外務省・新着情報

令和6年3月18日
国連安全保障理事会閣僚級会合が行われている様子
会合で上川外務大臣が議長を務めている様子
安保理会合で上川外務大臣がステートメントを行っている様子

 現地時間3月18日(日本時間18日から19日まで)、米国・ニューヨークを訪問中の上川陽子外務大臣は、日本が安全保障理事会議長として開催した核軍縮・不拡散に関する安全保障理事会閣僚級会合を主催したところ、概要は以下のとおりです。
 今回の会合は、昨年の国連総会一般討論演説において、岸田内閣総理大臣が、核兵器国を具体的な核軍縮措置に巻き込むことが重要であり、日本は、安全保障理事会非常任理事国として、核兵器国と非核兵器国の間の議論を促進する旨述べたこと等を踏まえ、日本として初めて核軍縮・不拡散を議題とする安全保障理事会閣僚級会合を主催したものです。会合には、安全保障理事会理事国15か国のうち、米国、モザンビーク、シエラレオネの3か国から閣僚級が出席しました。

  1. 冒頭、グテーレス国連事務総長(H.E. Mr. António Manuel de Oliveira Guterres, Secretary-General of the United Nations)、フロイド包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会事務局長(Dr. Robert Floyd, Executive Secretary of the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization (CTBTO))、ムハザノバ・ウィーン軍縮・不拡散センター(VCDNP)国際機関・不拡散プログラム担当部長(Ms. Gaukhar Mukhatzhanova, Director of the International Organizations and Non-Proliferation Program, Vienna Center for Disarmament and Non-Proliferation)の3名から、核軍縮・不拡散を取り巻く現状と課題に関し、ブリーフィングが実施されました。
  2. 続いて、上川大臣が我が国としてのステートメントを実施しました。
     その中で上川大臣は、我が国は、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」に向け、広島・長崎の惨禍は決して繰り返してはならないとの信念の下、核兵器廃絶決議、「ヒロシマ・アクション・プラン」の提唱、被爆地広島でのG7サミットの開催等、国際社会を主導してきた旨述べました。また、核軍縮をめぐる状況が一層厳しくなっている今こそ、「核兵器のない世界」の実現に向けて現実的かつ実践的な取組を着実に進めていくことが重要であり、NPT体制の維持・強化はその基盤である旨述べました。その上で、次の4つの点を強調しました。
  1. 強い危機感を持って「ヒロシマ・アクション・プラン」で掲げた5つの行動(核兵器不使用の継続の重要性を共有、透明性の向上、核兵器数の減少傾向の維持、核兵器の不拡散及び原子力の平和的利用、各国指導者等による被爆地訪問の促進)に取り組むこと。
  2. 日本として、「ヒロシマ・アクション・プラン」を具体化する取組の強化し、国際社会をリードすること。そして、今般、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に対する政治的機運を維持・強化するために「FMCTフレンズ」の立ち上げを表明しました。
  3. ロシアや北朝鮮等による「核兵器のない世界」に逆行する動きに対して、国際社会が一致して声を上げていかなければないこと。宇宙空間における既存の法的枠組みを遵守すること。
  4. AI等の新興技術が及ぼし得る影響やWPSの視点も重要であること。

  1.  
  1. その後、マカモ・モザンビーク共和国外務協力大臣(H.E. Ms. Verónica Nataniel Macamo Dlhovo, Minister of Foreign Affairs and Cooperation of the Republic of Mozambique)、トーマス=グリーンフィールド米国国連大使(閣僚級)(H.E. Linda Thomas-Greenfield, Representative of the United States of America to the United Nations)、アルガリ・シエラレオネ共和国外務・国際協力省副大臣(H.E. Mrs. Francess Piagie Alghali, Deputy Minister of Foreign Affairs and International Cooperation of the Republic of Sierra Leone)といった閣僚級の出席者の他、米に加えて露英仏中の核兵器国を含む各国出席者等から、各国の経験や知見に基づき核軍縮・不拡散について活発な議論が行われ、NPT体制の維持・強化の重要性を再確認するとともに、2026年のNPT運用検討会議に向けて、核兵器国・非核兵器国間での実質的な議論を加速化させる契機となりました。
  2. また、多くの国から、世界は再び大変厳しい状況にあり、このテーマを提起するのに日本ほど適任の国はいないことや、自身が広島等を訪問した際の経験の共有、紛争下における女性の役割の重要性、AI等の新興技術が及ぼし得る影響についても指摘がありました。

[参考1]別添
 国連安全保障理事会閣僚級会合における上川大臣ステートメント(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く

[参考2]核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)
 我が国は「核兵器のない世界」の実現に向けた現実的かつ実践的な措置として、核兵器及びその他の核爆発装置のための核分裂性物質の生産の禁止により核兵器の量的向上の制限を課すFMCTを重視。

[参考3]「FMCTフレンズ」はFMCTに対する政治的関心を維持・強化し、FMCT交渉に向けた支持拡大に貢献することを目的とした核兵器国及び非核兵器国から成る地域横断的グループ。 参加国は、我が国の他、イタリア、英国、オランダ、カナダ、豪州、ドイツ、ナイジェリア、フィリピン、ブラジル、フランス、米国。


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