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冒頭発言

  今回、安保理議長として、唯一の戦争被爆国である日本として初となる「核軍縮・不拡散」に関する安保理閣僚級会合を主催しました。これは、G7広島サミットにより核軍縮の進展に向けた国際社会の機運が高まった中、昨年の国連総会一般討論演説において、岸田総理が、日本は、安保理非常任理事国として、核兵器国と非核兵器国の間の議論を促進する旨述べたことを踏まえたものです。

 北朝鮮は、NY時間17日にも、安保理決議に違反して弾道ミサイルを発射しました。こうした北朝鮮の行動は、地域及び国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認できません。閣僚級会合の場でも、議長である私(大臣)から、この点を明確に述べたところです。

 現在、ロシアによる核の威嚇や北朝鮮による核・ミサイル開発等により、「核兵器のない世界」に向けた道のりは一層厳しいものになっていますが、だからこそ、現実的かつ実践的な取組を着実に進める必要があります。その基盤はNPT体制です。私からは会合において、運用検討サイクルの中間年にあたる本年、核兵器国・非核兵器国の双方が参加をするここ安保理において、核軍縮・不拡散に関する議論を促進することは、極めて重要な意味があることを強調しました。

 グテーレス国連事務総長他のブリーファーからも、安保理の場で「核兵器のない世界」に向けた議論を行うことを強く支持いただきました。また、フロイドCTBTO事務局長からは、被爆地・広島を訪れた個人的体験についての紹介があり、議場に強い感銘を与えました。

 今般、FMCTへの国際的・政治的関心を一層高めるべく、「FMCTフレンズ」の立ち上げを表明しました。昨年9月に岸田総理がFMCTハイレベル記念行事を開催しましたが、そこで再び集めることとなったFMCTへの政治的関心を維持・強化して参ります。また、多くの理事国から日本のイニシアチブを歓迎する旨発言があり、NPT体制の維持・強化の重要性についても言及がありました。今回の議論を踏まえ、引き続き、我が国として、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行して参ります。

 次に、グテーレス国連事務総長、トーマス・グリーンフィールド米国連大使、マカモ・モザンビーク外務大臣、アルガリ・シエラレオネ外務副大臣、フロイドCTBTO事務局長とお会いしました。
国際情勢が厳しくなる中、日本が核軍縮の分野においてとったリーダーシップについて高い評価がありました。また、多くの方から、WPSにおいて、国連の場でさらに力強く進めることについて前向きな反応を得ました。さらに、それぞれの会談では、私から昨日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射については、国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて受け入れられない旨説明しました。多くの方との間で安保理改革を含む国連の機能強化を進めていくことで一致しました。

 「WPS+イノベーション」と銘打って第四弾目の会合を開催しました。日本としてWPSを主要外交政策の一環として力強く推進するにあたり、国連機関との連携は不可欠です。本日は、ブラッテステッド国連ノルウェー政府代表部大使、バフースUN Women事務局長、中満国連事務次長、バービア・ジョージタウン大学WPS研究所長から、WPSを更なる高みに上げていく観点から、女性の政策決定への参画がもたらす付加価値について様々な知見をいただきました。これらを活かし、WPSの視点を踏まえ、国内外で更なる施策の推進を進めて行きたいと考えます。
 また、国連機関で活躍されている邦人職員の方々ともお会いする機会を持ち、知見や経験を基にしたインプットをいただきました。多くの方々の貢献に感謝の意を表したいと思います。

 短い期間でしたが、濃密なNY訪問となりました。来月にはG7外相会合が開催されます。今回の訪問の成果を次につなげ、日本外交のプレゼンスを高めるべく、引き続き、各国と議論を重ねてまいります。私からは以上です。






質疑応答

(記者)グテーレス事務総長との会談について、伺いたいのですが、ご紹介にありましたけれども、もう少しどのような点で一致されたか教えて頂きたいのが1点。核軍縮への道のりは険しいと仰いましたが、核軍縮に果たす国連の役割、どの様な点を期待するか教えてください。

