財務省・新着情報
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日時 令和6年3月13日(水)16:00~17:10 |
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場所 財務省 第3特別会議室 |
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内容 〇令和6年度における固定利付債のリオープン方式について、理財局から以下のように説明を行った。 ・翌年度の固定利付債のリオープン方式については、毎年3月の本会合において議論し、皆様のご意見を踏まえて決定することとしている。本日は、令和6年度におけるリオープン方式について皆様のご意見をお伺いする。P.3に案をお示ししているが、現在の取扱いと事前に頂いたご意見を含めてご説明する。 ・10年債については、平成27年度以降、償還日が同一の国債を発行する場合で、かつ、前回債の表面利率と入札日の市場実勢利回りとの乖離が概ね30bps以内の場合には、リオープン発行することとしている。 ・また、年間4銘柄での原則リオープン発行としている20年債と30年債、年間1銘柄での原則リオープン発行としている40年債については、全ての参加者から、現行方式を維持することが適当とのご意見を頂戴した。 ・そのほか、償還日及び表面利率が同一となる場合にリオープン発行している5年債については、一部の参加者から10年債や20年債、30年債のようなリオープン方式とすべきとのご意見を頂戴したものの、多くの参加者から、現行方式を維持することが適当とのご意見を頂戴した。 ・これらのご意見等を踏まえ、当局案では、いずれの年限も、令和5年度の方式を維持することを想定しているが、改めて皆様のご意見を頂戴したい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・足元の大規模な日銀買入により流動性低下の懸念が台頭している中、原則リオープン発行によって流動性低下を抑制できるものの、投資家の需要については簿価通算等の需要や、新回号への選好という需要が原則リオープン発行によってなくなってしまう。流動性と投資家需要とのバランスの観点から、超長期ゾーンは原則リオープン発行による弊害が基本的にはあまり見られない一方、手前の年限はその弊害が出てくるリスクが高いことから、10年債を境として超長期ゾーンについては原則リオープン発行、10年債は概ね30bps以内という条件でリオープンしやすい余地を残すことが望ましいと考える。 ・5年債について、原則リオープン発行が望ましい。茲許ほぼ毎月新回号での発行となっており、日銀買入オペで買われた量の多寡により市中で銘柄間の強弱がかなり違った状態になっている。買戻しにくい銘柄はずっと買戻しにくく、市中に在庫の余っている銘柄は償還日が同一であっても利回り格差が発生する状況。原則リオープン発行とすることにより5年ゾーン全体での流動性がよくなると考えている。 ・2年債を除く全年限での原則リオープン発行が望ましい。簿価分散等を背景に現行方式が投資家にとってメリットがあるのは重々承知しているが、マーケット・メイクの観点からすると流動性が担保されることが最も重要である。最近でも、5年債が同一償還日で3銘柄発行されることにより、銘柄によっては著しい流動性の低下が見られる。このような現状を踏まえると、ルールを分かりやすくするためにも原則リオープン発行が望ましいと考えている。 ・10年債・5年債について、現状金融政策の変更等が見込まれる状況においても流動性の悪化は感じないため、当局の提案に全て賛成する。 2. 令和6年度における固定利付債の入札方式等について 〇令和6年度における固定利付債の入札方式等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・翌年度の固定利付債の入札方式については、リオープン方式同様、毎年3月の本会合において議論し、皆様のご意見を踏まえて決定することとしている。P.5に当局案をお示ししているが、こちらも、事前に頂いたご意見等を含めてご説明する。 ・固定利付債の入札方式のうち、40年債の入札方式については、一部の参加者から価格コンベンショナル方式への変更を希望するご意見を頂戴したものの、多くの参加者から、現状の利回りダッチ方式を維持すべきとのご意見を頂戴した。 ・40年債以外の入札方式については、一部の参加者から40年債と同様のダッチ方式に変更すべきとのご意見を頂戴したものの、多くの参加者から、現状の発行方式を維持することが適当とのご意見を頂戴した。 ・また、国債市場特別参加者の資格の一つである「第Ⅰ非価格競争入札」については、平成29年7月の発行限度額引き上げ以降も、本会合でのご意見を含めて、投資家の平均価格での購入需要の増加や、国債市場特別参加者が減少傾向にあること等を背景とした増額検討のご要望を繰り返し頂いていたところ。 ・そこで、足元の入札結果や市場・投資家動向等も踏まえ、事前に皆様からご意見をお伺いしたところ、ほぼ全ての参加者から、限度額の引き上げが適当とのご意見を頂戴した。 ・これらのご意見等を踏まえ、当局案では、入札方式についてはいずれの年限も令和5年度の方式を維持しつつ、第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額を、令和6年5月以降に実施される入札から、現行の「発行予定額の20%」から「発行予定額の25%」に引き上げることを想定している。この点について、改めて皆様のご意見を頂戴したい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・40年債については引き続き発行額が高水準であり、価格コンベンショナル方式に変更したとしても、投資家からの入札参加が増えるとは考えづらいため、現行の利回りダッチ方式に賛成する。 ・第Ⅰ非価格競争入札の限度額の引き上げにつき、当社はこれまで常々要望していたことから、非常に前向きに受け止めている。一方で25%という数字の妥当性について、実際海外投資家を中心としたアベレージオーダー需要の多さを踏まえると、場合によっては更なる引き上げを行う必要も出てくると思われる。まずは今回の引き上げを第一歩として、今後どれぐらいの水準まで引き上げていくのかを検討していくものと理解している。 ・引き続き40年債の価格コンベンショナル方式での実施を提案する。金利が上がっても依然としてタイトなスプレッドが続いており、安定的に消化されている。発行から16年が経っており成熟度で考えれば他の年限と差別する必要はなくなっており、他年限と同一方式にすべきと考えている。 ・40年債のダッチ方式、その他のゾーンのコンベンショナル方式での入札に関して全面的に賛成する。40年債については引き続き投資家層が限定されていることに加えて、隔月の入札方式で1回の入札当たりのデュレーションのインパクトが相応に大きいこともあるため、今後の金利水準の変化による投資家層の変化・需要を見極めつつではあるものの、当面は現行通りのダッチ方式での入札が望ましいと考えている。その他のゾーンについて、今年度は20年債、30年債等を中心に少し入札が荒れることがあったが、毎月続いているわけではなく、言い換えればあるべき価格調整がされているという風にもとれるため長いゾーン含めてコンベンショナル方式で問題ないと考えている。 3. 令和6年4-6月期における物価連動債の発行額等について 〇令和6年4-6月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債の発行額等については、P.7のとおり、令和6年度発行計画において、1回の入札当たり2,500億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、買入消却についても、P.8のとおり、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。 ・令和6年1-3月期に実施した入札及び買入消却の結果等についてはP.9~P.11に、流通市場の状況についてはP.12に記載のとおりである。 ・皆様から事前にご意見を伺ったところ、BEIは堅調に推移しているものの、物価連動債の流動性の改善や投資家層の裾野の拡がりはなお限定的との声が多く聞かれ、全ての参加者から、①令和6年4-6月期における発行額及び買入消却額、②令和6年度における物価連動債のリオープン及び入札方式のいずれも、現状の取り扱いを維持することが適当とのご意見を頂戴した。 ・これを受け、P.13に当局案をお示ししている。令和6年4-6月期については、2,500億円の発行入札を1回行いつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うことを想定している。また、令和6年度におけるリオープン及び入札方式についても、現状の方式を維持することを想定している。なお、買入消却の対象銘柄については、カレント銘柄も含めた全銘柄とすることとしたい。 ・物価連動債市場の育成は、国債管理政策上の重要な課題と考えており、引き続き、入札等の結果や市場・投資家動向、皆様のご意見を踏まえつつ、慎重に検討・判断していきたいと考えている。今後の市場への見方を含めて、改めて皆様のご意見を頂戴したい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・物価連動債の発行額及びリオープン方式、入札方式すべての点において当局の提案に賛成する。