝露条件を設定し、マウスを用いた動物実験を行い、免疫抑制及び免疫促進の影響を評価する。また、PFOS、PFOA、PFHxS 以外のPFASのうち数種類について、培養細胞への曝露実験による遺伝子発現解析を行い、PFASに共通又は物質特異的な免疫毒性関連遺伝子の検出を試みる。これにより、PFASに関する免疫毒性のメカニズム解明が期待される。
② PFASsの規制に関わる優先付け及び合算評価に資する遺伝子発現解析による有害性評 価法の開発
主 任 研 究 者 : 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部
室長 相﨑 健一
研 究 期 間 ( 予 定 ) : 令和6年度~8年度
研 究 概 要:
PFASは多種の核内受容体を介して毒性を発現することが推察されており、その分子毒性メカニズムには不明な点が多い。本課題では、複数のPFASに関して動物を用いた反復曝露実験を行う。その影響を全遺伝子の発現変動として定量し、PFOAを含む約160種の化学物質曝露に関する延べ8.5億の遺伝子発現情報で構築されているデータベースを用いて、PFASの有害性に関わる分子シグナルを明らかにし、用量作用関係を含む毒性予測を行う。このPFASの分子毒性メカニズムの解明により、PFAS分類法の構築、リスク評価の優先順位付け及び複合影響評価が進むことが期待される。
③ 毒性影響・毒性発現機序・種差を考慮したPFASの包括的な健康影響解明:環境疫学ー毒性学融合研究
主 任 研 究 者 : 国立大学法人北海道大学 環境健康科学研究教育センター
特任准教授 アイツバマイ ゆふ
研 究 期 間 ( 予 定 ) : 令和6年度~8年度
研 究 概 要:
PFOS及びPFOAでは発生毒性、免疫毒性、肝毒性等が報告されている。本課題は約2万人の出生コホート「北海道スタディ」を基盤とした疫学研究と、培養細胞等を用いた毒性学研究を組み合わせて、PFASの健康リスクを評価する。疫学研究では、約700名の胎児期・学童期・思春期の約30種類のPFAS血中濃度と質問票や生体試料等から、発育、免疫、肝・脂質代謝の影響を評価する。毒性学研究では複数あるいは単体のPFASを曝露した魚類胚及びヒト・マウス・ラット由来細胞の網羅的遺伝子発現解析等により、毒性発現メカニズムを推定する。環境疫学と毒性学の知見を繋ぐPFASの包括的な影響評価の結果は、複数あるPFASのヒト健康リスク解明に資する科学的知見として環境政策への活用が期待される。
■ PFASに関する研究運営会議について
氏 名 | 所 属 ・ 役 職 |
柴田 康行 | 国立研究開発法人国立環境研究所 名誉研究員 |
鈴木 規之 | 国立研究開発法人国立環境研究所 企画部フェロー |
新田 裕史 (座長) |
国立研究開発法人国立環境研究所 名誉研究員 |
平田 健正 | 和歌山大学 名誉教授 |
姫野 誠一郎 | 昭和大学 薬学部 客員教授 |
本間 正充 | 国立医薬品食品衛生研究所 所長 |
連絡先
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8313
- チーム長
- 百瀬 嘉則
- 課長補佐
- 笹原 圭
- 担当
- 中島 太陽