(大臣)まず、1点目のグテーレス事務総長とのやり取りと言うことでありますが、今回の核軍縮・不拡散に関する安保理閣僚級会合の後、グテーレス国連事務総長とは個別の会談を行ったところであります。事務総長からは、会合の主催に対する感謝に加え、「核兵器のない世界」に向けた日本のコミットメントを賞賛する旨の発言があり、今後も核軍縮・不拡散分野で協力していくことを確認しました。NPT体制の維持・強化を含め、核軍縮・不拡散分野において国連の果たす役割は重要であり、国連全体の機能強化に能動的に取り組んでいきたいと考えております。

(記者)冒頭ふれられましたFMCTフレンズについてお伺いします。今回、大臣、FMCTフレンズの創立を表明されまして、とりわけ今回は、アメリカとイギリスとフランスという、核兵器国も参加することになりました。その点を踏まえてこのFMCTフレンズの意義をお聞かせください。併せて、ロシアや中国も核軍縮のアピールにどのように巻き込んでいきたいか、お考えをお聞かせください。

(大臣)まず、FMCTフレンズについてでありますが、「核兵器のない世界」に向けた道のりが一層厳しいものになっている中で、「核兵器のない世界」の実現に向けて、核兵器国による協力が不可欠であります。FMCTは、核兵器用核分裂性物質の生産禁止により核兵器の量的向上に制限をかけるものであります。このFMCTに対する政治的関心を高める、まさにFMCTフレンズに英米仏が参加することの意義は、現実的かつ実践的な取組を着実に進めていく観点から大きいものと考えております。
 中国やロシアの核軍縮への巻き込み方ということでのお尋ねでありましたが、今次安保理会合は、中露を含みます核兵器国の参加を得ており、2026年のNPT運用検討会議に向けて、核兵器国・非核兵器国での実質的な議論、これを加速化させる契機となったものと考えております。
 今次安保理会合の議論、これを踏まえまして「核兵器のない世界」の実現に向け、引き続き、「核軍縮のG7首脳広島ビジョン」これを強固なステップ台にしつつ、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での現実的かつ実践的な取組を着実に進めていくとともに、国際社会の取組を主導して参りたいと考えております。

(記者)今回の安保理会合には核兵器禁止条約を批准しているエクアドルやマルタなどから、NPTを補完するものとして、その重要性を指摘する発言がありました。大臣が核兵器禁止条約について言及しなかった理由と日本の立場を改めてお聞かせ下さい。また、スピーチで述べられていたとおり、核軍縮に逆行する動きが多くありますけれども、核なき世界を現実に近づけていくために、今後どのように取り組んでいかれるお考えでしょうか。

(大臣)この、核兵器禁止条約は、「核兵器のない世界」への出口とも言える重要な条約でありますが、同条約には核兵器国は1か国も参加しておらず、未だその「出口」に至る道筋は立っていない、というのが現状であります。こうした中におきまして、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力をしているところであります。今次会合におきましては、こうした状況も念頭に、我が国として現実的かつ実践的な取組を着実に進めていくことの重要性、これを強調いたしました。
 今次会合の議論、この度立ち上げを表明いたしました「FMCTフレンズ」の活動、あるいは国際賢人会議の開催等を踏まえまして、我が国としては引き続き、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」これを強固なステップ台としつつ、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組、これを継続・強化してまいりたいと考えております。

(記者)もう一点、本日の安保理会合で、米国は宇宙空間に核兵器や大量破壊兵器を配備しないよう各国に求める国連安保理決議案を日本と共同で提出すると表明しました。この事実関係と日本として決議案提出の狙いを教えて下さい。

(大臣)我が国といたしましては、宇宙空間が核兵器のない領域であり続けるべきと強く考えており、先ほどの私(大臣)のステートメントでもこうした日本の立場を表明したところであります。
 御指摘の決議につきましては、米国連大使がステートメントで述べたとおり、今般、日米共同で、宇宙空間における平和及び安全を維持する観点から宇宙条約の重要性等を強調する内容の安保理決議案を提案いたしました。
 外交上のやり取りでありまして、安保理内の交渉状況を含め、これ以上の詳細につきましては明らかにすることはできませんが、安保理がその責務を果たし、適切な意思表示を行うことができるよう、他の理事国とも緊密に連携をし、積極的に対応してまいりたいと考えております。


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