2月の入札以降は少し足元もみ合いの展開が続いているが、流動性面の懸念等を主因に引き続き少し割安な価格形成が続いている。日本の今次局面における構造変化等に着目して一部の海外勢からは物価連動債の新規の投資や投資の再開といった声が出ていると聞いているが、裾野が大きく拡大しているとは言い難い状況。このような流動性の下では、足元の需給バランスを変化させるのは得策ではなく、現状の発行・買い入れバランスを維持してマーケットの育成に努めることが肝要。 ・発行額及び買入消却額の現状維持を支持する。物価連動債の市場は、引き続き環境に変化はなく、流動性が枯渇した状況が続いている。既発債に対する投資家の強い売却ニーズが見られる一方で、セカンダリー市場での需要はほとんどない状況。当局の買入消却や日銀買入オペが物価連動債の価格形成の重要なファクターとなっているのが現状であり、今後も買入消却の維持・継続をお願いしたい。 4. 令和6年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について 〇令和6年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P.15のとおり、令和6年度発行計画において、 ・令和6年1-3月期に実施した流動性供給入札の結果等についてはP.16~P.19のとおりである。 ・令和6年4-6月期の流動性供給入札について、皆様から事前にご意見を伺ったところ、全ての参加者から令和6年度発行計画に沿った発行額等が適当であるとのご意見を頂戴した。 ・これを受け、P.20に当局案をお示ししている。当局案では、残存1-5年ゾーンは奇数月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンは毎月6,000億円、残存15.5-39年ゾーンは偶数月に5,000億円の発行とすることを想定しているが、改めて皆様のご意見を頂戴したい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・当局の提案に賛成する。残存5-15.5年ゾーンについてはこれまでの日銀買入オペの影響で市中残高が少なくなっており、当該ゾーンの流動性を確保するために一定規模の発行が必要。マーケットでは残存5-15.5年ゾーンについて一定の投資家需要が見えており、これまでの流動性供給入札においても当該ゾーンで強い入札結果が続いていることから、国債発行計画で示された通り、他の中期、超長期ゾーンと比較しても当該ゾーンの増額が妥当である。 ・残存5-15.5年ゾーンを毎月1,000億円増額する当局の提案に賛成。発行計画に基づき、当該ゾーンを増額することは、累積的かつ大規模な日銀買入オペによる市中残高の少なさからの回復を通じて、市場機能の回復に寄与すると考えている。 5. 令和6年度におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について 〇令和6年度におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について、理財局から以下のように説明を行った。 ・GX経済移行債(及びその借換債)のうち、個別銘柄として発行する分を「クライメート・トランジション利付国債」と呼んでいるが、このクライメート・トランジション利付国債を先月(2月)2回に分けて、10年債を約8,000億円、5年債を約8,000億円、総額約1.6兆円を無事発行することが出来た。初回の入札発行に至るまで、国債市場特別参加者各位からは各種アドバイス・サポートをいただいた。入札当日における応札・落札を含め、感謝申し上げる。 ・本日は2月の入札結果を踏まえ、令和6年度(令和6年4月から令和7年3月末まで)における入札発行について、検討したい。 ・まず、資料P.22にある昨年末公表の国債発行計画に記載のとおり、「クライメート・トランジション利付国債」を令和6年度においては総額1.4兆円発行することとしている。 ・資料P.23に記載のとおり、令和6年度における入札発行の案をまとめている。2月の入札結果、その後の流通市場における動向、国債市場特別参加者各社からアンケートやヒアリングでいただいた意見等をもとに、最終投資家が購入しやすくし、円滑な消化を図る観点から、より年度の中で平準化し、1.4兆円を4回に分けて発行してはどうかと考えている。 ・年限は、令和5年度に発行した年限を継続して5年債と10年債の2つとする。 ・年限ごとの金額は、5年債と10年債であればいずれも広い投資家層を対象としていることや、今後の金融政策次第でいつどちらの年限の方が需要が高くなるか・低くなるかということを申し上げることも難しい状況を踏まえ、各年限3,500億円を2回ずつ発行する。 ・タイミングとしては、予算上の出納整理期間における調整のため、初回は5月の発行とするが、2回目以降は物価連動債の入札や四半期末と重なることを避ける観点から、7月・10月・1月に入札を行う予定。 ・また、10月及び1月に発行する分に関しては、それぞれ5月・7月に発行する10年債・5年債のリオープンとして、各回号の残高を増やすことを企図。 ・P.24は明日夕方当局ウェブサイトにて公表する予定の、「令和6年度におけるクライメート・トランジション利付国債の発行額等について」である。利払い日や償還日は通常の国債と同様とすることを考えている。リオープンや入札方式(ダッチ方式)については、記載したとおりに進めようと思うが、今後のセカンダリー市場の動向や、5月以降の入札結果、皆様を含めた市場関係者との意見交換によっては、年度内であっても柔軟に調整する旨記載している。 ・P.25は同じく明日夕方当局ウェブサイトにて公表する予定の、「令和6年5月における国債等の入札予定の変更について」である。先程申し上げた5月の10年クライメート・トランジション利付国債、3,500億円程度の入札は、5月28日(火)を想定している。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・クライメート・トランジション利付国債の来年度の発行に関する当局の提案、即ち5年10年の2年限で発行することや、発行金額をそれぞれ等分すること、ないしはダッチ方式とすることについて賛成。 ・当社としても令和6年度のクライメート・トランジション利付国債に関して、発行額を(各年限)2回に分けて発行する当局の提案に全面的に賛成である。 ・当局の提案についてはすべて賛成。 ・年限・金額・発行回数ともに当局の提案に賛成。 ・令和6年度のクライメート・トランジション利付国債の発行方針は全面的に賛成。 6. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・10年債利回りは昨年11月1日に0.97%を記録し、現在は0.7%程度と低い水準になっているがその理由は2つある。一つは米長期金利の水準が昨年11月1日には5%に近いレベルであったところ、直近は4.1%台となっており、さらにFRBは本年6月に利下げ転換し、年末までに75bps、場合によっては100bpsの引き下げを行うことが織り込まれていること。もう一点は、日本銀行の金融政策に関して、関係者の発言から、マイナス金利政策の解除後も緩和的な金融環境を維持し、継続的な利上げには至らないと多くの市場参加者が考えていること。また、需給面で一つ加えると、本来はネガティブ材料の株高が、年金資産のリバランスを通じて、国債市場のポジティブ材料になっていることも指摘できる。 ・昨年11月に比べると海外金利は大分下がっており、FRBの次のステップはおそらく利下げになっている。日本銀行に関しては、本日も春闘が満額回答という報道も出ている中で、場合によっては3月のマイナス金利解除ということもあり得て、さらにはゼロからプラスということもOISマーケットでは織り込んでいるという認識である。しかしそこから先について、例えば来年もさらに利上げを続けていくためには、来年も今年ほどとは言わないがしっかりとした賃上げが継続するような、物価2%の好循環が見えていかないといけないと考える。この点、現時点では余りにも不確実性が高いため、マーケットが織り込むことも難しく、それが織り込めない限りにおいては10年債利回りも1%に達するか分からない。一方で、来年もしっかりと賃上げして利上げサイクルが続くという話になれば、1%超えも十二分にあり得て、おそらく今年の年末の11月ごろから、今年度見られていたようにリーディングカンパニーの賃上げ状況を見て、債券市場が動意づく可能性もあると思っている。なお、この点、FRBが利下げをするとしても相当匍匐前進的で、なおかつあくまでもソフトランディングに向かっていくという前提のもとでの考えである。 ・結局のところ、相場の行く末は日本銀行の政策の動向次第。この点、日本の企業の努力によって賃金が上がってくることが期待できるため、超異常の政策であるマイナス金利政策の解除は今月もしくは来月だと思っている。また、それなりの賃上げがあると思っているため、更なる利上げは今年中にあるのではないかと見ている。 ・3月の金融政策決定会合についてかなりヘッドラインが出ているものの、ボラティリティ、金利の値動きともに非常に落ち着いており、ほぼ織り込み済みだと思っている。ただ今の価格は、機械的な売り買いが価格形成に相応に寄与していると感じており、市場の価格の信頼度が高いのかはよく分からない。クライメート・トランジション利付国債のプレミアムを見ても、日銀買入によって、価格形成されていることが再認識される。 |
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